死体屋

「大将、なるべく新しいやつはないかい?どうしても必要でさ」

「あぁ、それならこの大男はどうだい。今日絞め殺したばかりの代物さ」

レジ横に転がっていた死体を指さす。無様な顔と首に残った痕が印象的だ。

「こいつぁちょうどいいや。これでボスに怒られなくて済む。いくらだい」

「これは大きすぎて輸送に手間取ったから15万でどうだ。」

「喜んで買うよ。どうもありがとう」

そういって男は代金を払うと、大男を台車に載せて帰っていった。よくわからないが、裏社会にもいろいろあるらしい。

「やぁ」と声をかけられる。常連のお客さんだ。
「元気してるかな?今日は脂身の少ない肉の気分でサ。何かおすすめはあるかい」

「それでしたら」と、ひとつプラスチックのトレーを手に取る。

「ボディビルダーの大腿筋です。赤身にもサシはほとんどありませんよ」

「あぁ、本当にありがとう。ここの人肉は他よりもおいしくて、癖になりそうだヨ」

「ありがとうございます。4500円になります。どうぞごひいきに」

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