Ethno Fantasy

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EF ^^/ 然修緑 第2集 第16回

EF ^^/ 然修緑 第2集 第16回  一、想夏 (15)  門人学年 カズキチ ({美童|ミワラ}・{齢|よわい}十二)  「息恒循」齢 立命期・少循令・石将    脳防の予備知識  なぜ、電脳チップが純正脳を支配できたのか。  逆に、電脳チップから自然脳を護るためには、どうすればいいのか。  ぼくらは、あまりにも、生まれ持った自分の脳に対して無知だったのではないか。  亜種記に載っている{美童|ミワラ}たちは、脳科学、東洋哲学、原始仏教、西洋心理学などを、盛ん

    • EF ^^/ 後裔記 第2集 第20回

      EF ^^/ 後裔記 第2集 第20回    一、想夏 …… 立命期、最後の一年 (10)  観念したかのように、エセラは畳の上に尻をついた。  肝臓机と姿見を交互に見据えていた視線が、部屋全体を巡りはじめた。  依然、どんなに目を凝らしても、部屋の様子がはっきりとは掴めない。  すべてが暗闇色ということもあったが、それより何より、浮かび上がるものすべてが、エセラが生まれてこのかた初めて見る異質な物ばかりで、イメージ記憶をどんなに探っても、一致するものが微塵も見つからな

      • EF ^^/ 然修緑 第2集 第15回

        EF ^^/ 然修緑 第2集 第15回  一、想夏 (14)  門人学年 カズキチ ({美童|ミワラ}・{齢|よわい}十二)  「息恒循」齢 立命期・少循令・石将    無言で幽霊と言葉を交わす脳力  エセラが、無言で幽霊と言葉を交わした。  地獄の館での体験を、後裔記に書いていた。  エセラの脳ミソは、どうやって幽霊と会話できたんだろう。  霊感?  洞察力?  同じ読み方で、直観と直感がある。  直観は、遺伝子の記憶を掘り返して、鋭い洞察力となる。  では、霊感

        • EF ^^/ 後裔記 第2集 第19回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第19回    一、想夏 …… 立命期、最後の一年 (9)  少女に思えたその声は、確信に変わっていた。  暗闇とほとんど同じ色で、ぼんやりと何かが見える。  肝臓を輪切りにしたような、{歪|いびつ}な形をした学習用の座卓。  その左横には、姿見の大きな一面鏡。  (母さんが使っていた鏡と、なんだか似てるな)と、エセラは何気に思った。  何かを思い出すことはできても、何かを記憶に残そうという気にはなれなかった。  この世に存在しない少女の

        EF ^^/ 然修緑 第2集 第16回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第14回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第14回  一、想夏 (13)  門人学年 エセラ ({美童|ミワラ}・{齢|よわい}十三)  「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将    音楽は、這い這いに勝る  ぼくは、這い這いの記憶は、どうしても思い出せないけど、初めて聴く音楽なのに、なぜか無性に懐かしく思ってしまうことがある。  ぼくは、生まれて初めて出逢った音楽を、どうしても思い出せない。  みんなは、どうなんだろう。  (そんなことを題材にしている本なんて、ないよなッ!)と思っ

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第14回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第18回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第18回    一、想夏 …… 立命期、最後の一年 (8)  八月。  七月と変わらぬ一日が、始まった。  亜種記に描かれてた{美童|ミワラ}たちは、同じ八月、離島疎開した。  だが、今となっては、疎開したところで安全な島など、どこにもない。  出遅れたカズキチを置き去りにして、エセラは一人、浜辺を出た。  向かった先は、地獄の館。  奥の真っ暗な窓のない部屋から、耳慣れた曲が流れてくる。  浜辺に残されたカズキチは、一の喜家の三姉妹から質

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第18回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第13回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第13回  一、想夏 (12)  門人学年 エセラ ({美童|ミワラ}・{齢|よわい}十三)  「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将    日本人とは何か?  亜種記の然修録編に、『代表的日本人』という本が取り上げられていた。  冒頭から順次要約するような内容だったと思う。  先輩の{武童|タケラ}たちが少年少女だったころに書いた要約は、たしかに原書よりは読み易く、理解もし易いものだと思う。  でも、その本が{上梓|じょうし}されたのち、後

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第13回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第17回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第17回    一、想夏 …… 立命期、最後の一年 (7)  エセラとカズキチは、空想の中で、はっきりと少女の姿を見ていた。  配置に着いた二人は、それを確かめるべく動き出した。  古びた焼杉を下見張りにした勝手口らしきにところに、片引き戸がついている。  見張り番のカズキチが、エセラに向けって「中に入れ!」と、目でサインを送る。  エセラは、恐る恐る片引き戸のノブを回した。  戸が、ゆっくりと開く。  薄暗い部屋の中に、女の子の姿が浮かび上

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第17回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第12回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第12回  一、想夏 (11)  門人学年 エセラ ({美童|ミワラ}・{齢|よわい}十三)  「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将    エリートが潰され国亡ぶ  維新、エリートがリーダーになり、{日|ひ}の{本|もと}の独立を護り抜いた。  聖驕頽砕……俗に言う環太平洋戦争、エリートが潰され、日の本の国は、滅んだ。  その亡国、選挙も不可思議だ。  烏合の衆を国民が選び、烏合の衆が、国家のリーダーを決める。  逆だと思う。  国民が

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第12回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第16回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第16回    一、想夏 …… 立命期、最後の一年 (6)  怪奇な古ぼけた家、ここは、もうどれくらい生きものが住んでいないのだろうか。  エセラは一人、古屋の裏側に廻り、勝手口の前で立ち止まった。  ここから入れば、どの方角からも、背中の曲がった老人に見{咎|とが}められることはない。  空き家とは言え不法侵入、当然エセラには、後ろめたさがあった。  この古屋に関して、一つの{噂話|うわさばなし}が残っている。  一人の美しい女が、村人た

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第16回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第11回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第11回  一、想夏 (10)  門人学年 エセラ ({美童|ミワラ}・{齢|よわい}十三)  「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将    世界で一番異質なガイジン  外国人のガイジン論が、面白い。  外国人から見たガイジンとは、我ら日本人のことだ。  亜種に分化する以前から、日本人は異質だったのだ。  敗戦で国が亡ぶまで、悠久と続いた海洋の中の一国一文明一民族。  かつて{日|ひ}の{本|もと}の国は、現存する古代国家と言われ、奇跡の国家

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第11回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第15回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第15回    一、想夏 …… 立命期、最後の一年 (5)  その夜、妹たちとトモキは、早々にガースカ就寝。  母のゆか里は{胡坐|あぐら}、エセラはその前で静座である。  母、俄かに語りだす。  「何度も言わないから、辛抱してお聴き。  ほのみやえみみは未だしも、めろんやトモキを外に置き去りにするのはダメです。  おまえは、トモキとめろんの父親代わりなんだからね。  思い出してごらんよ。  おまえが七歳や八歳だったころのこと。  そのころ

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第15回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第10回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第10回  一、想夏 (9)  門人学年 エセラ (美童 齢十三)  「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将     歴史を読まないから未来が亡びる  調査によると、亜種に係わらず、父兄や教師や子等にも係わらず、日本人は、本を読まなくなった。  特に、肝心な子等が、{甚|はなは}だしく読まなくなった。  その傾向は、学年が上がるほど、徐々に読まなくなってゆく。  学校に通うだけで精一杯で、疲れ果て、教養のための読書や人間力を養うための読書を

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第10回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第14回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第14回    一、想夏 …… 立命期、最後の一年 (4)  良く晴れた昼下がり、この自然{民族|エスノ}の集落の{子等|こら}は、太陽神への恐れを知らない。  浦の砂浜に集い、思い思いに転がって過ごす。  仰向けになって目を細めて太陽神を見遣っていメロンが、唐突に言った。  「なんで男の子たちって、太陽に向かって吠えるのォ?」  首を右へ振ると、磯女が住むと伝えられる崖が見える。  この辺りの砂浜は、ダキの浜と呼ばれている。  エセラが困

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第14回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第9回

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第9回  一、想夏 (8)  門人学年 エセラ (美童 齢十三)  「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将     闘いから、戦いへ  一、心を鍛える イコール 闘い  二、敵を亡ぼす イコール 戦い  亜種記にあったムロー学級の先輩たちは、闘った。  それで、よかった。  でも、ぼくらは、戦わなければならない。  時間は、止まってはくれないからだ。  {日|ひ}の{本|もと}最古の兵書、『闘戦経』を読んだ。  兵者は{稜|りょう}を用

          EF ^^/ 然修緑 第2集 第9回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第13回

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第13回    一、想夏 立命期、最後の一年 (3)  夏も盛り、ある夜のことだった。  エセラは、{仕来|しきた}りの旅への焦りで、寝つけない夜を過ごしていた。  そこへ、ほのみたちを寝かしつけたばかりの母が、エセラの枕元に座った。  そして、意味ありげに、小声で語りはじめた。  「おまえの知らないことが、いっぱいあるんだよ。  不思議なこと、そして、神秘も。  そのほとんどが、おまえが生まれる前に起きたことさ。  母さんも生まれていない

          EF ^^/ 後裔記 第2集 第13回