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Festival de Frue 23感想と応援

はじめに

11月3日から4日までの2日間、静岡県掛川市つま恋リゾートパーク彩の郷でおこなわれたFestival de Frue23に初めて遊びに行きました。

今回遊びに行こうとするまで名前も知らないフェスでしたが、韓国の二人組アンビエント/エレクトロニカユニットSalamandaがライヴをこのフェスで行うという情報からフェスの存在を知ることとなりました(去年も出ていたそうです)。渋谷サーカスでの公演もありましたが、彼女たちの音楽は是非とも野外で聴いてみたいなと思い参加を決めました。

Webサイトに載っていた「初めて参加する人へ」の箇条書きの文章などの独特さにもあるような、デザインの美しさやラインナップの独自さからはかけ離れた「ゆるさ」のようなものにも惹かれ、仕事のせいで参加できなかった朝霧ジャムで見逃したCho Co Pa Co Cho Co Quin Quinがラインナップに加わったの参加を決めた大きな要因です。

Ceroと中村佳穂以外はほとんどが知らないアーティストばかりで、事前に様々な人たちの曲を聴いて勉強(?)するのがとても楽しく、期待はどんどん増していきました。これはあらゆるフェスによくある醍醐味ですね。

朝霧ジャムに参加する際は、キャンプの達人である友人が一緒なので何も心配ないのですが、今回はその友人もいないため、近隣のホテル(1泊4,000円)での宿泊となりました。これが結果的には大正解で、1日目と2日目の間に、風呂に入りベッドで寝れたことで、しっかり生き返ることが出来ました(前日十分な睡眠を取れずに出発したこともあり)。ローソンがほぼ同じ敷地にあったこともとても助かりました。ちなみに会場内にもホテルや温泉(別途有料)があるので早めに予約が取れれば、ここでの宿泊も可能なようです。

ホテル〜会場間はバイクでの移動となりましたが、深夜ということもあり10分程度の走行時間でした。日中よく晴れていたこともあり、寒さもほとんど感じずの走行でしたし、下戸である自分にとっては、アルコールを飲めなくなることはそれほどの痛手でもありません。しかし、会場から駐車場の距離が果てしない上に途中急な坂もあるため、会場外と会場内を何度も行き来するのは難しいなと感じました。

会場は、The Hallと呼ばれる施設内のイベントホール(屋根付き)と、Grass Gardenと呼ばれる芝生に覆われた野外地の2か所で、距離は徒歩で10分前後でしょうか。つまり音が混ざるようなことは全くありませんでした。

The Hallは転換が必要なバンドセットが主な出演者となり、Grass GardenはDJやラップトップでライヴができる出演者が主となります。

11月3日

三連休の初日ということもあり、高速道路は相当な混雑が予想されておりましたので、出発は6時とかなり早めに設定しました。

それでも途中海老名の手前あたりから渋滞が起き始め、すっかり車はストップしておりました。自分はバイクであったこともあり、(良し悪しはともかく)至極安全にすり抜けを行い、バイクの恩恵を存分に受けながら旅路を進めることができました。(とは言え高速道路で時速40km程度)。

静岡に入ったあたりからは今度は心配になるくらい車が少なくなっていきましたが、目を見張る程の快晴であったこともあり、実に快適で、東名高速道路の絶景ポイントや海が突然現れるあたりなどは感動的な気持ちよさでした。

途中富士川SAにて休憩を取り、富士山を拝みつつ再出発。目標の10時30分より前にはホテルに到着し、必要最低限の荷物(上着、椅子、財布等)以外はホテルに預かっていただきつつチェックイン。チェックアウト後の2日目の間の荷物も預かっていただけることになり感謝です。ローソンである程度の買い物などもしつつ、会場に向かいました。

駐車場に到着すると早速のゆるさに対面。広い駐車場の中には、特にバイク置き場などは決まっておらず、「トラックの奥の方の空いてる場所に置いておいてください」とのことでした。このゆるさというのか、「大人の裁量でわかるでしょ」という感覚は自分にはとても合っており、この「なんとなく」で事足りる感覚をとても気に入ってしまいました。

無事バイクを置き、エントランスまで向かいましたが、先述の通りこの距離がなかなか厄介で、バイク走行をしていた自分はある程度の厚着をしていたこともあり、汗だくになりながら到着。ここでもなかなかの長距離列ができておりましたが、思ったよりも早くリストバンドを受け入れることができました。

早速ご飯を食べてThe HallでのCho Co Pa Co Cho Co Quin Quinを待つこととします。ご飯は1,000円〜1,500円。物価高を憂いました。また、このご飯時にも緩さを垣間見たのですが、店員さんたちがゴミ捨て場の位置を把握していないのです。あそこで捨てさせるようにとアナウンスが飲食店になされていないゆるさに、フェスでいつも感じる「躍起になってごみの分別をしているイメージ」が覆されました。誤解なきようお伝えしますが、もちろんゴミ捨て場も存在し分別もされており、会場はとても綺麗です。参加者たち自らがちゃんとゴミ捨て場を探して捨てている素敵なフェスだなと好印象として捉えました。

Cho Co Pa Co Cho Co Quin Quin

噂に違わぬ独特なグルーヴ感のある、細野氏のトロピカル三部作を感じるような演奏で、この若さでこの音楽やっているのはなんというかとても信頼できるなと感じました。緊張している様が見てとれたので、余計なお世話ではありますが、彼らがもっと楽しげに演奏する余裕が出てきたら、もっとももっと良くなるなと思いました。

YELLOWUHURU - Midori Yamada

その後Grass Stageに移動し、この素晴らしい自然に囲まれたというか、自然の中にポツンとあるようなダンスフロアには心を奪われました。音も想像以上によく、最近の技術には驚かされるばかりです。存じ上げないDJでしたが、とても好みのグルーヴ感溢れる100% Pure系のDJで、しっかり踊れました。ゆっくりするイベントかと思っておりましたが、とんでもなく、フィジカルな喜びもしっかり味わえるのだなーと嬉しくなりました。また、これ系のイベントにありがちなプチプチガーガー系のDJではなく、しっかりダンスさせようという心意気を感じ、改めて自分とFrueの親和性を感じたりもしました。

Cero

セカンド発売後すぐの2013年に朝霧でライヴを鑑賞した時は、何だかガッカリし、その後グングンと人気を獲得し、メインステージで超満員のライヴを行った2016年の時には若干興味を無くしていたのですが、新たな音像を提示し、大進化を遂げたCeroの久々のライヴもとても楽しみでした。あの世界観をライヴで表現できるのかと心配もありましたが、完璧でした。MCにて「Frueは特に(照明が)暗いのが最高」と言っており、始まる頃には明るかった会場も、終わる頃には暗くなっており、なるほどと思ったのが印象的でした。過去の楽曲My Lost Cityなどもしっかりアルバム仕様のアレンジにアップデートされており、ラストのAngelus Novusでは同行者が号泣しているというとても感動的なライヴでした。

GEZAN

彼らが演奏する時にはGrass Stageの演奏も止んでいたので、鑑賞せざるを得ない状況ではありましたが、前評判を全く知らずに聴いた彼らの演奏が初日では最も驚かされました。昼間から時折聴こえてきたバグパイプの音は彼らのRHだったようで、冒頭バグパイプを吹くメンバー(ギター)が
客席の中から現れるという演劇的な演出に早速心を掴まれつつ、呪術的な楽曲とダブのようにリアルタイムでエフェクトをかけながらの演奏、そして突き抜けるように突然現れるとびきりポップな楽曲と、とにかく手を替え品を替え楽しませてもらいました。MCでボーカルが話していたように、それがエンターテインメント故というよりも音楽好きな故という点が伝わってくるような素晴らしいライヴでした。

Acid Pauli & Viken Arman

今年傑作アルバムを出したViken Armanと毎年出演しているAcid PauliのDJは今回とても楽しみにしていたのですが、開始40分ビートが入らない展開に、途中で離脱。もう少し我慢していれば楽しめたのだろうか・・・でも我慢するのもどうかと思い、動かなければそこそこ冷えるThe Hallからホテルへ。しっかりとお風呂に入り、翌朝に備えました。

11月4日

実は前日に判明していたのですが、DJ Oliveが急遽来日できなくなったとのことで、タイムテーブルが大きく変わってしまいました。DJ Oliveには申し訳ないのですがこれが功を奏し、一番のお目当て、Salamandaのライヴを朝8時という常軌を逸した時間ではなく、10時から拝めることになり、睡眠時間的にはとても助かりました。ただそれにより、The Hallの方の何人かが観れなくなりました。鬼の右腕という一風変わったバンドがおり、一風変わった音楽を鳴らしていて好きだったのですが、そのメンバー小林うてなは丸かぶりで一切観れなくなってしまいました。

Salamanda

待望のSalamandaですが、最初から最後までずーっと寝転びながら味わいました。Sun Electricというドイツの二人組が出した30.7.94 Liveというアンビエントの名盤があり、自分はこのアルバムが大好きなのですが、聴いた時からずっとこのライヴ盤は公園のような場所で演奏しているイメージがありました。多くの人がゴロゴロしながら聴いている中淡々と演奏をしていると思い込んで愛聴していたのですが、彼女たちのライヴを聴きながら自分は30.7.94 Liveの録音現場にいるような気持ちになっておりました。

もちろん鳴っている音は違うのですが、音が草木に溶けていくような、そして自分もとろけて一体化していくような感覚は、初めて30.7.94 Liveを聴いた時に感じた感覚ととても似ておりました。すっかり気持ち良くなり宙に浮かびながら、このまま今日はGrass Stageでずっと過ごそうかなどと考えもしましたが、演奏後は広い会場を散歩などして過ごしました。

Sam Wilkes Solo and with String Octet

2日目の衝撃はSam Wilkesでした。本業はベーシストとのことですが、シンプルなリズムボックスのような音に、柔らかな演奏が重なっていき、たった一人で終始心から幸せそうな顔をして音と興じるような彼には心を奪われました。歌声もとても涼しげで、瑞々しさも感じ、コントレックスの中で泳いでいるような気持ちになりました。途中から10名近いストリングスが登場し、彼の演奏に重なっていく様は、天国にいるかと思うような神々しさでした。いちばんの収穫と言っていいかもしれません。すっかり彼の大ファンになりました。

中村佳穂

実は名前は聴いたことはありますが、ほとんど聴いたことがなかったのですが、失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、とにかく歌が上手くて驚きました。そして感情爆発系の表情はしておりますが、軽々と歌い上げている感じがとても独特でした。熱狂的な男性ファンがとても多いようで、客席の彼らの反応を見ているのもそれはそれで楽しめました。出番後には、Hermeto Pascoalの舞台にも立ち歌唱していたようです。


Blake Mills

2日間の最後を本当に美しく締めてくれました。キーボード(時々ベース)と、彼のギターのみの演奏とは思えない、本当に豊かな時間に心奪われ、目が点になりながらひたすら聞き入ってしまい、動画、写真共に全く撮れずに終わってしまいました。ギターとは思えないような不思議な音色を奏でることもあり、あれは一体なんだったのだろうかと今でも思います。事前勉強の中で一番気に入っていた人であり、バンド演奏を期待していたこともあり、初めは2人で残念だなと思っておりましたが、とんでもないことで、ひたすら美しく、まさに魂が震える体験ができたと思える大トリでした。

と、このように大好きなフェスになったので是非とも来年も行きたいと思っておりましたが、円安による大打撃を受けたようで、続行の危機とのことです。現在クラウド・ファンディングを実施中ですので、興味を持った方は是非とも応援して欲しいものです。

自分は会場では即完であったブレイク・ミルズのめちゃくちゃカッコ良いTシャツのリファンドで応援した次第です。


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