2024年11月21日 Journal club
みなさま、こんにちは。
当分野で2週ごとに行っているJournal clubの内容をご紹介します。
今週は具 芳明先生が担当で、Open Forum Infectious DiseasesからEffect of Universal Masking on Non–Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Healthcare-Associated Respiratory Viral Infectionsという論文を取り上げてくれました。
COVID-19パンデミックを機に始まったユニバーサルマスキングを多くの病院が継続しています。
ユニバーサルマスキングは感染対策を目的に行われていますが、コミュニケーションには不利となります。また、流行している感染症の種類や市中での感染対策の状況によってその効果は変化するものと考えられます。
当院でもユニバーサルマスキングを継続しており、その効果や終了タイミングの検討などの参考にしたいと考えてこの論文を読みました。
この研究では、米国のある大学病院において、COVID-19以外のウイルス性呼吸器感染症の院内発生を評価しています。
ユニバーサルマスキングを導入して院内発生が激減、さらに市中でのマスク着用義務終了後には院内発生がやや増えたものの導入前よりは少なく経過していました。
この結果からはユニバーサルマスキングによって、市民がマスク着用をしていない状況でも、COVID-19以外のウイルス性呼吸器感染症の院内伝播がある程度は抑制されたものと考えられます。
日本には多床室が多いことや、職員や患者のマスクの受け入れなど、様々な状況が異なるため一概には言えないところですが、呼吸器感染症が流行している時期にはユニバーサルマスキングの効果が期待できる結果でした。
利点と欠点を理解しつつ、感染症の流行パターンを観察しながら検討していく必要があると再確認しました。