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アメリカに行ったら途中でフェスティバルが終わってしまった話

どうも。今アメリカのノースカロライナ州の空港でこのnoteを書いています。
日本時間は早朝かな、こちらは16時くらいです。

スタート前、開放されたメインステージ前

色んなこと頑張って、やっと念願のアメリカのフェスティバルBlue Ridgeに参加してきました。今回参加して驚いたのは、私はMediaの枠での参加だったんですけど、Mediaに参加しているフォトグラファーのレベルが過去最高っていうくらいすごかったこと。
今回の選考後にMediaのしかもPhotoパスをもらえる人間の数は相当限られます、と聞いていたのですが。あの人もこの人もすごい、なんなら見た事あるカメラマンすらいる。
大手メディアであるLoudwireの中の人や、Metal Injectionの人、The Ghost Insideのカメラをしていた人、X Japanのカメラマン、レコード店をやってる人…etc

そんな人達ばかりの中なのに、誰もバチバチにライバル意識飛ばしてたりPitの中で場所取り争いも起きなかったし。全てのレベルが高かったです。

6日に開催されたpre partyでのNONPOINT

The Ghost Insideのカメラやカリフォルニアで自身のマネジメントをしているMikeさんには「このバンド知ってる? 見といたほうがいいよ」とちょくちょく声をかけてもらって。
彼の教えてくれるバンドは間違いがなかった、このNONPOINTもそう。初日私はVAのレールウェイの途中でUberを降車して、2時間半歩いてチェックインして自分のテントがある場所まで辿り着いたので、pre partyに行く気はなかったんです。

でもメディアチームのハンナに「一緒に写真撮りにいく?」と誘ってもらったのがきっかけでPre partyのステージに行ったし、MikeにNONPOINTを教えてもらえた。(NONPOINTマジでライブやばかったです、チェックしてみてください)

ヨーロッパのフェスに行くと、自分の写真をいかに使ってもらうために人より先行していくか——って感じなので、タイムテーブルの変更とか地元の人が知っているバンドを教えてもらえるなんてなかった。
だから今回、メディアチームの皆に色々よくしてもらえて学べた事はとても大きかったです。何より一人じゃないっていうのが嬉しかった。

7日のメインステージに出演したStitched Up Heart

そしてフェスティバル初日のメインステージ、これもMikeに教えてもらったStitched Up Heart。彼らは私の写真を公式で使ってくれました。
アメリカ行って思ったのは、最近こういう女性Vo.がシャウトしてクリーンも歌うバンドがめちゃくちゃ増えてきたし、ある程度ちゃんとした地位を確立してるんだなって。アンジェラゴソウやアリッサが築いてきた道の中で、Butcher BabiesとかInfected RainとかJinjerが出てきて、それに夢を持てた皆の今があるんだろうなって。世界観含めて好きだったので、また機会があれば関わりたいなと思ってます。

そして念願のThe Ghost Insideを撮影。このバンドの撮影がしたくてやってきたんだと散々言ってたので、カメラマンの皆がやったじゃんって声をかけてくれた。

THE GHOST INSIDE

ずっと観たかったバンドが、あんな地獄のような出来事から戻ってきてくれた。
それだけでもう嬉しくて最高でした。新曲がどうのってネットでは賛否両論だったけど、生で聴いたらなんとも思わなかったです。ただただThe Ghost Insideがそこにいた。皆TGIが好きで歌ってた。素晴らしい景色だったなぁと。

https://x.com/marina_133photo/status/1699909910136246632?s=20


もう感無量です。憧れの一つをとうとう叶えてしまった。今回のフェスティバルでは、私は全てのステージのPhoto Pitの撮影が許可されていたので、その他にも沢山の夢のようなバンドを撮影できる予定でした。


さてしかし。
ここから状況が急変。

突然雨が降り出したんです。予報にもない大雨で、レインジャケットを用意してる人なんてほとんどいなかった。
私はちょうどEscape The Fateのステージを待って、TGIや他の写真をMediaテントで編集していたので、直接雨風に機材がさらされる事はなかった。
機材を置いてる人の荷物をテントの中に入れたり、風通しが良いようにと開けていたテントが吹き飛ばされないように皆と支えたり。でも私小さくて、テントを引っ張って自分が飛ばされないようにするので精一杯。

しかも大雨ってどころじゃない。一旦雨がおさまったタイミングで緊急退避指示が出たんですが、まだ皆ショーが再開されると信じてステージ前にいたんですよ。私もそうでした。するとSmashpunk Recordsのステージ横の電柱がショートして火花が上がったんです。
もうお客さんパニック、一気に皆テントへ避難を始めました。そこで追い討ちのようにさっきよりも酷い大雨、雷、風、最後には大きな雹まで降ってくる事態に。

吹き飛ばされそうになってたら、2m暗い身長があるJohnってカメラマンが「何してんだ!飛ばされるぞ!」って近くの林まで引っ張ってくれたり。テントエリアに戻ると、テントや私物が吹き飛ばされた人達で阿鼻叫喚。
ひとまずテントに入ったけど、スニーカーも着ていた衣類も全部びしょびしょでダメに。唯一、PCとカメラはバックパックがアウトドアに適した素材でできていたので無事でした。びしょ濡れのバッグ開けるまで本当怖かった。

結局この日はステージの機材が壊滅的で、18:30以降のショーが全てキャンセルに。Five Finger Death Punchの撮影が許可されることって滅多にないそうなんですが、今回のフェスは参加フォトグラファーのレベルの高さ故か、OKが出ていたんです。
そんな夢のようなチャンスを逃してしまい、正直ショックでした。
メディアチームの中には、この日でパソコンもカメラも全て水没でダメにしてしまい、泣く泣く撤収した人も。


二日目、Famous Monster Stageに出ていたUpon A Burning Body

そして二日目。
この日もステージの調整が終わらずにSavage Handsが移動した影響で、30分巻きのステージと30分押しのステージが出てしまい、スケジュールがちょっとズレてしまう。
Famous Monster Stageにはデスコアバンドが結構集結している日で、この日私はバックステージにも入れたので貴重な経験がいくつも。
とにかくTwitterにも書いたけどAngelmakerが意味不明なステージかましてました。機会があったらこれは日本の人たちにも見せたい。

Angelmaker

ここでもMotionless In Whiteの演奏時間を前にして、再び雷雨の予報が。
昨日の雨を経験していただけに、皆一斉にEmagency Gateから外に出る事に。

もうしょんぼりです。Motionless In Whiteは学生の頃から大好きで。
初来日も行ったし、アメリカツアーにも普通にお客さんとして何度も参加してて。
しょんぼりしてやけ食いして昼寝しようとしてたんですよ。

そしたら目の前からメディアチームの一人、ハンナが歩いてきて。
(ハンナは皆のお姉さんみたいな存在。ベリーショートの美人で57歳って言ってたけどスタイルも良くって、色んなカメラのことを皆に教えてあげてた。)

「どうしたのマリナ?」
「雨だからテントに戻って待機しろって、悔しくてたまらないよね。せめてご飯食べようと思って…ハンナ、エリアもう封鎖するってよ?」
「私はPCとカメラを一台置きにきただけよ。あとこの後のこと考えてサンドイッチ食べたんだけどね、私は軽装備にしてエリアに戻るけど」
「えっそうなの? でもステージ、今のバンドがやったら止まるかもって」
「マリナ、今聴こえるサウンドチェックの音わかる? バンドはね、本当にステージがダメにならない限り、契約上セットをやらされるのよ。空を見て、ほら、多分雨が降ったって昨日のようにはならないはずよ。バンドが諦めずにサウンドチェックをしているのなら、私たちカメラマンが先に諦めちゃダメ

ハッとしました。内心前日の事でショックを相当受けてたんだと思います、だから諦めてた。けれどこのハンナの話を聞いて「そうだね! ありがとうハンナ、準備してすぐいく!」とご飯を置いてエリアへ向かうことに。

エリアに戻ったらまさかのThe Black Dahlia Murderがもうスタートしてて。
明らかに人は減ってたんだけど、きっとこのファンの人達は皆が避難始めても、サウンドチェックをしているブラダリを信じて待ち続けてた人達なんだと思うと、胸が熱くなった。

Sleep Token
Motionless In White

Motionless In Whiteは昔の全然売れてない、下手だって馬鹿にされてた頃から大好きだったので大号泣してました。「続ける」って本当に勝利だなって、今回のアメリカに来て本当に思いました。

そしてこれ。
Lorna Shoreと4年ぶりくらいに再会。Willくんとは初めまして。
彼らの生の声を届けられたらいいな…くらいに思っていたら、予想外に反響があってびっくりしました。待ってるから、いつか一緒にツアーしようね。

色んな事に挑戦して、諦めないって大切だなって。
何度も言うけれど、今回のアメリカで痛感してます。私が初めて出会ったLorna Shoreも、その後何度か見たLorna Shoreもこんなんじゃなくて。
彼らの努力と、登ったステップを目の当たりにして感動した。

メディアチームの人達

結局、この翌日再び雷雨になり自分のテントで2時間くらいじっと雷雨が去るのを待っていました。14時になりその日のプログラムは結局全キャンセルとなる事が発表され。
17時に翌日のスケジュールをアナウンスすると公式が発表しましたが、さらに翌日の最終日もキャンセルになる事が発表されました。

この間、テントエリアから出ることは基本的に禁止とされていたので、仲間のバンドが沢山グランドに来ていたのに会いに行くことはできなかったし、それを決行しちゃいけないと思って耐えました。
アメリカまで来たから、普段会えない仲間たちにすごく会いたかったんです。
だけど私の「好き」って気持ちだけで、勝手に皆の安全の為の判断に対してマナー違反をしてはいけないと思い、せめて会いたかったよと連絡を送って泣く泣く諦めることに。

アメリカまで来て、4日のうち全プログラムがきちんと全て行われる日はありませんでした。そしてラスト2日はキャンセル。
一気に皆が帰り支度を始め、私も慌ててホテルを取り、同じ方面へ車で帰るフォトグラファーに送っていってもらう事に。
ほんと助かった…一日メインエリアに行けず待機だったので、バッテリーもギリギリの中、夜は雪が降ると言っていたので歩いて電波の繋がる大通りまで何時間も歩く覚悟をしていたから。

確かに残念でたまらなくて、予定していたことも半分しかできなくって。
悔しくないかと言われたらそんな事はないです。実際キャンセルが決まって現場の皆がバタバタして喧嘩が始まったりして、とてもキツかった。
だけどまずはこの場に来る事ができたこと、それだけでも感謝だと思ってます。


泣き言や怒りや、そんな事言う暇は許されなかったし言うつもりなんてありませんでした。何が来ても笑うしかなくて、きっと皆には「メンタル強すぎ」って思われてたんじゃないかなと。
本当はそんな事なかったんだけど、悔しいのは皆一緒だし、泣いてる暇があるならまずこの場から脱出する事を考えなきゃいけなかった感じでした。

2日目のFamous MonsterステージのLorna shore


不完全燃焼。本当正直な気持ちを言うとそんな感じです。
だけどこれもまた貴重な経験をしたのかなって。そう思う事にしています。

色々楽しみにしていてくださった皆様、本当にごめんなさい。

まためげずに海外フェスティバルには行こう!
そして今回叶えられなかった事を、いつかまた叶えに、リベンジしに行こうと思っています。

私、Marinaの今後の取材や活動費、または各バンドのサポート費用に充てさせていただきます。よろしくお願いいたします!