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【第二回】なぜ、今(10月に)業績欄を書いてみるのかpart4

前回の記事が字数制限によって途中で中断となってしまいましたので、その続きになります。「立て続けに公開するなら1つの記事にまとめろよ」、と言う自身の心の声に耳を傾けつつ執筆しております。お許しください。

【例3】
「これまでに筆頭著者論文2報を書き上げてきた経験から、申請者は実験と並行しての論文執筆が可能なだけのスキルを有している。」

これは、前々回の記事にも書いた内容に関連した、より具体的な例です。審査員の方々の大きな関心事項の1つが、申請書に記載されている研究計画の実現可能性です。実際に、これまでの研究は計画通りに進んでいること申請書に記載した研究計画に関連して、その研究計画が実現可能であることを強くアピールできると申請書の印象がグンと良くなると思います。
今回の例は、そういったことを狙った業績の使い方と思ってください。特に、DC1やDC2は研究期間の最後に博士号取得に向けた審査(公聴会)というものが必ずあります。この博士号取得には論文の発表が必要になってくる大学がほとんどだと思います※1。それをちゃんと見越してどこでどのような論文を書いてpublishするかということ、それと実験などをどう並行して研究を進めるか、それが実現可能な計画であるか、実現可能な人材であるか、この辺りも大事な審査ポイントだそうです※2。

【例4】
「学内外の研究者育成プログラムに応募・採択され研究に尽力してきた(業績(6)-2,5)。」

業績の"その他"の欄に記載した内容についてです。業績欄以外の確実に"読む"所で、しっかりとこうした特徴的なものについて触れておくと審査員の方が、業績欄に記載されているこれらの事項を読み飛ばしてしまうことなく記憶にとどめる事ができると思います。業績欄って実は結構"読む"ではなく"見る"に近い作業になってしまうそうです。それはその通りで、ストーリーのある文章ではなく事実の羅列なので密度や質を判断できれば良いわけで、そうすると、せっかく努力した業績についても埋もれてしまう事があります。加えて、実に当たり前の話ですが、特殊な業績(誰もが知るメジャーな業績ではないもの)については別途説明しないとその価値をわかってもらえません。なので、必ず読んでもらえる所で言及し、アピールする事が得策と思います。

【例5】
「研究背景を踏まえて、自身の研究を位置づけ、どのように研究成果を明文化するかと言った論文執筆経験は研究者の職としての面白さを教えてくれた。」
【例6】
「申請者自身、2報の論文を書き上げる過程で痛感しました。」

これについては、研究というものが何から始まって、どう終わるのか、その全てをしっかりと経験と実感を持って理解しています、というアピールです。
論文を書いたこともないけど、博士課程でやっていけます!!と言われても審査員の方々は素直に高評価はできません。そこでやはり、これまで論文を書いて、それをacceptまで持っていった経験があるんです。そこから学んだこともたくさんあるんです、だから博士課程、強いては研究者になっても大丈夫です、とアピールできた方が自身の価値をしっかりと証明できると思います。
もちろん、論文がなければダメということではありません。論文がない人は、論文を書いたことはないけれど、****な理由から博士課程でやっていけます!!という****の部分をしっかりと考えておいてください。

これも今の時期に業績欄を書いてみる理由の1つです。今、業績欄を書いてみて、論文が間に合いそうにないのならば、それを補填する先述した****の部分を考える必要があります。これも、3月4月から考えたのでは全く間に合いません。しかし、今のうちから自身を見つめ直しどうアピールするかを考えておけば論文がなくても十分に採用を狙うことはできると思います。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。引き続き、執筆に精進します。

「注意事項とモチベーション」という記事がありますので、こちらにも目を通してください。よろしくお願いします。

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※1:文系の方だと結構論文書かなくても卒業できるらしいですね。不確かな情報なので本文には書きませんでしたが、博士後期課程在学中に職を得て、講師などを経てから博士論文を出版し学位を得るという、理系では考えにくいキャリアの人も多いそうです(むしろそっちの方が多いらしい…)。
理系でも先日博士課程在学中に理研かどこかに引き抜かれたスーパーウーマンがいたような気もしますが、スーパーだからですよね…依然、文理の文化の違いはよくわかりません。

※2:審査員の先生方の多くが苦言を呈するのが、研究計画において論文執筆が計画に含まれていないこと、だそうです。博士号を取る気ならば、論文の執筆は少なからず必要事項だろうに、実験のことしか書いていない。これでは、日本の科学技術に資する研究者(≒博士)になれるかすらわからない。ということで研究計画に厳しい点をつけざるを得ない、ということもあるそうです。
他にも、指導教員の研究内容そのままとか、そういったものもとてもよくないそうですね。その点についてもいつか記事にできればと思っています。

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今回も蛇足のへび子さんはお休みです。
結構、読んでくださっている方の感想を聞くと、人気企画になってきたみたいなので別記事で書こうか悩み中です。

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