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小説の感想・レビュー

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読了した小説の感想・レビューなどです。
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#ミステリ小説

麻倉玲一は信頼できない語り手|感想・レビュー ★4.5|変化球だがエンタメ性が高いミステリ

読了したので感想です。 * 短くまとめるとエンタメ性がとても高いミステリ。 人によっては続きがどんどん気になって一気読みしてしまうはず。『硝子の塔の殺人』や『悪の教典』などが気にいる人は合うと思う。 帯に書かれた紀伊国屋書店員さんの一言が良い。 * ”信頼できない語り手”私は太田忠司氏の作品を読むのは初めてでした。 Web上のミステリまとめ記事か何かで本作を知り、タイトルに含まれる”信頼できない語り手”という文言に非常に惹かれて気になっていました。 ミステリが

ヨルガオ殺人事件|感想・レビュー(★3.5)|前作が気に入ったならオススメ

今、一番話題になっているであろう海外ミステリ作家、アンソニー・フォロヴィッツ氏の『ヨルガオ殺人事件』を読了したので感想です。 短くまとめると面白くないことはないけれど、傑作にはほど遠い。 作中作は相変わらずおもしろいが。 『カササギ殺人事件』などの著者の作品が気に入った人は合うだろうけれど、そうでない人はやっぱり合わないのではないか。 * カササギ殺人事件私は『カササギ殺人事件』から同氏の作品に入りました。海外ミステリとしては珍しく話題になっているようだったので、試

密室から黒猫を取り出す方法|感想・レビュー|★3.0

読了したので、軽く感想です。 * 概要北山猛邦氏によるライトな短編ミステリ『踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿』の2作目です。 来年には3作目が数年ぶりに出版されるとかどうとかで、その流れがあって本作も文庫化されたのかもしれません(文庫化は2021/1/29)。 引き続き、気弱な名探偵である音野順が事件を解決するというのがメインストーリーになっており、前作と同様に5作の短編が収録されています。 密室から黒猫を取り出す方法 人喰いテレビ 音楽は凶器じゃない 停

medium 霊媒探偵城塚翡翠|感想・レビュー(★2.0)|あるいは誇大なキャッチコピーの罪について

読了したので感想です。 * 読み始める前本屋に行けば必ずのように平積みされ、目に入るのは『ミステリランキング5冠!』という謳い文句。そして、帯の背には『すべてが、伏線』という○○トリックの存在を暗示させるような、読者への挑戦状とさえ感じさせるような強烈な謳い文句。 まぁ、少しでもミステリを読んでいる人間であれば、これを読まずには居られないと感じるでしょう。 私も以前からずっとこの作品は気になっていたのですが、最近 Twitter で文庫化されたのを知って、この機会に読

踊るジョーカー|感想・レビュー|★3.5

読了したので、軽く感想を書いてみたいと思います。 概要北山猛邦氏によるミステリ短編集となっており、以下の5作品が収録されています。 踊るジョーカー 時間泥棒 見えないダイイング・メッセージ 毒入りバレンタイン・チョコ ゆきだるまが殺しにやってくる 気弱で自信の無い名探偵『音野順』と推理作家の『白瀬白夜』の2人が、ホームズとワトソンのような立ち位置で一緒に事件を解決していくという内容になっています。 ◆ 感想どれも70ページ前後の短編として仕上がっていて、サク