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プットオプションは、売る権利!

それでは次にプットオプションについて見ていきましょう。

前回ご説明したコールオプションは、買う権利でした。今回ご説明するプットオプションは、売る権利です。プットオプションを使うと、先物を必ず指定の値で売ることが出来ます。考え方としては引換券ですね。

ここに1枚のチケットがあります。このチケットを使うと、いつでも好きな時に、先物を35,000円で売ることが出来るチケットです。但し、有効期限(満期日)があり、これがSQ日になっています。

例え、先物が34,000円になっていても、このチケットを使えば先物を35,000円でショートしているものと同等になるので、1,000円の利益を獲得することが出来ます。但し、このチケットを入手するのに600円支払っているので、実質400円の儲けとなります。
※ちなみに、600円の部分(現在値)のことをプレミアムと呼びます。

その代わり、先物が36,000円になったとしても通常先物を35,000円で売っていた場合、1,000円の損失が発生しますが、このチケットによる損失は入手時に支払った600円だけなので、600円の損失で済みます。

オプションの買い方の良い所は、必ず使わないといけないわけではないということ。前回も書きましたが、オプションは権利です。権利を買った側には義務がないので、使うも捨てるも自由ということになります。

プットオプションを売る

それでは売った場合はどうでしょうか?

この場合はチケット売り場の運営会社の立場になって考えてください。皆さんは先ほど登場した下のチケットをAさんに販売しました。

このチケットをAさんに販売した時点で、Aさんから600円を受け取っているので、この時点で600円の利益が出ます。ただこの儲けが確定するには、有効期限を迎えた時点で、権利行使価格よりも先物価格が上でなければなりません。

利益確定の場合

皆さんの思惑通り、日経平均先物価格は2024年2月9日時点で36,000円となりました。この時点でAさんの持っているチケットはゴミ同然の価値となってしまいます。従って、600円は皆さんの利益になります。

利益確定の場合②

考察とは裏腹に、日経平均先物価格は34,500円となってしまいました。Aさんは持っているプットオプションを使って、500円の利益を獲得します。この500円の利益は皆さんがAさんに支払う必要があるので500円の損失となってしまいます。しかし、Aさんにチケットを販売した際に、600円を受け取っているので、差額の100円が正味儲けの部分ということになります。

損失の場合

思いのほか、大きく下落。日経平均先物価格は34,000円となってしまいました。先ほどと同様に、Aさんは持っているプットオプションを使って、1000円の利益を獲得します。皆さんはAさんに1000円をお支払しなければならない義務があるので、1000円の損失を被ってしまいます。但し、最初に600円を受け取っているので、差額の400円が正味損失部分となります。

超損失

災難が重なって、先物価格は大暴落。日経平均先物価格は32,000円となってしまいました。Aさんは持っているプットオプションを使って、35000円で先物を売ります。従って、3000円の利益を皆さんはAさんに支払う義務が生じます。最初に600円を受け取っているので、正味損失部分は2400円となります。

仮に、日経平均先物価格が30,000円になってしまったら、正味損失部分は4400円になるし、日経平均先物価格が25,000円になってしまったら、正味損失部分は9400円となります。

よって、オプションを売った側は損失が青天井になってしまいます。
※実際は先物価格が0円になることは無いので青天井ではないですが、言葉の便宜上で使用しています。

超安い権利行使価格を売る?

ここまでの話を聞くと、ちょっとプットオプションを売るのは怖いですよね。日経平均先物価格がいくらになるのか分からないし、1ヵ月で3,000円、4,000円動くこともたまにありますもんね。でも5,000円も動くことって稀じゃないですか?ましてや7,000円とかコロナショックやリーマンショックとかでも起こらない限りそこまで下落しない。

では、いまの日経平均先物価格よりも7,000円安い権利行使価格のプットオプションを売ることが出来るとしたら、皆さんは売りますか?

ここまでの話だと、これを売って損失する条件は、日経平均先物価格が2月9日の時点で28,500円を下回っている場合のみです。今の日経平均先物価格は35,500円です。7,000円下です。あと1ヶ月で7,000円の下落が無ければ、皆さんの勝ちです。どうでしょうか?7000円の下落なんて早々ないですからね。

ここに過去これまでのSQ(有効期限)のデータがあります。これを見るに直近最も下落したコロナショックでも、6,691.82円の下落です。つまりコロナショック以上の超大暴落がこないと損失しない夢の様なチケットになります。

※実際の値

そして何と、このチケットの販売価格は8円なので、これを売って、2月9日時点で日経平均先物価格が28500円よりも高ければ皆さんは8円(8,000円)を獲得することが出来ます。

コロナショック以上の大暴落が無ければ、8,000円の利益です!!

※実際の画面

では、この8,000円を獲得(チケットを1枚販売)するにはいくらの証拠金が必要か。実際の画面を見てみると、約25万円ということになります。

つまり先物ミニを1枚建てる為に必要な証拠金とほとんど同等額と言えます。先物ミニ1枚で8000円の利益を狙うには80円の利幅を取らなければいけません。損失するリスクを取って、8,000円狙うよりも、どうせコロナショック以上の暴落なんて滅多にこないんだからプットオプションを売ろう!

・・・と、思いますよね。

でも、これは落とし穴なんです。

多くのオプション教えます!ってサイトで書いてあるのは、オプションの売り手側の損失条件は、権利行使価格を下回るか上回るかのいずれかだけですとそう書いてあります。

これは確かに間違いではありませんが、机上の空論に過ぎません。資金が無限大にある場合にのみ適用されるのです。この辺もまた追々やっていきます。

机上の空論(バーチャルトレード)

バーチャルトレーダーに騙されないようにしてください。

我々は、売り上がりや買い下がり(無限ナンピン)している人は全てバーチャルトレーダーだと思っています。特に3回、4回と複数回以上わけている人は、ほぼ確だと思います。

取引画面をTwitter(X)に載せていても、それは取引枚数が1枚とかで恐らく取引枚数は隠れていると思います。

売り上がりや買い下がりは想像以上に証拠金を必要とするので、単純な想像通りにはいかない場合が、ほとんどです。

超安いプットオプションのショートも同じ。これが出来るのはバーチャルトレーダーか無限大の資産を有している富裕層のみです。

※余談ですが、我々証券ディーラーはオプションの売りは禁止されています。(合成ポジション時は除く)

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