見出し画像

【ココロの旅#81】"パリコレ"-素的視点から

 こんにちは、カバー写真は近所に咲いていたクリスマスローズ。ガーデニングでも人気のある愛らしい草花ですが、花言葉は「追憶」「慰め」そして「私を忘れないで」。確かに、うつむき加減で佇む姿がとてもいじらしいですね。

~幻想から現実へ~

●お布団から眺める夢の世界

1月下旬にパリコレ、名だたるメゾンによるコレクションのいくつかをオンラインで視聴しました。

一介の庶民ですし、「ブランド物」もほとんど持っていないし、無論、顧客でもないしファッショニスタでもないのですが、「ブランド」のデザイナー が生み出す作品には興味がありまして、以前はウェブサイトや雑誌でリアルに行われるコレクションをよく見ていました。

それが、某パンデミック後は、コレクションは軒並みビデオ配信、それなりの設備があれば、誰でもどこでも視聴というか参加可能になりました。

コレクションはパリ時間の午後から始まるため、こちらは丁度夜。お布団の中でスマホ片手に楽しむという、その昔、1か月遅れて放送されるTV「ファッション通信」でコレクションの極々一部を嬉々として見ていたことを思うと...相当な隔世の感があります(笑)。

いくつかのコレクションを見ましたが、その一つ一つがまさに「映画」でした。"モデルが作品を身に付け披露する"ことには変わりないのですが、各々がデザイナーやクチュリエが紡ぐストーリーを体現するような演出で、「映画」の小作品集といった趣でした。

これまでのリアルなコレクションは、観客やら生身のモデルが醸し出す空気、そしてハプニングなどまさにライブ。けれど、その一方で、絶え間なくたかれるフラッシュとひっきりなしのシャッター音、招待客の顔ぶれやスタイル、それに専門家(?)による解説など、15分程度のショーに様々な情報がまあ溢れていたこと溢れていたこと!

ところが、今回私が視聴したコレクションは、そんなノイズ(失礼!)を排した、純粋にデザイナーとクチュリエの作品を鑑賞するための「映画」でした。

その中で、特に素晴らしいと思ったのは、ルイヴィトンのメンズコレクションです。圧倒的な映像の美しさは言うまでもなく、この15分の映像作品に、自然、人、社会、未来について考えさせられることになりました。


はて、はて、一体何なんでしょうか?

●素的視点から

この映画は、真っ白な雪山のシーンから視聴者を、まずは、まっさらな世界に引き込みます。そして、人と社会について詩人が語り、歌い、出演者がそれぞれの方法でルイヴィトンの作品を披露するという展開。秋冬の「ルイヴィトン」の商品の紹介と同時に、自然・人・社会・そして未来に対する同社の姿勢が垣間見られました。

従来、高級ブランドは社会課題とは180度向こう側で、ある特定の人々のいる世界の中でのみ存在するものでしたが、ここのところの社会の変動により、(事業戦略の一つかもしれませんが)自らの使命を様々な形で問い直すようになったのでしょう。

パリコレの舞台は、そう「自由・平等・友愛」を追求する街。

誰もが、自由に個性を発揮し、平等に機会を手にし、友愛の情を互いが持つこと。

いくつかのメゾンのコレクションをオンラインで観ながら、かつては上流階級の日常を飾るためにつくられたものが、現代では、その街の持つ使命に立ち返えろうとしているのかもしれないと思いました。特に、多様性ということに心を砕いた演出が多く見られました。

・・・と、まあ、そんな小難しいことを思わなくても(笑)、美しい映像ばかりですので、お時間のある時にでも覗いてみてください。

<今日の美>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?