名刺

名刺を持たなくなって何年だろう。出産を機に退職してからだから丸2年か。気持ち的にはもっと長いように感じる。

今は大して仕事をしていないけれど、時々名刺交換の場に出くわし、その度に居心地悪い気分になってしまう。いつも相手の名刺をいただきっぱなしでお返しに「ごめんなさい、名刺がなくって」と言い訳を添えているのだ。
そもそも、名刺交換時に名刺を渡せないことが失礼にあたるのかどうか。正直なところ、よくわからない。本音を言えば、別に失礼にならかいのではないか、と思っているところがある。だって、もし自分が名刺を差し出して相手が持っていなくとも、私はなんとも思わない。
名刺交換しなくても、会話が弾んだり印象に残った方は一度きりの挨拶でもお名前をしっかり覚えていることだってある。もちろん、昔、秘書をしていたとき、ボスが名刺を渡しそびれたお客様へはその日のうちに名刺とお手紙を郵送で送るなど、対応していたので、立場や場合により、名刺を渡しておくことがどれだけ重要かは分かっているつもりだ。けれど、今の、自分の場合はどうだろう。仮に名刺を用意するとして、、、一体どういう立場、肩書き、そして心持ちで名刺を持つのが良いのだろうか。

自分の肩書きを用意するのが苦手だ。

出来ることなら、肩書きなんて気にせずに、ひと出会ったり、意気投合したり、一緒になにかに挑戦したり、してみたい。

きっと今はまだ、ふらふらと迷い中なのかもしれない。そして、このなんだかモラトリアムな状況も、案外嫌いではない。自由な振りしてひとり心で遊んでいる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?