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【素的視点から#037】涼風が運んでくるもの

九月も1週間が過ぎましたが、今年はあっけないほど秋が来るのが早く感じています。

ここ数年、九月半ばまではまだまだ残暑が厳しく、街のショーウィンドウや店頭にいくら秋物が並んでいても、全く食指が動かない状態が続いていたように思うのですが、今年は、何だかきちんと秋が来ているように感じる。

それは多分に天候が影響しているのでしょうね。
ラジオから「秋雨前線が…」と聞こえてくると「あ、そうか、秋だね」と安直に思いますし。

そして、日に日に早くなる日暮れと夕焼けの鮮やかさがもたらす、一抹の寂しさ。
何より、この寂しさを「秋らしさ」として充分に味わせてくれる、この涼しく優しい風ではないでしょうか。

春の風はそっと頬を優しく撫でる感じがしますが、秋の涼風はそっと肩を撫でるような、そんな気がします。

ーあの熱く眩しいギラギラした季節は、もう、去ったんだよ

時季を終えた向日葵の姿を横に見ながら歩いていると、そんな風のささやきが聞こえるようで、何かを置き去りにしてきたような、まだ、何かし足りないことがあるように感じてしまいます。

個人的には、この感覚は本当に久し振りで、昨年までは九月の存在が曖昧だった(笑)。

この月は誰かの誕生日があったり、秋の連休もあったりと、いわゆるイベント要素が多かったものの、季節としての九月を感じたことはなく、残暑に辟易しながら上期の締めと下期の調整する時期、社会生活上の「つなぎ」という認識でしかありませんでした。

九月を秋の始まりとして味わう、そのようなことができる今の私は、随分変わったものだと、一人感慨に浸ってしまいます(笑)。

生活のリズムが以前よりもゆっくりとしたものの、まだまだ気持ちはせっかちのイラチだった私ですが、あの、海深く潜るような八月を過ぎて、海流に漂うような心持ちでいられるようになったのかもしれません…自己判断ですけれど。

そんなことを思っていたら、風からこんなメッセージも聞こえてきました。

ーほら、空をごらん、これからもっと夜空が美しく見えるから

<今日の美>


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