子の連れ去り問題

子の連れ去りには、次のような問題があると考えます。
①自力救済の横行
・自力救済は最高裁判例や民法・刑法上禁止されていますが,同居時に同意なく,子を連れ去るという自力救済が横行しています。
②面会交流までに長期かかる
・子を連れ去った親は,会わせたら子を連れ去られる等の理由をつけて他方の親との面会を拒否するという事態が生じています。家裁に面会交流を申し立てても調停または審判で決まるまでに6か月から1年もかかります。しかも,子どもと連れ去られた親が会えるかどうかは,連れ去った親の意思によりますす。
③ハーグ条約との不整合性
・ハーグ条約・ハーグ条約実施法上,日本からら外国への連れ去りは,他方の親の監護権を侵害する不法行為とされていますが、日本国内での連れ去りは,他方の親の監護権の侵害とはされておらず,法の矛盾が生じています。
④親権獲得(継続性の原則)に有利
・離婚後の親権を獲得には子の監護の継続性が重視されるため,かつ、子を連れ去ることは不法にはならないので,先に子を連れ去り,監護実績を積み,親権を獲得するということがまかり通っている。
⑤弁護士が子の連れ去りを幇助・教唆
・子を連れ去れられた日に弁護士から受任通知が届く等、弁護士が子の連れ去りを幇助・教唆し,連れ去られた親や子どもに不利益をもたらしています。
⑥実質的に単独親権状態になる
・大村敦志東大名誉教授は、親権の『共同行使とは双方が同意しなければ有効な行為を行えないという趣旨であると解される』と述べているが,子を連れ去られると,親権や監護権を行使することが事実上できなくなり,共同親権中にもかかわらず実質的に単独親権状態になる実質的に単独親権状態になる。
⑦連れ去り勝ち
・子を連れ去りしても自力救済が許容されている,面会交流で同居親の意向次第で会わせるか会わせないかを決められる,日本国内での連れ去りは不法行為にはならない,連れ去りした方が親権獲得に有利になる,実質的に単独親権状態になる等,子を連れ去れば,連れ去り勝ちになる。
⑧連れ去りを助長(無法地帯)
・子を連れ去りすれば,連れ去り勝ちになることが連れ去りを助長しており,連れ去りの無法地帯になっている。