“木質素材の熱化学還元処理をわかりやすく解説しよう 2

③木材乾燥神話は本当だろうか?“
写真はオイルパームというヤシの仲間で、この幹を製材後人工乾燥して水分を除去すると、ものの見事に変形してしまいます。そのため、木質材料として使うことが出来ず、マレイシア、インドネシアを合わせると現在では年間1億立米もの膨大な量の幹が捨てられています。私は、2000年に当時のマレイシア首相だったマハティールさんの依頼でこの幹の廃材を何とか有効利用する道を開くための研究をはじめ、当時在籍していた京都大学木質科学研究所で基礎実験に取り掛かりました。幹の組織の最大収縮率が48%にも達する厄介な材料をどのようにして寸法安定化させるかをいろいろ模索した結果、幹を構成する細胞組織を物理化学的に固定させる方法を見つけなければならないという結論に達しました。製材して水分を抜く乾燥方法ではだめだというのは分かっていますから、それならば、確りした樹皮で保護されている幹を樹皮付の丸太のまま処理することで組織を固定出来ないかと考えたわけです。その結果が下の写真です。

図2

図3

図4


お分かりいただけたでしょうか。
次回から熱化学還元処理技術について更に詳しくお話していきましょう。


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