早期非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療 ー 放射線肺臓炎のリスク因子 ー

Kita N et al. Clin Transl Radiat Oncol. 2023. PMID:37346273

<背景と目的>
・本研究では、早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)後の症候性肺臓炎(RP)のリスク因子の同定を試みた。

<対象と方法>
・体幹部定位放射線治療(SBRT)が行われた早期非小細胞肺がん(NSCLC)患者244例をレビューした。
・主要評価項目:グレード2以上の放射線肺臓炎の発生率。
・Grayテストを行い、臨床的なリスク因子とグレード2以上の放射線肺臓炎(RP)との関連を評価し、多変量解析にはFine-Grayモデルを用いた。
・ROCカーブを用いて、最適な閾値の検証を行った。

<結果>
・経過観察期間の中央値は48カ月
・4年累積グレード2以上の放射線肺臓炎発生率は15.3%であった。
・Grayテストの結果から、腫瘍サイズ、中枢性腫瘍、間質性肺炎、生物学的等価線量(BED)と放射線肺臓炎との関連を認めた。
・多変量解析において、中枢性腫瘍(p<0.001)および間質性肺炎(p=0.002)が有意な因子であった。
・線量パラメーターにおいては、肺に照射される線量と肺臓炎との相関を認め、8Gy以上(V8)、10Gy以上(V10)、20Gy以上(V20)および平均肺線量(MLD)が放射線肺臓炎(RP)と相関していた。
・Fine-GrayモデルおよびROCカーブの解析結果では、V10>16.7%が症候性の放射線肺臓炎(RP)発生の最もよい指標であった。

<結論>
・今回の結果から、中枢性腫瘍と間質性肺炎が症候性の放射線肺臓炎のリスクであり、肺のV10 16.7%以下が体幹部定位放射線治療(SBRT)の指標として推奨されることが示唆された。

<個人的メモ>
Lung V5(しきい値:22.2%) 10.6% vs. 21.7%
V8(しきい値:19.5%)10.6% vs. 26.2%
V10(しきい値:16.7%)10.2% vs. 26.9%
V20(しきい値:7.9%)10.2% vs. 27.0%
平均肺線量(しきい値:5.2Gy)10.6% vs. 26.3%


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