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初遠征してきたわよー

「名古屋、行きたいな…」
「いいんじゃない?行こうよ」

うだるような暑さが続く8月末、僕は体調不良で暑さも寒さもよくわからない世界にいた。
2週間ぐらい前から続く体調不良。なめくじのような汗を全身から出しながら思考能力はすっかり消え失せて、ただただ名古屋に行きたかった。

はじめまして僕です。
職業は?って聞かれたらコンサルタントって答えます(半分本当)。

点染テンセイ少女。の半年ぶりのワンマンライブは、新宿と名古屋の2DAYS。
もちろん新宿だけの参加予定だった。
8月、大きなフェスが次々と終わり、少しづつワンマンの話題が増えていく。


「おいでよ しゃちほこ参勤交代」と銘打って、4月のワンマン以降、毎月おこなわれた名古屋遠征。
ライブ会場で会う知人にも「名古屋行きましょうよ。楽しいですよ」と言ってもらうが、いつも通りの曖昧な笑顔で返答。

6月ごろ、推しさんが、ふと思い出したように「遠征おいでよ」と言ってくれるが、やっぱり曖昧な笑顔で返答。
なにか察したのか、忙しくてそれどころじゃなかったのか、それから遠征が話題になることはなかった。

正直、名古屋に魅力を感じない。
名物っぽい食事はだいたい東京で食べられるし、見に行きたいスポットもナナちゃんぐらい。
車で行って、名古屋のやんちゃな運転の方々に混じるのもおっかないし、どうせなら三重まで行って志摩で贅の限りを尽くしたい。
過去に出張や通りすがりでチラ見した名古屋の印象はあまりよくなかった。

推し事初心者の僕にとって、遠征と旅行は同意義で、旅行に行くならいろんなところを見て美味しいモノを食べてゆっくりくつろぎたかった。

毎月、遠征で関東からテンテンがいなくなるたびに、ライブに行くか迷わなくてホッとする僕と、楽しそうなメンバーやファンを見て羨ましいなぁと思う僕がいた。

8月末、ReNY ReNYのチケット発売開始。
チケットの予約画面を見て気持ちが抑えられなくなった。
同居人に相談し、名古屋遠征が決定した。

9月に入り、名古屋のオンラインチケットを2枚購入。
少し体調がよくなったので、ライブに行き新宿ワンマンの紙チケットを1枚だけ購入。
名古屋を確定させたことで、同居人の新宿参戦は運任せとなった。

体調不良が一向に快復しない。
ライブ行っては熱を出し、ライブに行かなくても熱を出す。
9月中旬ぐらいに
「なんとかReNYワンマンまでには治って欲しいです」
冗談交じりで話していたことが現実味を帯びてくる。

10月中旬、他所様のライブに浮気して体調確認。
ほぼ問題なさそうな状態だが、2か月寝たきりだったので、体力が一切消え去っている。
軽く運動してサプリ飲んで超早朝ライブも我慢して雌伏。
やっとほぼ完治の実感を得る。

ワンマン直前の週末、久々の土日両方参戦。
新曲の終電終恋ラプソディーも、なんならその前のキミがスピカだってあまり会場で聴けてない。
日曜日の新宿のライブの感想は「仕上がってるなぁ」。

いろんな表情のライブがある。
何回も足を運ぶ理由の一つだ。
ホームの会場でいろいろやってみよう、一発本番ガッチリ決めよう、先輩グループを前に今の全力を見てもらおう。
ホントにそう思っているかは知らないけど、なんとなくそんな感じで雰囲気が毎回違う。日曜のライブは本番直前の通しリハみたいな印象を受けた。

ライブが終わって物販で推しさんにご挨拶。
いつもハイテンションだが、この日はいつも以上にハイテンション。本人も上がり過ぎを気にしている様子。
「ちょっとクールダウンできるといいね」
できないだろうなーと思いながら伝えて帰る。

火曜日のライブも念のためスルーして、新宿ワンマン当日。

午前中、ツイッターを見ていると、4月のワンマンの時と少し雰囲気が違う。
やっぱりメンバーもファンもそわそわしているのだが、「当日だ。どうしようどうしよう」だった前回よりも、「当日だ。早く演りたい!(観たい)」な状態に見える。
新曲の配信も同日だったので、ファン側からしたら意識が分散できて少し落ち着いたのかもしれない。カップリング曲が思ってもいない曲調だったし。

仕事の方は非常に落ち着いており、夜勤になった同居人を寝かしつけ、一人で結局そわそわする。
仕事終わってから新宿に向かうと時間がギリギリ過ぎるので、会場近くまで仕事道具を持って、勤務終了し次第ライブ会場に行く予定だったが、どうにも落ち着かないので、かなり早めに仕事道具をカバンに詰めて家を出る。

新宿の喫茶店でPCを広げてぼんやり。やっぱり仕事は少なく、出来ることもなくてそわそわ。
ツイッターを漁っていると、前物販の楽しそうなツイートが混じってくる。
「あぁ、そういう選択肢もあるのね」
Lサイズのコーヒーを飲み干し新宿ReNYに向かう。


臓って月入るよね!わかってる!わかってるから!!と後から付け足してた

初めて参加する前物販。
ガチガチに緊張している推しさんを見れるというお得仕様。
普段、髪ゴムを黄色にしても黄色い服着ても生誕のメンバーカラーの服着てもなんも気づかない(言及しない?)人が会うなり「テンテンTシャツだー」って。
かなりの危険が身に迫って、脳のリミッターが外れてる状態の人みたいじゃないですかやだー。

終演後物販用のチェキ券、同居人の代行分も含めて購入し、再び喫茶店にひきこもり時間が過ぎるのを待つ。

18時、仕事道具をしまい、一服してからReNYへ。
思ったより短い列に並び、すぐに会場に入る。
ホール内も予想以上に人が少なく、落ち着きそうな位置に陣取りぼんやり。
会場内に流れる曲に合わせ、小さな声でMIXを楽しむファンをぼんやり眺めているうちに、ゆっくり水が湧きだす様に人が増えていく。
みんな仕事を終わらせて取るものとりあえず来ました!みたいな様子。

人がみっちりしたところで開演。
前回ワンマンのアンコール曲からのスタート。
前回よりも堂々と力強いスタート。
前回と違って10人全員そろってのスタート。

ずっと聴きたかったしおんちゃんの
「好きだった
うそだよ
おめでとう」
からの
「キミは大丈夫絶対に大丈夫」
前回欠いた点睛を速攻で回収させてくれる。

チグハグQ&Aが出た時に、ビックリするぐらい表現力が上がったなって。
ワンマン楽しみにしてたら卒業になっちゃって、いろいろ葛藤もあっただろうに戻って来てくれて、ちゃんと10人を観ることが出来て嬉しかった。

ちゃんと伝えに行けよと思うけど、まぁそれはそれってことで(顔文字略

「頑張ってるから!絶対楽しませるから!楽しみにしててね!」
推しさんを始め、メンバーみんなが何度も口にしていたワンマン。
いつもと違う演出が入るたびにざわつく会場が楽しくて、推しさんも歌う甘空があって、あっという間に終了する90分間。

最後にメンバー一人一人が挨拶。
全メンバーのコメント一つ一つに号泣する青い子。
珍しくノドを詰まらせる推しさん。

終演後物販、推しさんと水色の子に
「代行で!」
と一枚づつチェキを撮る。

「ぴよこちゃんは?」
「急に仕事が入って」
2人に同じことを聞かれ、2人にしれっと嘘をつく。
人間出来ていないので、嘘をつくことに抵抗がない。

名古屋遠征で何時に帰れるかわからない中、翌日に仕事を入れるわけにもいかず、2日間休みを取ったら、新宿分の希望休を出せず、よりによって変われない夜勤になって来れなかった。なんて言わずしれっと嘘をつく。
同居人には「絶対言うな」と言われたけど、人間が出来ていないので書く。


終演後、テンションマックス過ぎておかしなことになってる推しさん

翌日、同担の方と池袋で食事。
いつも通りくだらない会話をひたすら続け、名古屋のことなんか話題にも出さずしれっと帰宅。

翌朝、レンタカーを借りて片道400kmの遠征に出発。
新宿ワンマンに脳の大部分を持っていかれ、運転席に座っても当日の予定が決まっていない。
・サービスエリアを堪能すること。
・さわやかのハンバーグを食べること。
・なんかウサギのいる神社に行くこと。
後はノープラン。大きい旅行だと、調子に乗ってしおりまで作るけど、今回は脳の容量の小ささによりノープラン。

渋滞とサービスエリアに思ったより時間を取られ、さわやかに到着するころには日が傾きはじめる。
もう一回渋滞に捕まるとどうなるかわからないので、神社はご縁が無かったということにしてナビをReNYに設定する。そもそも僕しばらく神社入れねぇし。

17時過ぎ、やんちゃな名古屋の車にビクビクしながら栄に到着。
駐車場探してトイレ行って一服したらもう開場時間。
ReNYに向かって「サウピに来ましたよ」みたいな顔して列に並ぶ。

ホールのA席一番前端っこを陣取る。
「ビックリしてくれるなら、ビックリした表情見たいなー」なんて思いながら柵の前を陣取る。

何人かのファンは僕を見てビックリして、何人かのファンはいつも通り会釈して、いつもとちょっと違う場所でいつもよりちょっと座りの悪さを感じながら開演を待つ。見たことある人がいっぱいいて、サウピにいるみたいだけど、関西方面の言葉もけっこう聞こえるなぁなんて思いながら待つ。

19時、開演。
2日前に見た新宿とも少し違った雰囲気。入り過ぎていた力が少し抜け、さらに堂々とした印象。圧巻。
ファンの方は、新宿で見た時よりもさらに力強かった。距離が近かっただけではなく。

1回目はほぼ推しさんしか見ていなかったので、なるべくいろんなメンバーを見る。
曲ごとにパートごとに、歌っていない時もいろんな表情を楽しむ。
いつからこんなに表現力がついたのだろう。声で全身でいろんな表情が伝わってくる。
他のアイドルさんもちゃんと時間をかけて見たらそんなもんなのかな?なんて考えてたら、推しさんがビックリしてるかどうかわからなかった。

笑顔じゃない真剣な顔のホーリーを観て、「カネカネ言ってるとこがあるの!」って言われていた甘空の”重課金でガチャ連回せ”の部分を観て、「カネじゃねぇよ!」って心の中で突っ込んで、同じセトリなのに、全く違う90分を過ごす。

最後のメンバーの挨拶。
何人かがぐしゃぐしゃに泣きながらだったり、ノドを詰まらせながらだったりしながら、名古屋の恐怖やトラウマを語る。

ほとんど客のいない公演、どれだけの恐怖だろう。
イベントスタッフをかなり長いことしていたが、袖からでもそういった経験はなかった。
そんな思いをさせないように集まって全力で盛り上げるファンもすごいなと。

新宿ではなかったアンコール。
曲は「キミがスピカ」。

同居人の代行で何度か話している水色の子との8月の会話。
「ワンマン以降ブログ書かないの?」
「書かないよ(ウソだよつまんないの何回か上げてるよ)」
「どうやったら書いてくれるの?」
「んーなにか大きく心が動くことがあれば…」
「アタシたち次第かぁ…」
ネガティブなので8割リップサービスだと思っているけど、それでもありがた過ぎるお言葉。

キミがスピカの曲自体も、曲が発表されるまでの過程も全て大好きで、せっかく望まれてるし、どうにか伝えられないかと、何回もnoteに下書きして合計1万文字近く書いて、

キミがスピカがいい

の9文字を越えることが出来なくて没にしてました。

テンテンって傍から見てるとドブラック企業じゃない。
月30本以上ライブやって、夜静かだなーと思ったら当たり前のように深夜練してて、雨が降ったら嬉々としてフライヤー配りに出るような子がいて。ノドつぶして足ケガしても椅子に座ってステージに立って、隙あらば配信して。
みんな「それが普通じゃないの?」みたいな顔してて。

ファンからすると、こんなにコスパのいいグループってそうそう無い気がして、コスパがいいってことは、演者側は相当な苦労をしているはずで。

書いていいかわかんないけど、研修の子はそんな当たり前が当たり前と思えなくて辞退したんじゃないかなって。
「私たち本気だから」
の本気の温度差がすごかったんじゃないかなって。

そんな環境に戻ってきてくれた赤い子の気持ちも全て詰まっているようなキミがスピカで幕を閉じるワンマン。
感想なんて頭が真っ白になって出てこない。


運動しないのにスポーツマンガが好きで、どうしてだろうって考えたら、どうやら群像劇が好きらしい。だからジャンプのような必殺技が横行する作品より、人間ドラマに重点が置かれるような作品ばっかり読んでいる。

リアルタイムでそんな群像劇を見ることが出来ているんだからそりゃハマるよなぁと。
点染テンセイ少女。を観に行く。というより、点染テンセイ少女。という作品を読んでいるイメージ。


とりあえず終演後の物販でビックリしていたようなのでよかった。


今まで、努力ということをしたことがなくて、生きているだけで致命傷みたいな人生を送ってきて、大ピンチは何度もあったけど、努力はしてないから挫折はしたことがなくて。

どうも僕が見ている子たちは、大きな挫折や決断を経験しているようで、それでも、努力だけではどうしようもなさそうな世界で、ゴリゴリと力技で道を作ろうとしているように見える。
そりゃ尊敬するし憧れる。

文章を結ぼうとして、なんも思いつかなくて、机のまわりを見まわしてると、片づけてないチェキがそこらじゅうに散乱してて、推しさんやっぱりかわいいなーと力が抜けて頭が真っ白になったのでこの辺で。

大宮に行かなかったら今がなかったと思うと不思議だなぁ。

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