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故人様は1Fのリビングの奥の和室で安んでいました。

私たちがご挨拶をした後、集まっていたご家族は準備の間2Fへ上がり
待って頂くことの流れで皆様2Fへと向かわれました。

その時、小学生の男の子が私のところにすっと近寄ってきて、
『僕の父を、お父さんをよろしくおねがいします』
と言って頭を下げました。

声が出なかった私は、ただ彼を見て頷くことしかできませんでした。

まだ小さな男の子がこんな風に話すこと、
お父さんの死を理解していること、
私は心がつまった・・・そんな感じがしました。

まだ、若いお父さんで自死でした。

働き盛りのお父さんには、スーツをご希望でお着せしました。
首の跡が見えないように十分配慮しながら、
湯灌から納棺まで行いました。

私がまだ、この仕事について2年程の時でした。

あの時の、男の子はもう大人に成長しているはずですが、
あの時の、彼の言葉・印象
お父さんの顔や家の様子は今でも忘れられません。

もう20年も前の話だけれど、
私の仕事の重さを大きく感じたあの日、
今も心に残っています。 

​【有限会社統美HP】https://toubi-tokyo.com/

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