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「Virtual Collection」事始め

本記事は、VRChat Advent Calender 2019の16日目の記事です。

はじめましての方にまず自己紹介をさせて貰います
わたしは主にVRソーシャルネットワーキングサービス「VRChat」上でお客様に参加して貰うイベントを企画運営しているTnohitoと申します
企画しているイベントは主にファッションショーや音楽イベントなどのライブイベントと、技術や知見を共有し出会いの場を生み出すミートアップを開催しています
活動を初めて1年と4ヶ月あまりの間に30近いイベントに関わってきました
そんな中から今回は主催していますVR内で開催する3DCGモデルのファッションショー「Virtual Collection」のお話しをさせて貰います

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今からちょうど一年前、2018年12月16日22時にVRソーシャルネットワーキングサービスであるVRChat上で「Virtual Collection Stage0 - 仮想人形乱舞活劇 - 」を企画、開催をしました
このイベントはその後に続く「Virtual Collection」の最初の企画になります当時このイベントに実際に参加された方々は会場に足を運びながらも心の中では「そもそもコレは一体何のイベントなんだ?」と思っていたのではないでしょうか?
・Virtual、これはおそらくVRChatだからそのままの意味だろう!
・Collection、ファッションショーでパリコレとかガルコレとかあったな?
・仮想人形乱舞活劇、いきなり中華風の言葉が来た!なんだ、なんなんだ?
想像をする事は出来ても何をするのか何を見せられるのか何を体験させられるのか?
きっと頭の中は「???」でいっぱいになりながらも好奇心を刺激された方々が、VRChatでは珍しい(でもとても面倒なだけの…)外部サービスを利用しての事前申し込みをしてまで足を運んでくれた訳です
実会場と配信を含めて結果的に多数の方に参加していただきました
本当に感謝してます

結果的に参加した方には「参加型の体験するストーリー」「体験型のリアルタイムイベント」「移動型のアトラクション」などの感想をいただきました
実際にイベントを開催した私たちでさえ「Virtual Collection Stage0 - 仮想人形乱舞活劇 - 」に関してはどう説明したらいいのか解らないものだったので上記の言葉はその体験を上手く表してくれていてありがたかったのを覚えています

10月23日に連絡用Discordを立ち上げて参加してくれた仲間は総勢13名、その後二ヶ月弱の間文字通り手探りでこのイベントを創り上げました
発表当初リアルの広告代理店が良くやる様に情報を隠して小出しにしたために謎すぎて全く反応がなかったり、VRChatがUnity2017に対応する大型アップデートがあったために開催を二週間延期したりとイベントの内容とは全く関係ない部分で大変だったりしました

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そもそも企画初期に決定していたことは「VRChatでファッションショーをやる」「リアルタイムにアクターが動いて魅せる」くらいの大ざっぱなものだったので、「ファッションショーとして何を見せるか?」「どうやって見せるか?」などなどスタッフ全員でミーティングしつつ内容を固めて行く感じでありました
・会場となるワールドはどうするか?
・アクターが動きを見せるとして観客にはどうやって見せるのがいいのか?
・そもそも何をどうやって見せるのか?
・ファッションショーとしての演出や音楽をどうするのか?
これを1から相談して技術的に足りない場合には助っ人をお願いしつつ決めていくのですが、そもそも誰も見た事がないやった事がない内容のイベントなのでどこにも答えがない!
会場となるワールド制作、演出の要、音楽、見せる要素の3DCGモデル、アクターの動きなど1つ要素が見えてくるたびに集まって話し合って内容を膨らませたり修正したりと本当に手探りでした
そんな中Lovedelic氏が制作してくれた会場、刀匠ねずみ氏が制作してくれたアバターモデル、はつぇ氏が制作してくれたパーティクルの演出、memexぴぼ氏が制作してくれた音楽がイベントの具体的な方向性を見せてくれたので、スタッフ全員が同じイメージを共有出来るようになり企画が加速したのは確かです

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その後はただひたすら会場に集まってはデバッグとリハーサルを繰り返して当日の動きをなぞりながら修正を繰り返すという日々が毎日続きました
会場、演出、内容、シナリオが修正、変更されていくだけではなく、最終的には裏方だったはずのモデラーや制作班やスタッフまで全員巻き込んでライブ出演するという状態にもなりました
中でも一番大変だったのはワールド制作班で会場をイメージ画どころか内容さえまともに決まっていない状態から創り上げ、そこにギミックと共に使用する展示武器を仕込み、演出に使われる音楽、パーティクルと更にはそれらを制御するギミックを仕込んだために全部が押し押しになってしまいました
最後の演出、制御ギミックを担当したはつぇ氏に至ってはワールドのPrefabが渡された段階で残された時間がほとんどなく当日の開演直前まで作業をして対応してくれました
その様な状態だったので実は最終版がアップロードされたのは本番の直前、そこから最低限の確認だけして本番を迎えるという状況でした
つまりは観客の誰も見た事がない体験した事がないイベントは、開催した私達でさえ見た事がない体験した事がないイベントだった訳です!

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こんな中まがりなりにもイベントをいくつかのトラブルはありつつも無事終える事が出来たのは
・誰に命令されるのでもなく強制されるのでもなく、スタッフ全員が自ら関わる意思を示して参加していたこと
・スタッフそれぞれ自分の技術、得意分野を活かすべく参加をしていただけではなく、イベント全体に全員が関心を持っていたこと
・利害からではなくスタッフ全員が自ら楽しむことを目的にしていたこと
・思ったこと、意見や疑問は抱えずに出して解消できる環境を作れたこと
・事前に想定される事故や問題点は可能な限り対策を考え共有していたこと
・スタッフそれぞれが日々のVRChatでの活動からオンタイムで起こったことに対応することに慣れていたこと
・本来お客様であるはずの参加者が単にお客様としてただ与えられる参加するのではなく、やはり日々のVRChatでの活動から積極的に関わり楽しむ姿勢があったこと
他にも色々な要因と運があったと思いますが主だった要点はこの様なところだと思います

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そしてイベント終了後には全員がその場でへたり込むくらい緊張と疲労があった当日だったのですが、この最初の13名はその後の「Virtual Collection Stage2」に至るまで参加してくれたり外部で協力、応援をしてくれたりしています
そしてそんな活動を見てくれたり興味を持ってくれたり「これは!」という技術などを持った方をスカウトしたりして現在Discordに参加してくれているスタッフは36名まで増えました
外部からモデラーとして参加していただいたり、イベント当日スタッフとして協力していただいたりした方を合わせるとVirtual Collectionに関わってくれた人は総勢で150名近くになります
非営利で誰に命令された訳でも強制された訳でもなくこれだけの人間が継続してイベントを作り続けていること、更にはこのイベントを開催するために一度もリアルで顔を合わせた事がない完全リモートワークである事などは特異である事を自覚しつつ誇ってもいいのではと考えています

参加した方が毎回「ファッションショーとは?」と疑問を投げかけてくれる謎なイベントのはじまりは、それを創り上げた我々でさえも言葉では説明出来ないが全く新しい価値を持つ体験を生み出せたのではないかと思っています
今回は始まりを振り返るためにあえて過去のStage0を取り上げてみましたが、Virtual Collectionは現在も次のイベントに向けて定期的に集まっては企画を練っています!
VRという最新技術を使っているのに、せっかく複製可能なCGや再現可能なゲームエンジンを利用しているのに何故そこまでライブに拘るのか?に対する答えを探してこれからも活動をしていきます
TwitterやVRChat内で「バチャコレ」という言葉を耳にしたら是非参加してみてください
バチャコレの会場でお待ちしてます!

最後までお読み頂きありがとうございました!