短編小説|あのキレイな海を取り戻したら #1
私の街にはキレイな海辺があった。
全長は1kmほどで割と大きい。けど、海水浴場ではないから知名度は低い。
だからこそ、地元の人たちが誇れる憩いのスポット。
何歳の頃かわからないぐらい小さい時から、両親の手を握りながらこの海辺に何度も訪れた。
貝殻を拾ったり、波しぶきから逃げ回ったり、お尻を濡らして怒られたり。
この海は、私の思い出をいっぱい作ってくれた。
それから20年は経っただろうか。
付近を走る国道は倍以上に拡幅され、産業道路になった。信号もないことからハイウェイ化し、