化学放射線療法により治療されたT4食道がん患者の瘻孔形成解析

Taniyama TK et al. Esophagus. 2020. PMID: 31506805
・化学放射線療法により治療されたT4食道がん患者の瘻孔形成の解析
・後ろ向き研究(日本)
・リスク因子:CTの軸位断像における腫瘍サイズ


<背景と目的>
・瘻孔形成はT4(周囲臓器への浸潤)食道がんの合併症の1つとして知られている。
・T4食道がんに対する標準治療は化学放射線療法であるが、化学放射線療法に伴う瘻孔形成に関する詳細なデータは限られている。
・特に、T4食道がんの画像的な知見は報告されていない。
・今回の研究では、T4食道がんに対する化学放射線療法を受けた患者の臨床情報に基づき、瘻孔形成のリスク因子を評価した。

<対象と方法>
・根治的/緩和的化学放射線療法前に瘻孔形成のない59例のT4食道がん患者の臨床データを後ろ向きに検討した。

<結果>
・臨床経過中に18例(31%)に瘻孔形成が認められた。
・瘻孔形成が認められなかった患者群と比較して、瘻孔形成が認められた患者群では全生存期間が有意に短かった(中央値:259日 vs. 346日, p=0.034)。
・ステップワイズ法を用いた多変量解析において、CTの軸位断像における腫瘍サイズが独立したリスク因子であった(オッズ比 1.23, 95% CI 1.11-1.41; p<0.0001)。
・軸位断像にて腫瘍サイズが50 mmの患者14例のうち、12例に瘻孔形成が認められた。

<結論>
・CTの軸位断像における腫瘍サイズが大きいことが、瘻孔形成のリスク因子である。

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