35歳フリーター、結婚
前回の続きですが、35歳の時に今の妻とめでたく結婚することになったのですが、その時の私は飲食店のアルバイトを2つかけもちながら、CMモデル(俳優業)と舞台演出を生業としていました。CMモデル、舞台演出だけ聞けば響きが良いですが、収入の柱は月々によって異なっており、年収で見た場合、アルバイトでの収入が一番多いという残念な状況でした。
よく聞く売れない芸人とか、売れない俳優とかと同じレベルか、それ以下です。
そんな状況だったので、自分の職業が〇〇です!ということも言えず、自分が社会的に何と名乗ればいいかを示すことができなかったので、ずっとヤキモキしていました。
35歳にして、演劇関係でも生活ができず、飲食店に勤めてはいるが所詮バイトという目線。
自分の将来に対して、自信を持つどころか、不安一色の中、結婚という人生の新たなステージのスタートラインに立っていたのです。
最初の壁は、新居探しです。
独身時代に多少の貯金はしていましたが、そんなもの引っ越し代と新居の契約で吹っ飛びます。
東京か埼玉か分からないような僻地ですらアパートを借りるのに家賃が10万ということに驚きながら、必死に笑って隠していました。
ここで私の社会人としての経験の無さ、無知が露呈します。
このアパートを借りるのに、契約する本人がフリーターで収入が安定してない(かつ、年収が低い)ので、私のアルバイト先での申請だと審査が通らないから、不動産屋さんが私の勤め先を偽って、別の会社に勤めていることにしてくれるというのです。
なんて、心の優しい担当者さん(S氏)だ!とその時は、一瞬心を奪われたのですが、なんのことはない、それには10万円の費用がかかるのです。
私達は引っ越しの時間まで余裕がなく、ここで審査に落ちれば、結婚というスタートで派手に転ぶことになる。
私達の出した答えは、10万払って情報を偽ってもらうこと。
法的にはどうか知りませんが、おそらく担当者のS氏がそのお金を抜いていたんだと思います。
なぜ、そんな事を思うかって?
私達の物件は「東建(とうけん)コーポレーション」だったのですが、担当者のS氏はずっと、「とうたて」と言っていたからです。
そんなことあります?
結果的に入居することができたので、騙された訳ではないですが、これが私達の結婚生活の始まりです。
この時点での貯金はゼロです。
つづく#