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給湯器騒動

忘れっぽい、私のための、自戒のための日記です。

電気会社の関連事業で、電気代をお安くするためのご提案をさせていただいております、
と、週末になると月に一度程度、自宅にかかってくる電話がある。
占星術としては、この時期、たしか経済活動が盛り上がる終盤にさしかかり、我が家も何某かの影響を受けるかもね、と予約をとったのが、そもそもの始まりだった。

連休初日にやってきた業者さんは、無料点検と称して、家の外にある給湯器を開け始めた。
是非定期的にやっていただきたい作業があるんです、と、給湯器の下側に溜まった水の抜き方や、電気の……もう忘れてしまったがスイッチが正常に作動するかどうかを確かめ方を教えられた。

そして配管周りなんですが……
と、作業員さんの携帯電話に入っている写真を見せられ、
アオカビが、まあこれは、ひどいケースなんですが……これ、小さいお子さんや高齢者さんは、影響受けることがあるんです、
と、下の方のカバーを開けてみる。
ああ、やっぱり……

指差された方を見ると、確かに白っぽい、青緑っぽいモノが付着している。
あとは、水漏れもしてるかもしれませんね……底の方が、光ってるのわかります?
と、言われたが、よく見えないまま、曖昧な返事をした。

そして、給湯器の買い替えを勧められる。

そう言えば、年明けすぐくらいに、仲良しの同僚が給湯器壊れたって言ってたっけ……
と、まず思い出したのは、そろそろうちも給湯器が壊れるころだ、と心配していたこと。
まあ、我が家の築年数から考えると、買い替えを勧められても仕方がない。
さあ、いくらだろう、と、身を乗り出した。

給湯器のカタログを見ると、114万円。いろいろと値引きさせてもらって……工事代込みで、94万円ですね、でもこれも、在庫がある間だけです、近々カタログの改訂があるので、おそらく、今の3割くらいは値上げになると思います、
できたら、来週末くらいまでに、うちに任せるか、そうでないか、どちらになっても、連絡もらっていいですか?僕、営業の者じゃないので、会社じゃなくて、僕の携帯に、直接お願いします、

と、言い残し、我が家を後にした。

もうその時点で、頭の中はクラクラしていた。
携帯の銀行アプリを開くまでもなく、わかっている自分の預金残高、今月のカード払いの金額、次のボーナスの予想、これから目標にしていた貯金額……

無理だ、と、絶望した。

リビングにいた小学生の次男三男には軽く説明をしたが、自分の心の中がザワザワした状態のままではダメだ、と心を決め、まずは日常の業務に戻る。
その日は、中学生の長男の部活の大会だったのだが、集合場所に集まるまでに、長男が自転車で転倒(完全なる自損事故。寒かったから萌え袖にしようと片手運転したら、ハンドルの制御ができなくなり、気づいた時には、自転車が自分の体の上にあったらしい。「田んぼに落ちなくてよかった〜!」とのこと)し、足を負傷してるので、迎えに来てほしい、という顧問からの連絡を受け、給湯器点検後に向かう、という予定だったのだ。

会場に向かう車の中で三男が寝てしまったので、まず次男に相談。
・給湯器の買い替えが必要らしい。
→アオカビが付着。体に良くない。
→水漏れしてるらしい。
・給湯器単体で114万円。近々値上げ予定。
・さっき来てた業者さんだと、工事代込みで94万円。
まだ壊れてはないんだけど……
と話すと、
どうせこの先、買い替えなきゃいけないんなら、今でいいんじゃない?
とのことだった。

次男と話すことで、頭の中が整理されてきた感じがした。
ありがと、そうか、次男はそう考えるのね、
三男、長男ならどうするか、2人にもきいてみようかな、
と返事すると、程なく三男が起きたので、次男にしたのと同じように説明し、三男の回答を待った。
寝ぼけていたのかもしれないが、次男と同じ返事だった。そして、(自転車転倒した挙句、大会に出られず、部活の仲間や顧問、そして家族にも迷惑をかけたことでしゅんとしていた)長男も同様の答えだった。

よし、心は決まった。我々家族は心を一つにして、この困難に立ち向かうぞ!とばかりに、お金について話し合いながら夕飯をとった翌日。

それでも、と思って、
給湯器、買い替え、見積もり……
と検索したら、ある業者さんが見つかったので、メールでやり取りをしていくと、LINEで写真を撮って送ったら、詳細お伝えしますよ、と連休真っ只中の早朝にも関わらず、すぐ対応してくださった。
ほぼ100万円は、高いですよ、
と、20分程度で見積もりが出た。

総額40万、しかも給付申請すれば、実質30万円、ということだった。

一方、朝ごはんを食べている間に
たしかおじいちゃん家も、ずっと前に、工事した、とか言ってたような……
と子どもたちが言い出した。

その後、長男のケガを診てもらうために、市内で唯一、休日診療を一手に引き受ける、働く者の味方のような病院を受診する。
その病院へ行くまでに、私の母が田舎道を歩いていた。
渡りに船だ、と、母を車に乗せ、単刀直入に給湯器の話をする。

母は、コロナ禍前にはなるが、給湯器の買い替えに200万円を費やした(あとから、これは勘違いで、100万円だったことがわかる)。
さすがにその時支払えなかったから、毎月8000円ずつ、80代半ばまで支払うそうだ。

私も長男も、言葉をなくした。
うちのおじいちゃん、おばあちゃんは、お金に関してはダメだな……
オレオレ詐欺とか、あんたたち孫のだと勘違いして、すぐに支払っちゃうかもね……
母を家の近くに送っていったあと、長男と2人で、そんな話をした。

私だって同じようなものだ。今朝になって、他府県にある専門業者に見積もりをしてもらうまでは、絶望感の中でも、支払いの予定を頭の中では立てていたではないか。
やっぱりネット社会に馴染んでないと、必要な情報を得られるように学ばないと、世の中渡っていけないんだよ、と長男に話した。

他にも長男の診療の合間に、近所の電器屋さんにLINEで見積もり依頼をし、念のため、というか、ちょっとした下心もありつつ、先生(異性として、一番仲良くしている職場の上司)にも「持ち家の先輩として」と、前置きをしながら給湯器の買い替えについて、その経験はあるか、その時の経費は、と質問してみた。

電器屋さんからは、うちなら50万円台、給付金の申請もお手伝いしますよ、と後日連絡が入る。
一方で先生からは、
修理だけでなんとかなった、10万円もしなかった、
と即答があり、さらに連休終わりかけに
相場では4、50万円だそうですよ、
と連絡が入る(ちなみに仲良しの同僚なんて、パーツの交換だけで済んだので、2万円くらいで終わったらしい)。

さらに、義理の姉……別居中の夫のお姉さんになるのだが、その旦那さん、つまり義兄(ちなみに夫も含めて、みんな年下)が、昔、水道関係に勤めていたことを思い出した。
訊ねてみると、すぐに回答があり、
家電量販店でも対応してくれるし、100万円はない、とのこと。

休みだったからこそ、集中して調べられたことは、私にとっても、子どもたちにとっても、いい勉強になった。
しかし、よくよく考えてみると、まだ壊れてもいない給湯器に振り回された連休だったな、と、お風呂に浸かりながら、いつ契約しようかな、と考えるのだった。

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