見出し画像

【読後想】『消滅世界』★★★☆☆

夏休みの宿題で読書感想文が苦手だったけれど、感想でも書評でもなく、想ったことを勝手に書き留めるだけなら出来そうだということで記録する読後想。

私の中で新しく気に入った作家に出会うと、その作家の作品を立て続けに読む傾向がある。
前回読んだ「コンビニ人間」で、にわか村田沙耶香ファンになった私であるが、そんな流れで手にとったのが今回紹介する本だ。

ところが、前回の読後想からだいぶ間があいてしまった。前回アップしたのが8月31日。
今回はもう10月だ。
途中ワクチン接種があったり、夏休みがあったりしたため、通勤電車の中が読書タイムである私にとって本を読む時間が取れないというのも時間が掛かった理由のひとつではある。

しかし、本当の理由は、なかなか読み進められなかったことにある。
本によってはぐいぐいと引きずり込まれて、あっという間に完読してしまうものもあれば、いまひとつ頭に入って来なくて、なかなか進まないものがある。
今回は残念ながら後者だった。

とはいえ、面白くないかと言えばそれも当たらない。
面白いかと言えば、それまた適当な表現ではない。

というわけで、今回読んだのはこれ。

村田沙耶香(著)、『消滅世界』 (河出文庫)

世界消滅ではない。
消滅世界だ。

恐らく私を含めたいていの人は常識の中で生きている。
常識から外れるにしても、常識という基準があって、それを理解しているからこそ、そこから外れていることを認識出来る。

ところが、常識とか非常識ということではなく、世界を成り立たせる前提が違った世界に放り込まれるとどうだろう。
その世界観に染まらないと、そこで繰り広げられることが理解できず、頭に入ってこないというか、置いてけぼりを食うことになる。

通勤時間に本を読むということは、与えられているのは短い時間の断片でしかなく、本を開くと同時にその本の世界観に同化しなければならないのだが、この本の場合、容易にそれをさせてくれない(あるいは私の同化力不足なのだろう)。
毎回毎回、世界観を思い出して没入するのに時間が掛かり、ようやく物語の世界に同化出来そうになった頃に電車を降りなければならなくなる。
そうやって物語へのダイブがままならないままに、物語だけはどんどん進んでしまい、結局のところ話の筋は分かったが、一体何が起きたのか分からなくなってしまったのだ。

という訳で、私の評は★★★☆☆。
星3つだ。

ただ、念の為申し添えると、これは、この本が悪いということではない。
当然、作者が悪いのでもない。
私の読み方が悪かったのだ。
これは通勤電車で読む本ではないということだ。

まとまった時間を取って、ゆったりとしたソファで、コーヒーを片手に、しっかりと物語と向き合える環境で読む方が良い。

なので、機会を改めてもう一度読んでみたい。

おわり

いいなと思ったら応援しよう!