短編小説|縁結びのソイラテ #1
本降りだと思っていた灰色の雨雲から、季節を間違えたかのような日差しが顔色を伺う。
私のデスクは、小さなテナントビルの3階から通りを眺める位置にある。
仕事に集中していない時はついつい外の世界を観察してしまう。
「鳥居さん、ちょっとこのロゴ見てくれない?」
不意に社長から声をかけられたので、見当違いな返答をする。
「はい?この前の新規オープンのお店の件ですか?」
「ううん、ちがう。市役所の文化振興課のアート展のやつ」
社長と言っても、従業員3人の小さな広告代理店だから