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410字のショートショート

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#ショートショートnote杯 と同じく、410字以内で完成されたショートショート作品。
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#完成された物語

足りない料理店|#完成された物語

「足りない」 それが店長の口癖だったよ。 売上が足りない、客が足りないといった定番のモノから、従業員、名物メニュー、評判、そして看板娘まで……まったく聞いてるこっちがウンザリしちまったよ。 ある日のこと店長はこう言ったんだ。 「食器が足りない」ってね。 やれやれと思ったよ。 働いているから分かるけど、別に食器が足りなかったことなんて一度もない。他のものだって全部そう……足りないと思ってるだけ。 私はいい加減にウンザリしてつい文句を言っちまった。 「足りないのは

レストラン『マテリアル』|#完成された物語

「うーん、足りない……」 「何が足りないって言うんすか料理長。お客すか? それとも売上?」 「バカいえ。ちゃんと毎月お前の給料も支払われてるだろ」 「それもそっすね。じゃぁ従業員すか?」 「お前、自分が忙しいと思ってるのか?」 「確かにそうでもないっすね。じゃぁ名物のメニューとかすか?」 「うちには看板メニューがあるだろ」 「じゃぁ看板娘?」 「来月になったら入るぞ」 「え、マジすか!やったー!そしたら食器すか? 日に日に足りなくなるとか」 「そいつはホラ

使命を果たす男|#完成された物語

最初は目にゴミが入っただけだと思ったね。 それは……異様だったから。 それは黒い歪んだ球体のようにも見えて、極彩色の人型にも見え、半透明な獣のようなシルエットにも見えた。 五感とは別の新たな感覚器官が備わって、それで視えてるという感じなんだ。 そんなものが僕の目ー 便宜上”目”ということにしておくけどー に映るようになった。 最初は道端でたまに見かける程度だったのに、それは日に日に増えていった。 そのうち目を閉じていても視えるようになった。 僕は気が狂いそうにな

おじいちゃん部|#完成された物語

最近、公民館の予約表に『おじいちゃん部』がよく登場する。 「何かしら、おじいちゃん部って。老人会の男性版?」 私は気になって部屋をそっと覗いてみることにした。 すると、当然というべきかおじいちゃんたちが居座っており、映画を見ながらガヤガヤとしていた。 「映画好きの集まりだったのね」 そう納得して立ち去ろうとすると聞き覚えのある声が耳に入る。夫の声だ。 そして視線を戻すと夫がタバコを咥えている。 「あんた!医者から止められてるでしょ!」 「お、お前……これは違う