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LIVEということ

2021/05/05にYouTubeLiveでライブ配信されていた明大福地健太郎 @kentarofukuchi さんと東大稲見昌彦 @drinami さんのお話を聴きつつ渋谷のラジオで放送されたタナベ @sobatang1 さんの出演を聴いていたら、あまりに面白かったので逆に色々考えてしまいました
そんな訳で現時点で自分が思うライブイベントについて書き綴ってみようと思います
(当然ですが途中で「これは無理だ!」と気付いたので生放送のタナベさんの放送を視聴、YouTubeの配信のアーカイブを放送終了後に視聴しました)

稲見・福地の「応用雑学概論」第一回
https://youtu.be/6mVzQQhKuB8
渋谷のポエトリーラジオ(アーカイブ)
https://note.com/shiburadi/m/m52735927deac

まず放送の中でタナベさんが仰っていた「VRに興味のない人にとっては、VRで(ライブで)イベントをしてもゲームの中で起きていることにしか見えないんです」これが実は大きな壁なんですよね…

VRのヘッドマウントディスプレイでVRの世界を体験したことがある人ならば、自分が見た動いた通りにVRの世界が推移することにまず感動することを理解できると思います
そこに不確定な要素、自分では制御できない要素、システムなどに操られていない要素、一番単純なのは自身とは別の存在が入り込んだ時にそこは一気に文字通りVirtualReality※1の世界になります
自分以外の存在が自分もしくはシステムなどが制御出来ない状態でそこに紛れもなくあるという事実、それはどんな精巧なCGで創られた世界よりも雄弁です
現在VRの世界(VRソーシャルネットワークサービスなど)に魅入られて日夜そこにはまっている人は、おそらくそこに一番の魅力を感じているのではと思っています
※1、現物・実物(オリジナル)ではないが機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術およびその体系

もちろんCGで形作られた世界というのは大変魅力的です
今やハリウッド映画もPCやPS5向けのAAAタイトルのゲームも徹底的にリアルなCGを世界に表現出来るようになりました
また当然現実では成しえない空を飛ぶとか巨大になるとか魔法を行使するなど、夢のような世界がそこにあります
現実と区別がつかないレベルで表現されるこの様な世界に自身が降り立って、時にはヒーローになって悪を退治し、時にはお姫様になって素敵な王子と恋に落ち、怪獣になって町を破壊し、憧れのヒーローヒロインアイドルなどと一緒にゲームをするなどVRで体験出来る世界は本当に多岐にわたります

このVRならではの体験は大変魅力的でありそれを否定するものではありませんが、良く出来たVRの体験ほど個人での体験に留まっている場合がほとんどです
(これは現状のVRデバイスの性能や通信インフラなどの整備の問題でもあり、現状ではまだ仕方ない部分もあります)
それでもVR ZONEやZERO LATENCY VRなどのいわゆるロケーションVRと呼ばれるものは、同じ場所に集まって一緒にVRの世界を体験することによってVRの世界に誰にも制御されない不確定要素たる人の存在を取り入れることを実現していました

VRのソーシャルネットワークサービスはオンラインで繋がるという前提がありますから、緻密で高度な現実と見まごうばかりのCGの世界はデバイスや通信の限界もあり残念ながら存在していません
ですがそこで自分以外の人と身振り手振りを交えて交流しながら一緒に過ごしていると、不思議なことにその場所は現実の世界と変わらない場所になります
自分の足で歩きにおいや気温を感じ何かに触れるということは出来ませんが、人が集まることによる熱量やその場の空気はそこに存在するようになります
その様なVRの世界でいわゆるエンターテインメントと呼ばれるイベントに参加した時に感じるものは、果たして現実のイベントと比べて遜色があるでしょうか?

実際に私がVRChatで現実を模したライブハウスで開催した音楽フェスでは、現実に存在するライブハウスで体験するライブと同様の場の空気と演者と観客の熱量を感じることが出来ました
現在VRChatで同じ世界を共有できる人数的限界は演者やスタッフの数を差し引いた場合たいして多くありません
YouTubeLiveなどの配信も行いますが、これは現実のライブと同様にその場の空気まで伝えることは出来ません
つまりは極めて限定された貴重な一期一会のライブイベントがそこに生まれていることになります

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VRの世界で参加型のイベントを開催した時に配信のコメントやTwitterなどで見受けられる感想「凄く良かったけれど、次は直接参加したい!」というのは、日夜VRソーシャルネットワークサービスで過ごす人は上記の空気を熱量を感じることを知っているから生まれるものなのです

などとつらつら書き綴っていたら、2021/05/06にVRChatでパンダ歌劇団
第一回公演「レギーナと魔法の鏡 snow white」という歌劇がVRChatにて上演されました
私はYouTubeLiveで配信を観たのですが、VRChatが舞台なのでその場の雰囲気はどんなものか、裏ではどんなことが行われているのか、更には普段交流のある方が役者として出演していたりもあり実際にVRで観劇するのと同様に緊張感をもって(これはある意味職業病です…)本当に楽しく観劇する体験が出来ました
ですが同時に「これをVRを未経験でYouTubeLiveで観た人には伝わらないのだろうなぁ…」とも思いました
最初のタナベさんのお話「VRに興味のない人にとっては、VRで(ライブで)イベントをしてもゲームの中で起きていることにしか見えないんです」になるのだろうなと思いました

ぱんだ歌劇団 第1公演『レギーナと魔法の鏡 snow white』
https://youtu.be/syNcRypNCAU
主催田中桔梗 @kikiki_kikyo さん

イベントはライブであるべしなどとおこがましいことを言うつもりは全くありません
事前に用意周到に突き詰められた映像やCGは本当に美しいですし、それによって深い体験をすることも可能です
ですが多少つたなくてもほころびが見えたとしても、一期一会の体験も大変価値のあるものだと思います

2021年5月現在も残念ながら世界は新型コロナウイルスによって多くの制限が存在しています
その中でもエンターテイメントの分野におけるライブイベントはどうしても密集した空間で開催することが多いので、主催側が厳重な対策を施し厳しい制限を設けたとしても開催することがかなわなくなっています

VRでライブイベントを開催している多くの人はおそらく世界が現在この様な状況だからVRの世界に逃れてライブイベントを開催している訳ではありませんが、そこに1つの新しい可能性があるのは確かだと思います
いずれにしても一期一会だからこそ貴重で魅力的で他には代えがたいライブイベントが場所、時間、世界を選ばず不自由なく開ける状況が再び訪れますことを祈ってしまいます
そんなことをつらつら考えて思い付くまま書き連ねたので、まとまりのない文章にしてしまいました…
最後まで読まれた方には感謝を!

ライゾマティクス真鍋大度インタビュー
コロナ禍とテクノロジー、「ARメガネ」で変わる社会 https://japanese.engadget.com/rhizomatiks-daito-manabe-interview-043003858.html
明大福地健太郎 @kentarofukuchi さんも参加されたインタビュー記事です
今回の記事に直接は関係ありませんが、いろいろ考えさせてくれます