母の誕生日に寄せて〜心配かけてごめんなさい〜
敬老の日から数日後、くらいがここ数年の母の誕生日だ。母が祖母になってからは、敬老の日のプレゼントと時期がかぶるので、誕生日がお祝いしにくい(ような気がする)。
私の母はかつて、今の私と同じ仕事をしていた。となると、たいてい
お母さんの姿を見て、今のお仕事に?
と訊ねられる。もちろん、それも大きな要因の一つだ。性格も、喋り方も、よく似ている、と私の息子たちは言う。
おしゃべりで気が短く、なんでもやってみたがるが、早とちりで失敗しがち。
確かにおおよその方向性は似ている。
しかし母は、
あなたほど、私はバタバタしてないわよ、
と言い、私は
お母さんほど、周りに対してデリカシーに欠ける言動はしないわよ、
と、考えている。
星占い的に言うと、牡牛座の父と乙女座の母、そして牡牛座の妹は、とても仲が良い。一方、牡羊座の私はある時期から、この家族の形から少し距離を取るようになっていた。大学を出ると、同じ県内ではあったが、一人暮らしをせざるを得ない距離のある場所に就職が決まった。多少の心細さはあったが、同じ仕事の大先輩である母と一緒にいることは、できれば避けたかった。それ以来10年近く一人暮らしをしていると、両親が私に一言の相談もせず、私の住む町に家を建てる、と言い出した。
退職後、中途半端な地方都市に住んでいても、何もすることがない。それなら田舎に住んで、家庭菜園でもしようかと。
私や妹は戸惑った。老後の資金は大丈夫なのか?私は焦った。何も将来的なことが定まっていない(具体的に言うと結婚の予定も、交際中の相手もいなかった)のに、本当に田舎に家を建ててしまうなんて、大きな賭けだ。
しかし、その大きな賭けに勝つ形になった。そこからあっという間に私の結婚が決まり、私の中では最短で3人の男の子を産むことになる。老後の資金は少なくなったかもしれないが、新しい環境で新しい人間関係を作り、自分達が食べたいものを作りつつ、孫育てをする毎日を手に入れた。母は私や妹を自分の母に預けて仕事に邁進したように、今度は娘が働いている間、孫の世話を全面的に引き受けてくれた。
すべてが順調だった。加齢による体調の悪化や、それに伴う服薬の増加はあるものの、日々孫の世話に追われることで、エネルギーを維持してきた。
それなのに、だ。夫と私の不仲は、孫、つまり私の子どもたちから聞くことになる。
そして遂に数ヶ月前、夫本人が私のいない間に実家を訪問し、別居することを告げる。
母は、毎日出会っているにも関わらず、私には直接何も訊ねてこなかったが、3人の孫たちを前にして、かなり嘆き悲しんだようだ。
時の経過とともに、大分落ち着いてきた母は、言う。
離婚して、何もかも失うように思えたけど、子どもたちを得られたことは幸せだったわね。
そう、その通り。さすがお母さん。嫌味かもしれないけれど、その言葉、素直に受け取ります。
これからも心配かけますが、どうぞよろしくお願いします。どうか、元気でいてください。
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