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【2023・8・5/6 劇団マリーシア兄弟「SUN ON THE CELING」】

劇団マリーシア兄弟第13回公演「SUN ON THE CELING」を観劇。

一時期舞台をたくさん見に行っていたが、コロナ禍とかで間が空いたせいで、追っかけていたところもなくなり、現在、自分の中での、新作を楽しみにできる唯一の劇団になった「マリーシア兄弟」。

その最新公演が昨年11月以来に行われた。
場所は下北沢で、彼らの舞台を初めて見たのも下北だった。前回は池袋だったので4年ぶりの下北凱旋になる。
今回の劇場に行く通り道で、前にやっていたところの前を通ったら、バーチャルゴルフ場になっていて、時の流れを感じた。

初日も二日目も結局同じあたりで見た

今回、公演の詳細が出た時に思ったことは、「え、班が分かれるの?」と「今回は人多いなぁ」だった。前者は「いつ見に行こう」、後者は「人覚えられるかなぁ」という悩みに直結して、どうなるんだろうと思いながら、予定が合った「天晴」班(狩野健太郎さんが入ってる方)の公演を見ることに。

結果的に、一回見て、帰り道にいろいろと考えていたら、対面の班も見ておきたいと思って、千穐楽の「快晴」チームの回を見ることにした。可能であればお芝居は複数回見ると、理解度も違うし、あれはアドリブだったんだな、ということにも気づく。


さて、今回の「SUN ON THE CELING」(以下SOTC)。どういう物語なんだろう?と、あらすじを見る。

SOTCチラシ

その総合病院は、創立以来最大の危機的状況にあった。
大物官僚の手術失敗、救急搬送された死刑囚の脱走、院長の死。
存続すら危うい危機的状況の中で病院存続をかけ、次期院長への推薦権を得る為の会議が始まろうとしていた。

SOTCチラシより

いきなりの情報量で?となってしまったが、なるほど「病院モノ」ですか。と。
会場に入ったら、テーブルと椅子が置かれたセットを見て、変な安心感があった。
マリーシア兄弟といえば「会話劇」「バックヤード物」という特徴があるので、今回も変わってなかった、という安堵。

今回は病院が舞台だったので、気持ち医療用語が多かったけど、それについては記号みたいなものなので、わからなくても、物語には入っていける。
次第に会話の内容から、ある会議室に先生方が集められているんだな、ということがわかり、そこからは色々な人が会議室を出たり入ったりして、物語が進んでいく。

初めの方に書いた「人多いなぁ」については、よくある「いくらでも増やせるモブ的端役」の存在が好きではない、という個人的嗜好もあり、劇内でたくさん登場人物出てきて「まとまるのかなぁ」という勝手な心配があった。

これは前作も同じことを感じたが、今回も色々な個性的な登場人物が出てきて、うまい具合に拡散しつつも、物語はブレずに進んでいて、さすがだなと。

90分ぐらいのお芝居で、2回目の暗転が多分60分ぐらいのタイミングだと思うのだが、そこで本編が終わりかなと思っていた。時間にしては濃いお芝居で楽しかった、という感想で終わるところだった。
その後、明転し、成見の回想(夢?)のシーンが始まり、物語が終盤に向けて動いて行った。

成見と海外に行った同僚の役で、代表の大浦さんが登場したときは嬉しかった。今回キャスト表に名前が載ってなくて、ちょっと寂しかったので、演技が見れてよかった。

その後、シーンが会議室に戻り、成見が語るシーンで今回のタイトルの「SUN ON THE CELING」(セリフでは「天井の太陽」だったと記憶してる)が出てきた。このセリフがタイトルになってるという意味を考えながら、2日目は見ていた。

最後は三者三様の「次の一歩」を踏み出して終わって行くのだが、今回特に人との関係性(対親、対子ども、対恋人、対患者)みたいなものが強く描かれていた作品だったと思う。色々な部分で考えさせられる部分もあった。


作品以外のこととしては、今回チラシの劇団紹介に「子育て世代に優しい劇団」という言葉があったり、公演中の特定の回を「こどもといっしょ!」として、お子さんと一緒に観れる回を作ったりと、新しい試みをしていた。

最初は観る側だけの話だと思っていたが、多分演者さんたちも、兼業だったり子育てがあったりの中をやりくりしながら、演劇に取り組んでいるのだと思う。

今回、終劇後に大浦さんがお見送りでいらしたので(単純に感想を言うのが下手なのもあるんだけど)、「年1でもいいから続けて行ってください」的な話をした。

今回のような取り組みで、観る方も演る方も持続的、継続的な活動ができるモデルケースになってくれたら良いな、と思う。


今回の感想としては、数年前下北で少人数のメンバーでやっていた土台があって、今回劇団メンバーや客演さんたちが集まって、より大きな作品を作っている姿を見れて、いちファンとして感慨深かった。

佐々木祐磨さんが、最初のシーン、最後のシーンにいるのが劇団のファンとしては、嬉しかったり。

時代もかわり、宣伝がSNS等のネット中心になっていて、今回ブログだったり、動画だったりを精力的に上げていたのが印象的。
(動画に関しては全然チェックできなかったので、どこかで見たいと思う)

今後は新作にも期待しつつ、昔の作品もまた(まるっきり違うメンバーで)再演されたりすると面白いな、と思った。
(終)


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