別れてから、初めて話した日

別れを告げ彼が出ていった月曜深夜。終始泣いて縋る私に対して「今週、どこかで話にくるから」と言葉をかけ、彼はたくさんの荷物とともに家を出ていった。

連絡をとり、その日は木曜日に。
彼の仕事終わり、同棲していた時と同じように、「今から家に向かう」との連絡。
文面は同じでも、全く意味が違うことにおかしくも悲しくなった。

彼が家のドアを開け、気まずそうに入ってきた。
「気持ちは変わらない」
「一緒にはいられない」
「あの時、もう恋人として見れなくなるスイッチに切り替わった」
それを聞いて、私は泣く以外にできないでいた。

もうすぐ1年を迎えようとしていたので、実は彼に内緒でアルバムを作っていた。
本来は、記念日ディナーで渡すはずだったもの。

彼のために作ったものだからと手渡し、2人でページをめくりながら想い出を振り返った。
無言でページをめくり、楽しそうな2人の姿を眺める。
写真を見ている彼の隣で、「この時に戻れたら」という後悔ばかりが募った。
彼は、どんな気持ちで写真を見ていたんだろうか…。

その後、やり直したいという話もしたけれど、やっぱり彼の気持ちは変わらなくて。
最後に抱きしめたら、彼は困ったように、ぎこちなく抱きしめてくれた。
その時、「私の気持ちは、彼にとって迷惑なんだ」と悟った。

色々と話したが、最後には感謝を伝え、玄関で彼を見送る。
沈黙を破るようにさよならを言った後、彼は最後にキスをして出ていった。

意味が分からなかった。
なんで彼は、キスなんかしたんだろう。
気持ちがないなら、別れるならキスなんてしないで欲しかった。突き放すなら、とことん突き放して欲しいと思った。

絶望と期待が入り混じった、なんとも言えない感情が押し寄せた。

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