徒然なるアナログ生活〜今日の1枚〜VOL.40 22.08.17
77回目の終戦の日を過ぎ、数多の戦没者に慰霊の黙祷を。
終戦の日周辺はいつも暑い。昨日の真夏よろしく真っ盛りの暑さには溶けるかと思った…
慣れてはきたものの、まだまだ過酷ですな。
そして本日は雨。湿気えぐい…
本編ご無沙汰してしまいました。どうも皆さんおはこんばんにちは。
お盆休み、楽しみましたか?私は世間とズラして明日からが夏休みです。
夏休み あー夏休み 金がない… 筆者心の一句。
さて、お金がないのは推し活とレコードを買い漁ってるから。しかたない。私は趣味に生きるッ!!
というわけで、所有品の中でも結構頑張って購入した1枚を本日はご紹介。
先日、<過去50年で最も影響を与えた英国人アーティストランキング>でトップを飾った彼の作品。
DAVID BOWIE/Scary Monsters
80年作の13枚目のアルバム。
デヴィッド・ボウイがデヴィッド・ボウイになったアルバムとして個人的にイチオシする1枚。
そう、デヴィッド・ボウイは常に何者かになりながら作品をリリースしてきた。
そんなペルソナを脱ぎ捨て、いちミュージシャンのデヴィッド・ボウイとして80'sの幕開けを強烈に示したのが本作だ。
先進的サウンドが話題になったベルリン3部作(『Low』『Heroes』『Lodger』)で、クラウトロックやアンビエントに触れ、既に「ニューウェーブ」サウンドの一端を掴みとっていたボウイにとって、この時期に方向性をシフトしたことには必然性すら感じられるほどである。
個人的な感覚で言えば、この1枚を以ってロックスターとしてのボウイが完成したとさえ思うほどの名盤であるが、、、昨今の世間での評価はイマヒトツ…。
「迷作」と評価されがちであり、どちらかと言えば迷走感が強く感じられているようである。
音楽的評価の高いベルリン3部作で、ボウイ流アートロックを完成させた直後に、本作をリリースしていること。
ボウイ自身のスタイルの変化。
ベルリン3部作からの音楽性の急変。(1曲目は日本語が飛び出すからねw)
受けの良くなかった理由はこのような感じだろうか。
ぶっちゃけ筆者的にはブライアン・イーノと組んだベルリン3部作の方が衝撃的で、正直理解するのにめちゃくちゃ時間がかかった。
世界を売った男、ジギー、アラジン、ヤングアメリカン…この辺との乖離には大いに戸惑った。
STATION TO STATIONでの方向転換よりも過激だったし、環境音楽家として名を馳せていたブライアン・イーノとの共作が産んだ深い実験的なアートの世界観に戸惑うなという方が無理であろう。
当時のボウイの精神状態が非常に危なっかしいものだったのも影響しているとも思う。ボウイはアメリカで薬中状態になっていて、療養もかねてドイツでの製作活動であった。
もちろん今となってはベルリン3部作は傑作だと言えるし、名盤だと疑う余地はない。
しかし、現代における本作の評価は、いくら前作までの音楽的評価が高かったにしても、余りに不当であろうと思う。
リリース当時には全英1位、ビルボードでも12位と高い評価を受けて迎えられたのだから。(シングルカットも4作品ある。)
ジャケットの裏にはベルリン3部作のアートワークが散りばめられている。
まるで過去を自ら乗り越えていくメッセージのように。
ボウイの時代を嗅ぎとるセンスは抜きん出ていた。
グラムという刹那的に終わるかに見えたブームを不動のものにしたし、音楽的にもどんどん新しいものを取り入れ、最先端を走っていた。
80年代の始まり、というよりは70年代の終わりをつぶさに感じ取ったボウイは、70年代の自分を否定する。
A4の「Ashes to Ashes」ではスペースオディティの歌詞に登場した架空の宇宙飛行士【トム少佐】を、単なる薬中と切って捨て、MVではその【トム少佐】に扮しながらその存在を否定する。
70年代の自身を清算するかのように。
自らの過去を潔いまでに切り離し、個としての「デヴィッド・ボウイ」そのものを強烈に打ち出した作品であろうと思う。
トニー・ヴィスコンティとの共同プロデュース。
客演にロバート・フリップ、ピート・タウンゼント。
ブライアン・イーノがいないことを除けば、3部作からさほど代わり映えしない陣容だが(Lodgerではエイドリアン・ブリュ―が客演)、ブライアン不在の影響はなく、内容面、サウンド面共にエネルギーに溢れ、完全復活のデヴィッド・ボウイ。
自身の確固たる意志で、ボウイの80年代が幕を開けた。
開幕の1曲がコチラ。
「It's No Game (Pt.1)」
SEからのリフ、そしてそのリフのかっこよさたるや…。ロバート・フリップのエッヂの効いたサウンドには脱帽だ。
唐突な意味の通らない日本語。このあたりに迷走感を感じ取ってしまうのはわかる気もするが、楽曲の出来、ボウイのボーカルは圧倒的。
A3 タイトルナンバー「Scary Monsters」
ダンサブルに、かつロックに。まさにこの後訪れるニューウェーブ的なサウンドで魅了する1曲。次作83年の「Let's Dance」の息吹を感じる。
既に来る80’sの空気を感じ取っていたのかもしれない。
裏返してBサイド。
A面のどこか影のあるサウンド。対してB面はエネルギッシュな展開。
筆者お気に入りはこの2曲。
「Kingdom Come」
「Because You're Young」
どちらもロックナンバーではあるが、シンセや電子音、その他多くの音が混ざり合ったナンバー。
Kingdom Come
ギターはロバート・フリップ。ここでの仕事はアルバム通して最高かもしれない。サウンド面に対する彼の貢献は、本作の骨子の一つだ。アレンジがたまらなくかっこいい。
こちらは元テレヴィジョン トム・ヴァ―レインのカバー。
ボウイは結構カバーも多い。カバーアルバム「Pinups」も今度取り上げようと思う。
Because You're Young
ここで登場ピート・タウンゼント。
作曲はボウイのはずなのに、サウンドはもろに「The Who」(笑)
しかし中々どうして相性のいい2人。ピート・タウンゼント節がいい味を出している。UKらしいロックナンバーだが、間違いなく80’sの音。この辺の塩梅が心地よく響く。
最後は「It's No Game (Pt.2)」
1曲目と違い全編ボウイのボーカルでアレンジが異なる。
なんだかどこかで見たような作りだ。
STATION TO STATIONからプログレな要素も取り入れてきたわけだが、本作の作りもまたプログレアルバムっぽくなっている。
最初と最後の曲が同じタイトル…、ピンクフロイドの「炎」のようだ。
「迷作」と揶揄されがちな本作だが、ボウイはコンセプトを持って制作していたはずで、聴けば聴くほどに魅力的な1枚である。
Apple Musicでは、デヴィッド・ボウイの必聴アルバムの1枚に挙げられているほどで、実は日本人的感覚と、英米での捉え方は角度が大きく違うのかもしれない。
筆者は名盤であると信じて疑わないが、皆さんはいかがだろうか。
本盤はディスクユニオン、確か渋谷で買ったと記憶している。
UKオリジナル。
インナー無しのディスクとジャケのみ。
それでも結構なお値段で、小一時間品物を抱えながら悩んだ。笑
中々この価格帯では出会えない…
迷った末にカードを切っていたw 翌月洋服を新調するのを諦めた…
盤は綺麗で音は抜群。
サウンドに溺れるような、弩級の聴きごたえには鳥肌が立った。
オリジナル盤の威力は価値観を揺るがしてくる。
これだから貧困にあえぐんだよなぁ…w
レコードに使った金額でジムでも行ってたら…いや、考えるのはやめておきましょう。
といったところで本日はここまで。
大好きなデヴィッド・ボウイの事になると書きすぎてしまう。
天気は不安定で情緒も不安定になりそうな昼下がり。
社内ニートは本日事務所に独り。
Let's Danceでも踊ってしまおうかしら?
日常の片隅に名盤を。
次回もまた是非お付き合いください。
それでは!!
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