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キャプテンとして初めての1本【2/11 対日本ハム戦▲】

阪神タイガースのキャプテンが交代した。昨年までキャプテンを務めていた大山悠輔から、キャッチャーの坂本誠志郎になった。これまでとは違って選手間で投票を行い、複数の候補から坂本が選ばれたのだ。プロ野球の世界でレギュラーではない選手がキャプテンに選ばれるのは異例のことかもしれない。

けれども坂本が何よりもチームのためを思って行動できる人物であることを、きっとチームメイトは知っている。僕たちファンも知っている。だからキャプテンに選ばれたんだ。

ホームランを打ったタイガースの選手にメダルを贈呈して祝福するパフォーマンス、通称「虎メダル」は坂本が考案したものだ。佐藤輝明がシーズン最多三振の新人記録を更新した翌日は表彰状を用意し、これからも変わらず思い切ってプレーしてほしいと勇気づけた。ほかにも持ち前の英語力で外国人選手とコミュニケーションを図ったり、シーズン途中でトレード加入した選手がチームに馴染みやすいようにサポートしたりと、ユニークなアイデアと優しい心遣いでタイガースを1つにまとめてきた。

タイガースには梅野隆太郎という絶対的な正捕手がいて、坂本に出番が回ってくることは少ない。それでもチームを影から支えようとする坂本の献身的な姿勢が、僕はたまらなく好きだ。

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▲坂本は通訳なしで外国人選手とコミュニケーションを図る

今日の練習試合、スタメンマスクを被ったのは坂本だった。5回表、先頭の大山がヒットで出塁する。後続が凡退する間に進塁し、2アウト3塁のチャンスで坂本に打席が回ってきた。ファイターズ・福田俊が投じたやや低めのボールをすくい上げると、打球は逆風に負けることなくレフトポール近くのスタンドに落ちた。先制の2ランホームラン。ゆっくりとホームに帰ってくる坂本を、先にホームインした笑顔の大山が出迎える。元キャプテンと新キャプテンで取った先制点に、胸が熱くなった。

僕は1つ勘違いをしていた。
坂本は今のポジションに満足しているわけじゃない。プレーヤーである以上、坂本だって試合に出たいんだ。ましてや今年からは選手の代表であるキャプテンに就任する。グラウンドの中で選手たちを引っ張っていきたいという思いは必ずあるはずだ。

昨シーズンの最終盤、梅野が不調に陥ったことで坂本に出番がまわってきた。スタメンで出続けたときの坂本は、かっこよかった。勝利への執念を全面に出してプレーした坂本は、とっても頼もしく見えた。もっと試合に出たい、もっと活躍したい。ずっと心の内に秘めていた思いを、グラウンドで静かに、されど熱く解き放っているように感じられた。

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誤解のないように言うと、坂本は今のままでもタイガースのキャプテンにふさわしい選手だと思う。これだけチームや仲間のことを考えて行動できる選手はそうそういない。
けれどもベンチの中だけじゃなくて、グラウンドの中で味方を鼓舞する坂本を、僕はもっと見たい。プレーでチームを引っ張る坂本が見たい。その気持ちが改めて強くなった「新キャプテンの1発」だった。

もうムードメーカーだけじゃない。2022年の坂本はプレーでも僕たちを奮い立たせてくれる。

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