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持続的な観光開発は可能か?ハザン省を訪れて

 この11月ハザン省を訪れた。ハザン省観光局の旅行業者向け招待旅行だ。ハザン省はその省都であるハザン市まで車で6〜7時間かかる。日本の旅行客は3泊4日から長くて1週間の短期間のツアーが多い。移動だけで片道一日かかるハザン省への旅行はどうしても避けられる。世界160カ国からの訪問客のあるハザン省への日本人旅行客は第100位以下だという。ハザン省にとって日本人旅行客の誘致は焦眉の課題だ。

 ハザン省は棚田や山並みの自然の美しさに加え、モン、ザオ、ロロなどといった少数民族が多く暮らしており、昔ながらの生活を守って暮らしている。ハザン省はベトナムの魅力的な旅行先として注目をあびている。

 ハノイからラオカイに高速道路ができたおかげで片道8時間もの移動時間が5時間程度に短縮され、サパへ多くの観光客が訪れるようになった。サパ周辺は観光開発が進んだが、逆に秘境としての魅力は失われてしまった。

 ハザン省は道路整備などが進んでいない分、秘境としての魅力もまだ十分ある。道路が整備され、観光開発がさらに進めば、景観や少数民族の文化は失われてしまう。観光資源そのものが毀損されれば、ハザン省の魅力も失われ、それらを求めて訪れる客が減少するというジレンマもかかえている。持続的な観光開発というのは口でいうほど簡単ではない。そんな思いながら山道をくだった。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2019年12月号掲載


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