地方で音楽とともに生きる人

中学生のときから「音楽」で生きてゆくことを決めていた。

彼の言葉には実に無駄がなく、必要なメッセージが決して多くはない言葉数のなかに込められていた。それは、彼の、これまでの経験と、そこから得た教訓や考察の数、苦労の数を想像させた。洗練された思考が感じられた。二十代で吸収し、三十代のどこからのタイミングで、それはそぎおとしていく作業に変わったのだろう。現在四十歳の彼は、いい感じにそぎおとされていて、言葉も、そして醸し出す雰囲気からもソリッドな印象を感じた。

「地方における音楽の果たす役割について」。そして、「地方における表現の可能性について」。「先のことは何も決めていなかった」という彼の頭のなかには、きっと無数の可能性が秘めているのだろう。いや、きっと、何も決めていないことと同じくらい、無数の企てをストックしているのだろう。

飄々と、言葉を発信してくれる彼のスタンスは、きっと多くの若者を牽引するにちがいない。

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