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ショートショートnote杯の作品

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ショートショートnote杯で投稿した作品です。 https://note.com/simpeiidea/n/n494a3af60f97
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#ほろ酔い文学

しゃべるピアノ

その男は毎日のように路上でピアノ演奏のパフォーマンスをしていた。 彼の演奏はそれは素晴らしく、ピアノでの演奏の限界を超えているようにさえ感じさせるその音色は人々を魅了し、多くの投げ銭による収入を得ていた。 しかし、ある日のこといつものように彼が演奏していると急に演奏が止まってしまい、それと同時に咳き込んだような音が聞こえてきた。 彼の演奏を見ていた観客たちが何事かとピアノに駆け寄る。彼は日頃からピアノに近寄ることを禁止していたが、一度起きてしまった流れは止められない。

空飛ぶストレート

俺はいつだって真っ直ぐに飛び続けていた。 まわりに何が飛んでようが、あるいは地べたを這っていようが俺には関係ない。ただ飛び続けるだけだ。 しかし、ある日のこと俺は自分を曲げちまうことになる。 HELP! その救助信号を受信した俺はなぜか柄にもなく向っちまったんだ。別に助ける気があったわけじゃないのにな。 近づくとそいつはひどい事故にあっていて、放っておけば命はない状況だった。 放っておいてもよかったんだが、どうしてか俺は助けに向っちまった。その時のやつの表情は忘れ