3/19 花のある暮らし

 昨日のバスツアーで摘んできた菜の花を、コップに挿して台所に置いてみた。明るくて元気な黄色が場をぱっと華やかにしている。近くで作業をしていてふっと顔を傾けた瞬間に花の香りが鼻を掠めて、顔も気持ちも緩まる。目で鼻で、花を感じるたびに小さなうれしさが積み上がっていって、『花のある暮らし』ってこういうことか、と思った。お花屋さんを見るのは好きで、待ち合わせ場所の近くに花屋さんがあって待ち合わせ相手がなかなか現れないときなんかは、内心『ラッキー』と思いながら花と花の名前と値段が書いてある札を延々と眺めている。それくらいにはお花も好きだけれど、実際、『花のある暮らし』をしようと思うと、『日々の暮らしに取り入れるには、お花の価格は、嗜好品なお値段だな……』と躊躇してしまう。けれど、菜の花を飾ってみて、花の効用に気がついたので、例えばちょっとうれしいことがあった日に、お気に入りのお花を1本だけ買って帰るっていうのは『あり』なんじゃないかなぁ、と思いはじめた。今からの季節、きっとチューリップ1輪でもかわいいよね。

 そんな『花のある暮らし』に憧れを抱きはじめて。茎丈を短く切った花を一輪、無造作に挿していい感じに様になる、素敵な花器が欲しくなった。とはいえ、菜の花×コップも、『無造作に飾りました』という気張ってない雰囲気がそれはそれでお気に入りだ。

 お花を活けるセンスも欲しくなった。昨日摘んできた菜の花は5本で、いざ飾ろうとするとそのままコップにいれるには茎が長かったので、あまり考えずにざっくりと切って短くした。ところが、いざ活けてみたら、上から見たときにサイコロの5の目みたいな配置で、真ん中の茎だけ他より短くなってしまって見た目が凹んでいる。料理の盛り付けといっしょで、きっと中高にするともっと素敵になっていたはず。茎にはさみをいれる前に、ちゃんと配置を考えてからにすればよかったんだな。今度からはそうする。

 台所に飾ってある花に気がついた旦那さんが「菜の花きれいだね、食べるの?」と聞いてきたので、答えるより先に笑ってしまった。数日前に、とんかつ屋『新宿さぼてん』の前で、『筍と菜の花のロース巻きかつ』のポスターを見て、わたしが「これ、おいしそうだね~」と言ったことを頭の片隅に置いていてくれたんだろうなと思うと、うれしくておかしくて。菜の花、食べてもおいしいけれど、今回の菜の花は目で愛でましょう。ふふ~。

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