T4b食道扁平上皮がんに対する化学放射線療法後の食道瘻孔

Chen B et al. Radiother Oncol. 2021. PMID: 33667583
・T4b 食道扁平上皮がんに対する化学放射線療法後の食道瘻孔
・後ろ向き研究(中国)
・食道瘻孔形成のリスク因子:潰瘍型および気管/気管支への浸潤

<背景と目的>
・T4bの食道扁平上皮がん(ESCC)において根治的化学放射線療法(CRT)は推奨される治療法ではあるものの、治療効果や合併症に関しては不明な点も多い。
・局所進行食道扁平上皮がん(ESCC)の治療の際、食道の瘻孔形成は化学放射線療法に関連した重篤な合併症であるが、瘻孔形成のリスク因子に関するデータは限られている。
・今回の解析の目的は、化学放射線療法により治療されたT4bの食道扁平上皮がんの治療成績を評価し、食道の瘻孔形成のリスク因子を調査することである。

<対象と方法>
・化学放射線療法により治療されたT4bの食道扁平上皮がん(ESCC)患者136例を後ろ向きに解析した。
・奏効率、生存率、合併症(特に食道の瘻孔形成)の発生率とその関連リスク因子を解析した。

<結果>
・無増悪生存期間の中央値は7.9ヶ月(95% CI 6.1-9.7)、全生存期間の中央値は12.2ヶ月(95% CI 8.9-15.4)
・カプランマイヤー曲線を用いた解析では、全生存率は3年 29.9%、5年 20.2%と推計された。
・食道瘻孔の発生率は30.1%。
・食道の瘻孔形成が認められた患者群では、全生存期間の中央値は6.9ヶ月(95% CI 6.0-7.8)であった。
・潰瘍型の腫瘍(オッズ比 3.20, p=0.011)、気管/気管支への浸潤が認められる腫瘍(オッズ比 3.38, p=0.048)で食道の瘻孔形成リスクが高かった。

<結論>
・化学放射線療法により治療されたT4bの食道扁平上皮がん患者では、治癒の可能性はあるものの、食道の瘻孔形成が高頻度に認められ、治療の不成功の主な原因であった。
・潰瘍型の腫瘍や気管/気管支へ浸潤のある腫瘍では瘻孔形成のリスクが高い。

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