天鳳位への道のり ~エピローグ~

 ひとまず麻雀仲間に天鳳位になったことを報告した。そしたら、その内の一人から「ツイッターでちょっとした騒ぎになってるぞ。」との一言。調べてみて驚いた。観戦ランキングで上位にいることは知っていたが、SNSで何か発信しているわけでもないし、十段とはいえR2350超のような際立って目立つレートでもなかった。昇天戦に気づいている人はいてもせいぜい2~3人程度だろうから、このまま人知れずひっそり天鳳位になってやろうくらいにしか思っていなかったのだ。蓋を開けてみれば大勢の人から祝福のコメントをされているわ、お知らせさんが実況配信までしているわで、まさかこんなに注目されていたとは思いもよらなかった。私はプレッシャーに弱い人間なので、注目されていると知っていたら緊張してどこかでミスをしていたかもしれない。知らぬが仏というやつだ。
 ツイッターでは私の正体についてどこのプロだのAIじゃないかだの様々な憶測が飛び交っていた。終いには全くの別人が疑われている有様だったので名乗り出ることにした(元々いつか始めようという気持ちはあった)。当初はツイッターをしている天鳳民なんて、さぞ性格の拗ねた麻雀廃人どもなんだろうなと偏見を持っていたのだが、そんなことは全然なかった。むしろ気の合いそうな楽しい人達ばかりで、これならもっと早く始めておけばよかったと思っている。

 昇天したら自分はきっと燃え尽きてしまうんだろうなと思っていたのだが、そうはならなかった。やりたいことが色々出てきたからだ。天鳳位はゴールではなくスタート地点だと今は捉えている。名人戦に出てみたいし、雀魂のプレイ動画作成も企画している。そして天鳳の2周目だ。前人未到の安定10段超えの成績でダブル天鳳位になることが目下最大の目標である。
 私は30数年生きてきて今が1番幸せだと感じている。諦めずに挑戦をやり遂げた自分のことを誇らしく思うし、天鳳位になれたことで色々道が開けた気がしているからだ。良い意味で今後自分の人生がどうなっていくんだろうとワクワクしている。
 私は学生時代の将来の夢が今の職場に入るか、プロ雀士になるかの2つだった。1つは叶ったので、次はもう1つを叶える番ではないかと思っている。幸いなこと(?)に、独り身であるので誰にも気兼ねすることなく自分の道を決めることができる。しかし、麻雀一本で食っていける人間なんてほんの一握りしかいない。天鳳位だから何とかなるなんてそんな甘い世界ではないだろう。自分の代わりになる人間なんて他にいくらでもいるのだ。私はリアルでも守備型の人間なので、収入が不安定な世界に勝算もなく飛び込んでいくことに抵抗を感じてしまう。副業が原則的に禁止の職場なので、プロ雀士と二足のわらじで行くこともできない。ただ、定年まで今の職場で働き続ける人生もどうなのよとも思っており、いずれやめるつもりならプロになるにはもう若いとは言えない年齢なので早いに越したことはないだろう。自分が一体どこまでいけるのか挑戦してみたい気持ちもあるのだ。この問題については当分悩む日々が続きそうである。
 それとこれは自分への戒めの言葉でもあるのだが、天鳳位の座に胡坐をかいてはいけない。皆から一目置かれる存在であり続けるためにたゆまぬ研鑽を積まなければならないし、麻雀業界で生きていくつもりなら、誰かに声をかけてもらうのを待つのではなく自分自身から売り込んでいく必要があるだろう。自ら行動を起こさない者に成功なんか訪れないことを忘れないでおきたい。

 最後に天鳳民の皆様へ。どうかこのゲームに挑戦し続けて欲しい。麻雀というゲームは奥が深く、完全解析には至っていない。だからこそ一寸先は光だ。何が起きるかわからない。私はひつじさんに出会えていなければ今も天鳳位を目指して打ち続ける日々が続いていただろう。たった一つのきっかけで化けるということが誰にでもあり得るのだ。
 山に登るルートは決して1つじゃない。色々なルートがあっていいはずだ。自分の得意とするプレイスタイルを見つけて、それを極め抜くことが大切なんだと私は言いたい。

 目標に向かって生きることは楽しい。私はこれからも色んなことに興味を持って、死ぬまで何かに挑戦し続ける人間でありたいと思う。記憶が風化する前に自分の歩みを書き残しておきたいと思って始めたこのnoteだが、読んでくれた人に何か少しでも良い刺激やきっかけになってくれれば幸いである。
 長い長い自分語りもこれで終わりです。ここまでお付き合いいただきありがとうございました!今後ともよろしくお願いします!

〈了〉

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