クリスマスサンタクロースの国

おじさんの国からは今年のおじさんが、トナカイの国からは今年のトナカイが、いつもの場所で会うはずでした。

待ち合わせの時間になっても、トナカイは来ない、おじさんは来ない。 

どうしたんだろう。どうしたのかなぁ。 

じつは、おじさんはおじさんの国でおじさんしか知らず、トナカイはトナカイの国でトナカイしか知らなかったのです。おじさんは、おじさんの格好をしたトナカイを探し、トナカイはトナカイの格好をしたおじさんを探しました。

・・・見つからないはずです。しかし、トナカイに会わなければ、贈り物の国には行けません。おじさんに会わなければ、贈り物の国には行けません。 

さて、困った。はて、困った。そこで、しかたなく、 

おじさんは少し遠くの方にいるトナカイに話しかけることにしました。

トナカイも少し遠くの方にいるおじさんに話しかけることにしました。

おーーーーーーーい。とおじさんは叫んだ。

やーーーーーーーい。とトナカイは叫んだ。 

ちょっと臆病な、おじさんとトナカイのようです。           

おーーーーーーーい。やーーーーーーーい。

おじさんもトナカイも、叫ぶだけ叫んで疲れてしまいました。 

少し時間も過ぎて、、、

りんちゃん、りんちゃん、りんりん。りんちゃん、りんちゃん、りんりん。りんちゃん、りんちゃん、りんりん。りんちゃん、りんちゃん、りん、、、 

コロコロと鈴が転がってきました。 コロコロ、コロコロ、転がってきました。 

おじさんは1つ、鈴を拾いました。トナカイも1つ、鈴を拾いました。きらきら光る鈴を見つめると、おじさんと遠くのトナカイが映っていました。きらきら光る鈴を見つめると、トナカイと遠くのおじさんが映っていました。きれいだなぁ、とウットリしてしまいました。 もうひとつ、鈴を拾うと、贈り物の国へ向かうトナカイとそりに乗ったおじさんが映っていました。

ぇぇぇええええ~~~っ!!! 

おじさんとトナカイは、やっと近づいて互いに鈴を見せ合いました。 

急ごう!!!おじさんとトナカイは贈り物の国へ向かいました。 

贈り物の国には門限があって、その時間に間に合わなければ、今年の贈り物は全て消えてしまうのです。いままで、あんなに練習してきたのに、、、、 

おじさんはおじさんの国で、地球に在るいろんな国のいろんな家のカタチを学び、お家の入り方を学び、いろんなカタチの靴下を学び、朝と昼と夜の時間差を学び、様々な国の子供達や大人達の喜ぶモノを学び、1月~11月まで贈り物の届け方について、勉強と練習ばかりしてきました。 

トナカイはトナカイの国で、地球の様々な国の場所や地形を学び、気候を学び、朝と昼と夜の時間差を学び、そりを引いて走ることも飛ぶことも、1月~11月まで勉強と練習ばかりしてきました。 

おじさんの国でもトナカイの国でも、トナカイのフリをしたおじさんのままのおじさんで練習し、おじさんのフリをしたトナカイのままのトナカイで練習していたので、本物のおじさんとトナカイを知らなかったのです。 

毎年、毎年、贈り物の国に到着するおじさんとトナカイが門限ギリギリに到着するので、贈り物の国の姫は悩んでいました。しかし、どのおじさんもどのトナカイも毎年、毎年、選ばれた彼らは、その時代に合わせた知識や情報も豊富で、素晴らしい能力をもっていたのです。ただ、お互いに会う日が初めてで互いに姿を知らないので、遅れてしまうのです。鈴は、贈り物の国の姫さまの使いの者でした。門限が近くなっても到着の気配が無い時には、姫が鈴を鳴らしていたのでした。

そんな、感じで、長く長く続いていたのですが、ある時、姫は決めました。

おじさんの国とトナカイの国と贈り物の国を、統合しましょう。 

そうしましょう。わーーーーーーーーい。 

そうして、クリスマスサンタクロースの国となりました。 

おじさんがトナカイのフリをして練習することも、トナカイがおじさんのフリをして練習することもなくなり、おじさんもトナカイもたいへん知識と能力の豊富な素晴らしいコンビネーションで12月を迎え、たくさんの人々に贈り物を届けられるようになりました。

〆おしまい

全文、どーぞ。

#Xmas2014

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