田中です。(ご挨拶と短歌トークショーレポート)

みなさま、ご無沙汰してます。
ご存知の方も多いと思いますが、この4月から高知を離れ、東京で生活を始めました。
そしてコピーライターになりました!
東京の広告会社でコピーライターという役職で働かせてもらってます。
広告のキャッチコピーに始まり、色んな文章や時には企画やコンセプトを考える仕事ですね。
ただ、僕自身もっともっと文章を書く力をつけていきたいので、
こちらのnoteでトレーニングがてら書いていこうと思います。

書く内容ととしては、最近行った所、本、テレビ、映画、ゲーム、勉強したことなどを中心に考えています。
ただし、1個だけルールを設けたいと思います。
それは・・・この文章を30分で書ききること!
自分はかなり凝り性で、1度文章を作り始めると2~3日、1週間かかることもあり、それではとてもトレーニングにならないのでできるだけ短い時間で分かりやすく面白い文章を書くようにします。
お付き合いよろしくお願いします。

2024.4.19 町田康×穂村弘 トークイベント(紀伊國屋書店新宿本店)

本日、仕事終わりに作家町田康さんと歌人穂村弘さんのトークイベントに行ってきました。半年ほど前から僕は短歌を作っており、現代短歌の神様として穂村弘さんという方がいらっしゃるのです。
穂村さんは口語(現代の言葉)で短歌を作るパイオニアの一人で、穂村さんが語る短歌の魅力はとても分かりやすいです。穂村さんがなぜ短歌は存在するのか、について解説している本があり、こちらは短歌と関わりが無い人にも読んで欲しい一冊です。

今回トークイベントは町田さんの歌集「くるぶし」の発売を記念して行われたものでした。

町田さんの作品に触れるのは初めてでしたが、歌集表紙の短歌を見て面食らいました。
たとえば、

ふざけるなおまへそれでもうどん屋か先祖代々俺は石屋だ

気い狂てアキレス腱をわがで切り這うて行こかな君の近傍

花活けて横に巻き寿司現代詩捨ててしまつた夢の置き床

めっちゃ力強いです。現代の短歌は意味やエモーショナルが重視されるが、リズム感や語感、また自分の中にある感覚をそのまま出すことを意識して作られたそうです。
他にも印象に残ったのが、

今よりも姫路に行けばなにもかもうまくいくはずパンも旨くて

人々がパイの実食べて生きる日々そのあちこちに神はゐやはる

山岡が頭巾かぶって生きてゐる頭巾かぶつて生きる山岡

山岡の句は完全にリズム感第一ですね。でもその中に心地よさを感じます。また、町田さんは作る歌の文をいじったり校正せず、一発で作ることが多いそうです。穂村さんも「じぶんだったらパイの実の所に何をいれるか考えてしまう」と頭を抱えられていました。信じられない。。一発でこの五七五七七が降りてくるのですね。町田さんの中にあるものを自然と出してるからそれだけ魅力的になるのでしょうか。

また、トークショーの中で町田さんの本歌取り(他の人の歌をモチーフに作る短歌)や背景が似ている短歌をいくつか紹介されてました。

イヌネコと蔑して言ふがイヌネコは一切無所有の生を全うす (奥村晃作)
人間よビットローファー履かば履け猫は素足で夜に踏み出す (町田康)

あけび色のトレーナー着て行かないで事故に遭うひとみたいに みえる(雪舟えま)
その色のズボン穿いたら君は死ぬ散髪四度すれば助かる   (町田康)

天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも   (阿倍仲麻呂)
天の原ふりさけ見れば春日なるアンガス牛に出でし月かも  (町田康)

テーマが似たような短歌だったり本歌取りでも、作る人が違えば全く違うものになりますね。百人一首でおなじみの天の原は本歌取りというか、ほぼ借りてるようなものですけど、これも「アンガス牛」が良いんでしょうね。町田さんが作ることで許されてる感じもします。

トークショーも進み、創作の背景の話になりました。穂村さんが共同体からの脱出、町田さんが今は不適切とされるが、昔から使われていた言葉による表現、が創作の背景にあるとのことでした。どちらも、大きいものへの抵抗・反発があると感じました。自分も町田さんくらい言葉を自分のものにしたいですね。作り手によって内在律という、自分の中にある歌のリズムがあるらしいです。たしかに、町田さんの短歌をみると一定のリズムのがあるような気がします。町田さんは去年歌集を出すために600首!作られたそうです。僕も頑張ります。

最後に、まだまだですが、自分の最近作った短歌を1首捧げて終わりにしたいと思います。最初に30分と言いながら、ここまで書くのに1時間ちょっとかかったことを懺悔します。読んで頂きありがとうございました!

雑踏に消される駅の工事音 人がドリルにされる咆哮(田中友之)





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