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令和6年1月26日(金)から note に連載する小説『蒼生のレファレンス』 告知映像です。
こんにちは、小清水志織です。 『蒼生のレファレンス』は本日をもって一つの区切りを迎えまし…
目が覚めてしまえば、あっけないほど世界は平和だった。 分天の祭りで多大な犠牲者が出たこと…
エルが天井高く跳躍した。 空気のざわめきと硝煙のゆらぎが彼の輪郭を曇らせる。 アルファル…
こんな匂いを、エレナは知っていた。 十年前、深夜にベッドの上で目覚めたとき,大好きなマホ…
はるか遠くで弾けた爆音は、エルたちのいる宿舎の敷地にまで鈍く響き渡った。 「まさか……?」 カペラと表に駆けだしたエルは、西方につづく坂道の上から高く火の手が上がっているのが見えた。 「あの場所は……。《ウラヌス》!」 エルは全速力で走り出した。後ろからカペラの呼び止める声が聞こえたが、振り返ることなく人の群れを縫うように進んだ。 私立ミレトス学院の生徒もよく利用するその喫茶店は、美味しいと評判のコーヒーと、店長アルファルド・モーンの気さくな人柄によって街の人に愛さ
エルとカペラが会っていたのと同時刻。 エレナ・ローゼンハイムは長い凸凹の坂道を登って、喫…
カペラ・オリーヴェの部屋にエルが訪れたのは、午後の授業が終わった夕方のことだった。 早く…
空気の透きとおる朝。雲ひとつない秋晴れの空にむかって硝煙が立ち昇っている。 エルは熾きが…
降り注ぐ火の粉が公会場を昼間のように照らしていた。割れる火炎瓶。絶え間ない爆発音。逃げ惑…
豪華絢爛、という言葉が今日ほど似合う日も少ないだろう。 錦糸の刺繍が施された紅麻の帷子を…
「だっさ。こいつが強盗を倒したって大嘘ね」 梯子から滑り落ちて頭を抱えているエルを見下ろ…
「本校が建っているハレーという地域は、五百年前まで城塞として利用されてきた。北側には当時から商業の中心地であったウノ市街を見下ろせ、隣国と国境を接する他の三方は天然の断崖によって守られている。しかし、孤立した自然環境は文明の発達を遅らせ、前時代的な卜占や精霊信仰によって村落が運営されていたという。当時ハレーの大半を占めていた民族こそ、君達のよく知っているユーリア人である」 ピーコック先生による帝国史の講義は不人気だ。五十人規模の教室で居眠りする者が何人もいる。起きていても大