金持ち鬼|ショートショート|410字
「で、どうする?」
「俺は―」
桃太郎はこれまでの経緯を思い返していた。
*
悪事を働く鬼を懲らしめて財宝を持ち帰ろうと決めて家を出た。働くのも嫌だったし。
道中で出会ったイヌ、サル、キジを仲間にした。消費期限の怪しい『きびだんご』で。
船を使って鬼ヶ島まで渡った。船乗りは嫌そうな顔をしてたけど。
そして……鬼に出会った。金持ちの。
*
「世界の半分だぞ? こんなサービス滅多にしないぜ?」
「なぜそんな気前がいい?」
「そりゃ金持ちだからな。気分さ」
「……」