人事異動はロシアンルーレット

 3月、都庁の一般職員にとっては年に一度の人事の季節。3月中旬以降、順次、異動内示が上司から直接、本人に伝えられます。自分の異動希望(「異動したくない」も含めて)は、すでに自己申告の場で上司に伝えられていますが、希望が叶う保証はない。いや、希望が通らない可能性のほうがはるかに高い。自分は異動するのかしないのか、異動するならどの部署に行くのか、仕事が手に付かない日々を送っています。

 都庁職員と言えば、同じ部署に根を生やして十年一日のごとく同じ仕事をしているイメージが強いかもしれませんが、実態は真逆です。一般職員でも2、3年でまったく違う部署に異動することはザラにあります。管理職ともなれば「1年でさようなら」も珍しくない。特にこの2年間、コロナ対策で毎月毎週のように人事異動が発令されていますから、管理職は気の休まる暇がありません。(ちなみに、筆者は2か月3週間でまったく別の局に異動させられた経験があります。。。)

 こうした「コロコロ人事異動」が日常化している都庁方式をもって、ある管理職試験合格者がこう言っていました、「人事異動はロシアンルーレットです」と。物騒な物言いですが、意図するところは何か。ひとつは、人事異動は神のみぞ知る、一喜一憂しても仕方がないということ。諦めろという意味ではなく、積極的に受け入れましょうということです。この指摘はとても重要で、巨大な組織の中で生きていく上での鉄則だと思います。自分の希望が通る通らないを一方的に押し通そうとするより、大きな波に乗って進んでいくことの必要性です。

 二点目。ロシアンルーレットといえば、映画「ディアハンター」を思い出しますが、発言はあくまで比喩なので、人事異動によって命が奪われることはありませんし首になる訳でもない。だったら、ある種のサバイバル・ゲームとしてワクワク感を持って楽しむべし、とのメッセージが込められているような気がします。異動希望うんぬんは一旦置いて、未知の部署で自分が何ができるのか、新しい経験を積めるのか、前向きに捉えることの大切さを意味しているのだと思います。

 筆者は、ここまで述べてきた都庁式ロシアンルーレットによって何度も「死んだ・終わった」経験を持っています。現役の時は「ふざけるなっ」と怒ることもありましたが、今では、思いもよらない部署で思いも寄らない様々な経験をさせてもらってありがとうございました、と感謝しています。

 余談ですが、この原稿を執筆中、noteの注意欄には『「ロシア」「ウクライナ」に関係する内容の可能性がある記事です。』という注意喚起メッセージが常時表示されていました。ロシアンルーレット→ロシア→ウクライナ侵攻、なるほどなるほど。注意しましょう。といっても、何に注意すればいいのでしょうか。




 

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