石原氏の訃報に小池知事は何を思う

 石原慎太郎氏の訃報が伝えられた翌日(2月2日)、新聞もニュース番組、ワイドショーも石原氏ネタ一色に染められました。良い悪いは別にして、それだけ話題性に富む大きな存在だったのでしょう。個人的には都知事の姿しか存じ上げないので、都政への貢献度合いに限定して振り返ってみると、功罪相半ばというのは少々厳しい評価、プラス・マイナスでプラスといったところですね。ディーゼル車排出ガス規制、羽田空港の国際化などがプラス。最大最悪の失政は新銀行東京です。

 さてここからが本題です。こうした世の中に溢れる石原報道に接して、小池都知事はどう感じたかです。政治家であれば、後世の評価に思いを巡らせない人はいない。はたして自分の死はどう報じられるのか、気になります。問題は実績です。石原氏には様々な政治活動以外にも作家としての実績がある。振り返って、私には実績があるのか、そう自問自答したのではないでしょうか。そして、ヤバいと思っているかも知れません。

 小池知事と石原氏と言えば、小池氏が都知事選に初めて立候補した2016年7月、石原氏が「大年増の厚化粧」とディスったことが真っ先に思い出されます。小池氏も、石原元知事をはじめ都議会自民党をブラックボックスと痛烈に批判、石原氏が都知事時代に決定した築地市場の豊洲への移転を突如延期すると発表して、例の市場移転問題のゴタゴタが始まります。しかし、2年後には石原氏の敷いた路線通り、市場は豊洲へ移転で決着したことはご承知の通りです。

 では東京2020大会はどうか。確かに開会式・閉会式で目立ちはしたものの、招致に名乗りを上げたのは石原知事時代であって、小池知事はたまたま開催時に都知事の座に座っていたに過ぎません。つまり、大げさに言えば、市場移転も東京五輪も小池知事の実績ではない。小池知事は石原氏の描いた地図の上で踊っているだけなんですね、実は。(だからこそ、小池さんは石原さんに敵意むき出しだったのかも知れません。)

 つまり、政治家・小池百合子は都知事として、ほとんどこれと言った実績を上げていないということです。都知事1期目で思い出す政策って何かありますか。市場移転問題の政治利用以外に思い浮かびません。小池知事自身も実績が乏しいことを自覚しています。国会議員の時の実績でよく言及されるのはクールビズの導入ですが、うーん、石原氏の東京マラソンや尖閣諸島に比べると、小粒感が拭えません。

 だからこそ、小池知事は実績作りに躍起になっている。その筆頭が「テレワーク」です。もともとロンドン五輪の際、イギリスでテレワークが普及したことを受けて、東京五輪開催中はテレワークと強調していましたが、五輪がコロナに置き換わり、小池知事の発案の意味合いが薄れてしまいました。ご本人は「私の手柄」とおっしゃるでしょうが。。。

 そして、今、猛烈に押しまくっているのが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)です。令和4年度予算案でもDXがらみの事業が目白押しです。少なくとも今夏の参院選に向けて、予算で大きくぶち上げて景気づけをする必要がある。張りぼてでも構わないから、存在感を示す必要がある。しかしこれも、実体が伴うものなのか、しっかり見極める必要があります。予算だけ付けて具体的な効果に乏しい事業というのは都政ではよくあることですから。

 さて、石原氏の死去で改めて明らかになった、政治家として華々しい活動と実績。これを目の当たりにした小池知事の心中や如何に? 嫉妬に駆られているのか、はたまた政治的な野望を膨らませているのか。今年前半には一定の答えが出るのではないでしょうか。注目しています。

 

 

 

 

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