舞台「セールスマンの死」をみて

自分や家族の嫌なところを凝縮させたものを
見せられているみたいだった。

何者かになりたい、
自分が理想としているものに近づきたい、
自分の憧れを所有したい、
という希望が叶えられない。
(願いではない)

その絶望を受け入れることができない。
希望が叶えられたという幻想を口にすることで
周りも自分もそう騙そうとする。

自分が何も成し遂げられなかったこと
成し遂げる見込みがないことを
受け入れる苦痛。
しかも、何かを成し遂げることが当たり前だと
されている世界で。

アメリカンドリームは
私的所有に基づく。
なんでもあるように見えて
実は何も得られていない(ローン)
消費の奴隷を産むのに都合の良い教育。

人から気に入られるために
真っ当に、誠実に生きてきたことが報われない。

叶えられない希望に縋り、
絶望を受け入れられないことは
幼稚さ?
大人になれない男

頑張ってきたつもりなのに報われず
見捨てられる
それでも死に意味を持たせようとするが
それさえ…?
(うまくいかないだろうと思う)

彼は妻に愛されていて
すでに手に入れているものがあるのに
それに気付けない

そして、手にしていたはずのものを
悪い形で失うのだ
相手を裏切り、孤独にし、
恨みを買うような形で

自分は正しいと思うことをしてきてはずなのに
なぜかうまくいかない
その原因は明らかなのに
それを指摘してくれる子供に恵まれているのに
それでも受け入れられず
最後まで目を逸らし続ける

正しいのかどうか
彼にはわかっていない
正しいと見せかけることに全力だった
そして偉大な兄の幻想に
答えを求めていた

成功には何か本質があり
自分には知らされていない真実があるという幻想
結局、そんなものは存在せず
自分の人生を生きるしかない

自分は他人とは違うこと
他人が持っているものを持っていないこと
そして自分が持っているものは理解できないこと
その中で人生を生きるしかない

え?なにこれ?バグだろ
人間の感情ってバグじゃない?
設計ミスってるだろ、どうかんがえても。

長男と次男の問題
成功した長男と成功できなかったり次男
親の期待に応えられなかった長男と
親から逃げ続けた次男

そして親に強制されることなく成功した息子

教育の結果の答え合わせには
何十年という時間がかかる
そして自分の人生の答え合わせも
時期が重なる

うまくいかなかったのだ、
自分の人生に一体なんの意味があったのかと
疑ってしまうとき
人は絶望する
そして、それまでの人生に必死であればあるほど
その事実を受け入れられず、目を逸らすしかなくなる

他人を蔑み、嘲り、無視し、怒鳴り散らし、
いわゆる老害になることによって
自分の現実と向き合わないようにするのだ。

私たちは未来を予測するべきだ。
少し考えればわかる。
自分の人生に価値はないこと。
何かを成し遂げられる、
歴史に名を残す人間はごく一部で
99.99999%の人間は
偶然生まれ、喜びと苦痛を感じながら生き、
何も成し遂げることなく
死んでいくのだと。
そして間違いなく自分もそのマジョリティの一部であると。

自分の人生を生きるということが
いかに難しいことか。
自分を大切にして生きることは難しい。
しかし、なによりも大切にしなければならない。
自分を蔑んではいけない、
自分が何を持っているかわからないからといって、それはなにも持っていないということではない。人を蔑むことは例え自分自身であっても良くないことだ。
そしておそらく自分が持っているものは、
自分や自分の周りを大切にすることによってはじめて見えてくるものだ。

今日受け取った刺激は
おそらく数日後には忘れている。
だから何度も思い返すことが大事なのだ。

自分にはまだ分からなくても、
自分が持っているものが何かしらあること。
それは世界の価値観や自分の価値観とは合わないかもしれない。
しかし自分の価値観は変えることができるし、
それには価値があること。
その価値は自分の真実を大切にすることによって初めて輝くものであること。

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