インファント
3月にアルカフェ店長権を使うことになったので、深雪さんにお声がけしたら、「(前略)30分ぐらいのライブを2人でやるのは可能だろうかと思って。(中略)あと、曲作れますが作りますか?」と返信があった。チームみゆきの曲は名曲が多いし、深雪さんが気分の乗ることがもうないかもしれないとも思って、それはいいですね、と返信した。
そのような会話をしたものの、その後アクションがなかったので、「曲先の認識です!」とジャブうちすると、しばらくしてぽろぽろとメロディが来た。音源をきくと、やっぱり深雪さんならではのパッセージ。いい。
曰く「tmrrさんがいやだったら考えるのですが、べたなポップスです」ときたので、「いや、ベタなポップスやりましょう」と戻した。誤解されているようですが、私はベタなポップスも好きですよ!
さて、この取組に当たり、実はひとつ構想(やりたいこと)があった。KinKi Kids様の名曲「ふらいんぐ・ぴーぷる'99」の曲をオマージュした「ふらいんぐ・ぴーぷる'23」というタイトルを思いついていたのだ。といっても、本家とは違って、どちらかというと「所在なく宙ぶらりんで浮いている」状態を表したかった。
サビメロだけがきた段階で、深雪さんが「曲のイメージが『なんだか未来に希望を持てないけどとにかく動こう』です」とメッセージをくれていて、ますますやりたかったことと合致しているように思えた。
……が。歌詞を書き進めてみてみて思ったこと。「どう考えても、この(歌詞の中の)人、まだ『ふらいんぐ』すらしていない」。どちらかというと、ベッドのうえでずっと構想をめぐらせているだけで、寝っ転がりながらぼんやりと窓を見ているような。所在はたしかにないけれど、身体は地上に接している感じがして、うーん、別のタイトルが必要だなあと感じた。
本番前日に大サビがきた(今までとまったく違うメロがきてたまげた。行きの中央線でよく歌詞を思いついたもんだ、褒めてほしい)ので、そもそも当日の朝まで歌詞が完成しておらず、とりあえずタイトル未定で世に送り出すことになった。
ライブ後、いろんなアイディアをいただいたが、その中で「飛行機関連のワード」がいくつもあり、よいと感じた。調べていくと、「インファント」という言葉にたどり着いた。インファント-infant-は、「乳児」みたいな意味で、飛行機用語としてみると、座席を必要としないパッセンジャーのこと、だそうだ。
青臭いというか、うだうだした内容が、「まだ座席すらもらえてない客」の意味に合いそうだなあ、と思って、このタイトルに決めた。あとは、音の雰囲気がふわふわしているし。
歌詞をながめてみると、こちらも昔からドッグイヤーしていたものがたくさんある。
例えば「クラゲの骨」。これは、
という意味で、どこかで使いたかったワード。それから、「一辺倒な感情が世界の総意みたいだ」という言葉は、高校生の私が「TEENAGER」で使用した歌詞に合わせて書いていたもので、これもどこかで使おうとあたためていた。「愛されたいも愛したいもほとんど同じこと」というのは、「ふらいんぐぴーぷる」の構想を少し残した部分……云々。
ベタなポップスに合わせて、歌詞も割とベタベタに仕上げたつもりなのだけど、ダサすぎやしないかとひやひやしていた(しんぺいさんに歌詞だけお見せして、ダサくないか確認さえした)。この手のものを作るときは、そのせめぎ合いが難しい。
ってなわけで、曲自体もインファントなかんじでございますが、こちらもぜひご贔屓に。
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