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#わたしたちの人生会議 佳作

 みなさん、お待たせしました!
 昨年の11月30日「人生会議の日」にスタートした、「わたしたちの暮らしにある人生会議」の物語をシェア頂くこちらの企画。

 多くの方々からの応援も頂き、最終的には約100名の方々から作品に応募いただきました!本当にありがとうございました!
 そして本日、3月20日はこちらの作品の中から「佳作」「優秀賞」「特賞」を発表させていただく日。
 どの作品も本当に素晴らしいので、優劣などつけられないというのが正直なところなのです。審査員である4名も本当に頭を悩ませました。
が、「本に掲載する」という企画上、あえて12作品を選ばせてもらいました。
 この12作品は、応募いただいた100作品の「代表」です。ぜひご覧いただき、「わたしたちの人生会議」とは何なのか、皆さんも考える機会にしてみてください。

佳作①

「約束を守れなくて、ごめんね」から始まる夫さんとの時間は、筆者の目を通じてその最期、そしてその先までいまも続く物語。
「桜が目に沁みる」、その理由はなぜか。
最後の「手紙」に心を打たれます。

審査員コメント
「夫の元気な時、病を持った時、死んだ時、その後。妻が迷いながらも常に伴走し話し考えながら成長していくストーリー」

佳作②

妻さんのペンを持つ手が止まる――その緊張感が伝わってくる物語。
人生会議で希望を伝えても、それが守られるかはわからない。じゃあ「そんなことをしても無駄なのか?」という、当然湧き起こるであろう問いに、筆者は「勇気を持てるように」という言葉を返す。
「父さんはずっと言ってたよ。それで間違いないんだよ」と背中を押してくれる言葉が家族には必要なのだと思います。

審査員コメント
「人生会議なんて、やったって意味ないんじゃない?」という、少なくない方が抱く疑問を真っ向から取り上げている。

佳作③

鮮烈なタイトルとリード文に、一気に引き込まれる作品。
そして、「死にかけた」という強烈な体験ごとに揺れ動く思考。「きっと、この文章を書き終えた次の瞬間、もしくは何年後かにはこの考えは変わるだろう」とまで書いているところが潔い。
でも、「人生会議」ですもの。むしろ揺れ動くのが当然なのです。

審査員コメント
「死にかけた経験から“死”や“今”を客観的に考える思考の流れが面白い。コロコロ揺れ動く感じが良い」

佳作④

一人ないしは二人の人生にまつわるストーリーを時系列で書いている作品が多かった中で、sakraさんの作品は「棺の前で卵かけうどんの準備を始める」ところから「棺の蓋を閉めるまで」という短い時間の中でこれだけのものを表現された、という表現に驚きました。
言葉での映像の作り方もキレイで、一遍のショートムービーを見せられているよう。それでいて内容はきちんと「人生会議」の話。構成が群を抜いて素晴らしい作品でした。

審査員コメント
「黒の葬儀の中に浮かぶ『卵かけうどん』の鮮やかさ。それにまつわるエピソードも鮮烈」

佳作⑤

人生会議に全力で向き合った家族の記録。
「この人生会議は、山のように動かない父を目の前に、それぞれのメンバーが父の予後を受け止め、自身がこれから喪失するであろうものと折り合いをつけるために必要な時間であった」
という部分は、まさに人生会議の本質の一端が捉えられていると感じました。
そして、死後もまた続く対話についても「2年間にわたるあの人生会議が今の私を支えている」と触れられている部分は、多くの方にとっても支えになるのではないでしょうか。

審査員コメント
「父の決断と変化、それぞれ思い合う家族だからこその悩みが次の世代に伝わっていく感じが素敵」
「『お父さんはもう動けないんだよ』と告げた後の、胸詰まる感じが伝わってくる」

佳作⑥

「父は、家族を守るために懸命に働き続ける背中を見せ、最後までやり遂げてから自由に生きる姿を見せ、そして大きな問いかけをそっと置いた」
という部分に、この作品の大きな意味が詰まっていると感じました。
ぜひ多くの方にもこの「問い」について考えてほしいです。

審査員コメント
「自分のものさしで測らない、相手を理解しようとする姿の学びをえられた」
「祖母を見る父、父を見る筆者。変化する父とそれを見て変化する娘。変化がつながっている感じが良い」
「『自分で選び、自分で決めること』の重さが、前段の物語との対比されて説得力がある」

佳作⑦

ナライちゃんの死から始まる、家族との雑談のような人生会議。
そして看護師として出会う患者さんの姿を通じて、
「その意味のない、話し合いとも呼べないほどの『死についての会話』が、その家族にとってどれほど大切なものであるかということを知ることになった」
と気づいていくストーリー。最後の「そしたらきっと天国から勝手にナライちゃんも参加してくるかもしれないな」から始まる締めの部分が爽快です。

審査員コメント
「最後のセリフに引き込まれた」

佳作⑧

「私にとっても、彼女は、『お母さん』から少しずつ『ともこさん』という一人の女性に変わっていった」
という部分が、この作品のキモと感じました。
母と息子、夫と妻、父と娘……などなど、大切な人との距離感って本当に難しいんだと思うことが現場ではよくあります。距離が近すぎるからこそ「人生会議」も難しい……。
でも、この作品のように少しずつ「ともこさん」になっていく一人の人間と語ろうとしていけば、それはほどよい距離感で、結果的に本人を尊重することにつながるのではないかと感じました。

審査員コメント
「母という役割が減っていき、その人そのものが見えてくる過程と、少しずつ気づいていく想い。考え続ける人生会議」
「ACPに馴染みがない人の思考に添いやすいと感じた」

佳作を受賞した8名の方、おめでとうございます!
「優秀賞」そして「特賞」の発表はこちら↓


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