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女35歳、我が身を振り返る。

1984年10月生まれの私が35歳になった。35歳になるということ、それは私にとって特別な意味を持つものだ。

そもそもこの日本社会に生きる女性達にとって、年齢というものは大変意味があるものとされている。

この記事にあるように、日本社会においては周囲から求められるように感じてしまう女性が歩むべきた「タイムライン」が未だに歴然と存在する。

私は20代こそタイムラインを気にしていたような気がするが、結婚と出産に関しては日本女性の平均的なタイムラインを歩んだため、30代前半は自分の年齢を気にすることもなくなっていた。

でも35歳はそうもいかない。なぜなら、35歳は30代の折り返し地点なのである。作家の村上春樹は、インタビューで30代についてこう述べている。

誰しもある程度の年齢になってくると、いろいろ現実がつきまとってくるでしょう。でも、三十代半ばくらいだと(中略)まだ人生の中間地帯に留まっている。(中略)もう若くはないし、まだ中年の域にも達してない。ある程度自分というものを持ってるけど、まだ凝り固まってはいないし、迷いもある。どこに進むのかも自由。(中略)まだ選べるわけじゃないですか。そういう「どちらにも傾ける」可能性を持った存在を、僕は小説的に必要としているんだと思うな。
(村上春樹、川上未映子『みみずくは黄昏に飛び立つ』より)

この対談を読んだ当時、私は32歳。家族に大反対されながらも、約10年勤めた福利厚生が手厚い一部上場企業を辞めて、ママ学生という茨の道を歩み始めた。でも内心自分の選択に自信がなかった私はこれを読んで途方もなく安心した。そして、都合よくこう解釈した。

「そうか、30代はまだ迷っていいし選べる。どこに進んでもいいんだ!」

村上春樹は、読者からの質問に対する回答としてこうも述べている。

はっきり言って、女性は40代で差がつきます。
男性の場合よりも「残る人」と「落っこちる人」の差が歴然としてきます。
でもそこに残った人って、ほんとに素敵ですよね。すごく魅力的です。
そのへんにはまると、20代の女の子なんて・・・・・・ということになります。
(村上春樹『そうだ、村上さんに聞いてみよう』より)

これに関しては、男性だって一緒じゃんと思うんですけどね。御覧なさい、ダンディーな人としょぼくれる人の差が歴然と表れてくるではないか。それはともかく、40代になるとそれまでどう生きてきたかが如実に見た目に反映されるのは事実である。

そういう訳で、私にとっての30代は、結婚して子どもも生まれて、人生あがりなんていう感覚は皆無だ。
「まだ自由に選べるし、迷っていてもいい。でも魅力的な40代になるためにも、人生と真正面から向き合い考え続けないといけない。そしてある程度人生の方向性を定めなくてはいけない。全くもってうかうかできない年代」なのである。
何より私は学生になった訳で、どうにか早いところ資格を取って働かなくてはならない。

だから30代は私にとってある意味戦いだ。そして、35歳はその折り返し地点なのである。

***

という訳で、35歳になるにあたって、若干の焦る気持ちが芽生えた私だったが、先日珍しく一人でふらふらと図書館を彷徨う時間が出来た。15分間のその時間に、新書のコーナーを見ていたところ、目に飛び込んできたのが齋藤孝の『35歳のチェックリスト』である。


パラパラと「はじめに」を見ていたら「35歳とは、第二の人生のスタート地点ともいうべき不思議な年齢です」とある。何やら著名人で35歳が転機となっている人が多いというのだ。そして「35歳を第二の成人式と考えて、『心の棚卸し』をする節目の年齢にしよう」「35歳からどう生きるかが本当の勝負」とも書かれている。
これが自己啓発系の本も割と好きな私の心に刺さり、この本を借りてみることにした。そして、この本を読みながら35歳の自分の「棚卸し作業」をしてみることにしたのである。

自分の誇りは賞味期限切れポイントだった!

本を読み始めて最初にショックを受けたのはこれだ。私は現在「3児のママにして大学生、出産・育児のため休学中」という立場にある。
男女問わず働き続けるのが当たり前という両親のもとに育てられ、 それまでの友達も会社の同期もみんな出産しても仕事を続けている中、今の自分を認めがたいという思いがあり、どうしても自分を卑下してしまう。
そんな自分を勇気づけてくれる要素の一つが、「元々の出身大学、そして前の会社」だったことは認めよう。1年間猛勉強して入った大学、就活だって頑張って第一志望群のメーカーに入ったではないか。これらは私の努力の証だった。しかしこれらはもうとっくに賞味期限切れなのだ。著者に言わせれば、

「賞味期限切れの要素はきれいさっぱり整理して、今現在の自分の価値をいい形で出していく」

ことが重要だという。今現在の自分の価値を出す。今の私にはとても難しく感じられることだが、それをしないことには色々な壁を越えられないことは内心分かっている。今現在の自分を認める努力をしなければならない時が来たようだ。

「自分はこれでいく」と肚を据えなくては!

著者によると、35歳は「『自分はこれでいく』と肚を据える」年だという。私はどきりとした。迷いに迷った末に、会社を辞めて進学を決意。でも未だに立ち止まって考えると「果たしてそれでよかったのか」と自信がなく、延いては10代の頃の決断に対する後悔まで出てくる始末。

一つの決断を下したら、『もしも、別のほうを選んでいたらどうだっただろうか』ということを一切考えない。(中略)『ことによったら成し得たかもしれない人生』をいつまでも夢想するのではなく、現在の自分、ただ今の自分の延長線上で考えるということが大切」

35歳に必要なのはこれなのだ。はい、もう私は「~だったらどうだっただろうか」ということは考えません!なるべく。確かに過去を振り返るということほど、無駄なことはないのだろう。

菊間千乃さんに共感!

この本には様々な著名人の「35歳をチェックする」というコラムが載っているのだが、特に励まされたのは元フジテレビアナウンサーの菊間千乃さんである。彼女はこう語っている。

「会社を辞めて退路を断っての挑戦といえば聞こえはいいけど、冷静に見れば30代なのに生産性のない人間なんですよ。そう思うと本当につらかった。」

これは今の私の心情そのものである。でもそんな風に思っていた菊間さんも、今や夢をかなえて弁護士となり、キラキラと働かれている。これには大変勇気づけられた。それもこれも、菊間さんは私のように「これで良かったのだろうか」なんて考えずに、ただまっすぐに目標に向かって邁進したからに違いない。私も初心に戻って頑張ろう!

以上が私が『35歳のチェックリスト』を読みながら、自分を振り返った内容である。仕事術的な部分は結構飛ばし読みしてしまったので、全部をきちんと読んだは言い難いが、ピンポイントで自分に刺さる部分があり、為になった。

これを読んで30代のあと5年間をどう過ごしたいかということを考えた。

●過去を振り返るのはやめる。過去の出来事全てに意味があったという風に考えて、肚を据える。
●育児を楽しむ。子供はあっという間に大きくなってしまうので。
●勉強して資格を取り、再び社会で働く準備をする。
●本を読んで文章を書いて、考えることをやめない努力をする。

他にも目標としたいことは色々とある。夫とのパートナーシップ向上、アンチエイジング等々。でもあまり欲張ると何もかも中途半端になりそうなので、とりあえずは肚を据える、育児、勉強、考えるという4つにしておく。

女35歳、これからも頑張ります!

#もぐらのこぼれ話 #もぐら会