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小説の感想・レビュー

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読了した小説の感想・レビューなどです。
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2021年12月の記事一覧

偶然の聖地|感想・レビュー(★4.0)|普通の小説に飽きている方へオススメしたい1冊

読了したので感想です。 読む前私は『超動く家にて』というSF短編小説から著者を知りました。 書店で見かけて気になって購入したのですが、面白いSF短編がたっぷり詰まっていて、気分で買った小説としてはかなり当たりでした。そして、本作を読んだときに”この作家は本当に筆力のある人だ!”と感じました。 個人的に”筆力”と”面白い物語を考える能力”は全く異なるスキルであると考えています。 例えば、日本で一番有名な作家といえば東野圭吾氏(*1)に他ならないと思いますが、個人的に筆力

密室から黒猫を取り出す方法|感想・レビュー|★3.0

読了したので、軽く感想です。 * 概要北山猛邦氏によるライトな短編ミステリ『踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿』の2作目です。 来年には3作目が数年ぶりに出版されるとかどうとかで、その流れがあって本作も文庫化されたのかもしれません(文庫化は2021/1/29)。 引き続き、気弱な名探偵である音野順が事件を解決するというのがメインストーリーになっており、前作と同様に5作の短編が収録されています。 密室から黒猫を取り出す方法 人喰いテレビ 音楽は凶器じゃない 停

medium 霊媒探偵城塚翡翠|感想・レビュー(★2.0)|あるいは誇大なキャッチコピーの罪について

読了したので感想です。 * 読み始める前本屋に行けば必ずのように平積みされ、目に入るのは『ミステリランキング5冠!』という謳い文句。そして、帯の背には『すべてが、伏線』という○○トリックの存在を暗示させるような、読者への挑戦状とさえ感じさせるような強烈な謳い文句。 まぁ、少しでもミステリを読んでいる人間であれば、これを読まずには居られないと感じるでしょう。 私も以前からずっとこの作品は気になっていたのですが、最近 Twitter で文庫化されたのを知って、この機会に読

踊るジョーカー|感想・レビュー|★3.5

読了したので、軽く感想を書いてみたいと思います。 概要北山猛邦氏によるミステリ短編集となっており、以下の5作品が収録されています。 踊るジョーカー 時間泥棒 見えないダイイング・メッセージ 毒入りバレンタイン・チョコ ゆきだるまが殺しにやってくる 気弱で自信の無い名探偵『音野順』と推理作家の『白瀬白夜』の2人が、ホームズとワトソンのような立ち位置で一緒に事件を解決していくという内容になっています。 ◆ 感想どれも70ページ前後の短編として仕上がっていて、サク