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【打線】#ベストソング2021

昨年の「ベストソング2020」の記事に引き続き、この1年で発売された楽曲の中で個人的にハマったものを野球の打線になぞらえて紹介していくコーナー、2021年版。今年も書いてみました。仕事の忙しさを言い訳に今年はベストソングの記事を書くの辞めにしようかなぁ…なんて怠惰な気持ちがあったものの頭の片隅にはやはりこれをやらないと一年を上手く締めれないんじゃないかと思い、本作の作成に至りました。堕落した生活のまま新年を迎えるのと書き納めて清々しく1年を締めくくるのとだと圧倒的に後者の方が心地良いし改めて多くの名曲達に囲まれて過ごした一年間だったなと実感でき、振り返られる良い機会にもなりました。こんな素敵な音楽に背中を押されて生きてきたんだという証明と今年お世話になったすべての人と物と環境に感謝を込めて。もちろん読み手の皆さんへの紹介にもなればいいなという願いも込めて。好評だとまた来年もやってみようと思います。

それでは

2021 -Starting Lineup-

1(左) forgive/Bank Band
2(遊) Star Song/コブクロ
3(中) Soulコブラツイスト~魂の悶絶/桑田佳祐
4(指) 追い風/SHE'S
5(二) 新しい一歩を踏み出す君へ/三阪咲
6(一) 僕は僕を好きになる/乃木坂46
7(右) なないろ/BUMP OF CHICKEN
8(三) Here/Homecomings
9(捕) アポトーシス/Official髭男dism

(投)先発  BOY/King Gnu
(投)中継ぎ 何度でも何度でも/日向坂46
(投)抑え  櫻坂の詩/櫻坂46

1(左) forgive/Bank Band

今年のトップバッターを務めるのはBank Bandの6th配信シングル。東日本大震災から10年という節目に当たる2021年3月11日に放送されたTBS系音楽番組「音楽の日」の為に作成されたという経緯を持つ本楽曲は昨今続く非常事態の生活の始まりから1年が経つタイミングの時期ともちょうど重なったこともあり様々な意味を持つ応援歌となったことに間違いない。

さすがBank Band、日本最高峰の天才音楽集団と謳われる所以が証明されている。爽やかなストリングスと力強いバンドサウンドが光るアレンジに日本の二大歌手とまで称えられるMISIAとMr.Children櫻井和寿の歌唱ハーモニーは絶品。歌詞はとにかくポジティブで前向きな言葉が並ぶ。"次の僕らへと"、"次の未来へと"等のフレーズは曲中に幾度となく登場し、聴く全ての人の背中を押してくれる。

この楽曲が配信リリースされた3月20日は偶然にも僕の大学の卒業式の日であり、式典会場へ向かう際は何度も聴きながら4年間の想い出を振り返りつつそれと同時に長かった学生時代という一つのフェイズが終わることをしみじみと感じつつ雪解けの暖かい春の道を踏みしめて歩いたことが強く記憶に焼き付いている。入社してからも職場の有線でよく流れていたし、行き帰りの電車の中でも絶えず耳にしていたのでまさに自分の新生活を後押しし、新たな環境を讃えてくれているかのような一曲。

これからも何か大事な節目が訪れるたびに必ず聴いていくであろう大切な歌。

えんやこら ここから えんやこら はじまるよ


2(遊) Star Song/コブクロ

晴れた空の雲間から燦々と差し込むように大地を照らしてくれるような眩しいエレキギターのフレーズから始まるイントロがもう既に優勝。シンプルに「Star Song」っていうタイトルの響きも良い。少し先にリリースされていた「両忘」を聴いて完全にコブクロは新路線で行くのかなと思いきや、こういう曲を当たり前のようにアルバムのリード曲として掲げて発表してくるあたりがもう流石としか言えない。小渕さんと黒田さんのハーモニーは相変わらず聴いていて癒される。昔ながらのコブクロらしい暖かい感じ。

「光」や「虹」など、昔からコブクロは真っ直ぐに夢を追い続け努力し続ける者の姿をそれに相応しい単語で名付ける手法を取り、数多くの応援ソングを発表してきた。今回は「星」である。頑張る全ての人を光り輝く星に喩えているのはもちろんのこと、皆が見上げる空に瞬く星を皆の夢や目標になぞらえて歌われていると個人的に勝手に解釈している。あなたの夢をずっと大切にと、今を生きる全ての人のその生き方を称賛するかのような優しい歌詞に惹かれた。

過ぎゆく季節を越えて 変わらない空がある


3(中) Soulコブラツイスト~魂の悶絶/桑田佳祐

今年の日本の下半期は見事この楽曲によって彩られた。やっぱりこの人は凄い。改めてそう感じさせられる、我が国が誇るスーパーロックンロールシンガー・桑田佳祐による一曲。日本テレビ系音楽番組・ベストアーティスト2021で本楽曲を披露した際には"令和の歌謡ソウル・ポップス"、CDTVに至っては"令和のハイパー歌謡曲"とも謳われた、少し懐かしさを感じさせつつも最新型にアップデートされた桑田佳祐らしい熱いパフォーマンスが聴く人観る人を虜にする。前述の番組をはじめとした多くの年末歌番組では「SMILE~晴れ渡る空のように~」と共に披露された。今年の全国ツアー「BIG MOUTH, NO GUTS!!」でもこの2曲は連続で披露されており、セットで扱われるイメージが強い。2曲とも全く曲調は異なるものの間違いなく2021年を代表する桑田楽曲であった。

架空の歌謡祭の番組を舞台として映されるMVが非常に見応えあり面白く、最後を"皆さん、良いお年を~!"で締めるあたり年末のお祭り感漂う陽気なムードが最高。自分自身としても12月29日、30日と連日で学生時代のいつメンと共に開催した毎年恒例(2020年は中止により2年ぶり)の年末歌い納めカラオケ大会にて最後の曲として本楽曲を歌唱させていただいた。他人が見れば呆れるくらいのふざけっぷりを発揮して本気で遊ぶのって楽しい。久々にそんなことを感じたひと時であった。

I can’t get you out of my mind


4(指) 追い風/SHE'S

2021年堂々の主砲を務めるのは今年結成10周年、デビュー5周年を向かえた大阪発ピアノロックバンド、SHE’Sが放ったこの楽曲。究極の応援歌。自分にとっての今年のテーマソングである。

2月下旬、たまたま部屋で流していたSCHOOL OF LOCK!というラジオ番組でこの曲のプロモーションとしてSHE’Sが出演していたことをきっかけにこのバンドとこの楽曲の存在を知り、「追い風」は毎日のように欠かさず聴くような大切な歌になったし僕にとってSHE’Sが今年一番のアーティストに上り詰めた。初めて聴いた時のあの衝撃は今でも忘れられない。甘くて優しい透き通る透明感のある歌声にすごく力強いバンドサウンド。適当に聞き流していたつもりの単語たちもしっかり言葉として鮮明に頭に焼き付いてきた不思議な感覚を覚えた歌詞。メロは良い。初めて聴いたのになんか一緒に歌いたい。早速ギターでコピーしたい。なんなんだこのバンドは!?紛れもなく一聴き惚れに陥った瞬間だった。その9か月後に自分はライブハウス4列目という超至近距離でこの歌を筆頭にSHE’Sの名曲たちを生で真正面から浴びせられる経験をするなんてこの時点では知る由も無かった。

歌詞のどこを切り取っても背中を押されるフレーズ。"誰の目も厭わずに咲き誇れ"、"今見えてるものそれだけが全てと思わないでいい"、"何度折れても枯れ果てても時を経てまた花開く"、中でもサビの"踏み違えて終わりじゃない 何処でだって待ってる未来 君は変われてる笑えてる 生きていく者だけに吹く追い風"は座右の銘にしたい。たくさんの楽しい事の裏で多くの挫折も経験した個人的な2021年の思い出として、この歌が毎日のように慰めてくれたし心を熱くさせてくれた。

本楽曲のキーは世に溢れるJ-POPの中でも特に名曲が多いと名高いC♯である。バンド史上過去の楽曲でいうなら「Letter」や「Your Song」「Dance With Me」など屈指の人気曲に多く見られる。シンプルなコード進行であるが起伏は多いながらもそれを広範囲に及ぶ音域と多彩な楽器の音と共に丁寧に紡いでいく様子が美しい。サビ頭をF♯→G♯→A♯m、F♯→G♯→C♯と3コードを並行調を交えながら固めていく構成は素晴らしく圧巻。C♯のキーはギターだと1カポでCを弾くだけなので演奏上非常にシンプルである一方、ピアノの場合は黒鍵の音も入るのでかなり複雑な弾き方になる。爽快に弦を振り払うギターが醸し出す清々しさと丁寧に鍵を叩いていくピアノの荘厳さがマッチした、絶妙な響きを持つこのキーの特徴を最大限に活かし、両方の楽器の特性を上手く融合させた傑作と言える。

SHE’Sはさっそく来年には映画「ブルーサーマル」の挿入歌・主題歌を担当することも決定しており、今後もこのバンドの活躍には目を離せない。この歌に出逢えたことが今年一年の誇り。ありがとう。

生きていく者だけに吹く 追い風


5(二) 新しい一歩を踏み出す君へ/三阪咲

SHE'Sの追い風に続く第二の追い風ソング。サブスクで聴いていた追い風の後に自動再生でたまたま流れてきたことをきっかけに知った本楽曲は、アミューズ所属のシンガーソングライター・三阪咲によるアップテンポチューン。これも一聴き惚れであった。新卒の社会人として不安を抱えながら毎日濃い時間を過ごしていた今年の5月くらいによく聴いていたし今でもイヤホンから流れてくる度に元気をもらっている。

SHE’Sの「追い風」の直後に聴くことで、歌詞に登場する"追い風はもう吹いている"のフレーズは前曲からの繋がりを感じられて面白いなと思ったのがここに配置した一番の理由。4番で満塁ホームランを打った直後にソロでももう1本飛び出す感じ(?)を上手く表現できているつもり。

この上なくポジティブで前向きな応援歌のタッグとして、自分にとって「追い風」と「新しい一歩を踏み出す君へ」は2つでセットみたいなイメージはしばらく消えないと思う。

追い風はもう吹いている


6(一) 僕は僕を好きになる/乃木坂46

イントロから醸し出す透明感と爽やかさ、正に清純派の呼び名に相応しいアイドル・乃木坂46が2021年に入って間もなくリリースした高貴感溢れるポップス。白石麻衣の卒業後初の作品かつグループの活動期間中異例の長スパン、約10か月ぶりのCDシングルとして銘打たれ発売された本楽曲でセンターを務めたのは次期エースとして期待溢れる3期生の山下美月である。白石麻衣卒業ライブが終わって間もない2020年の11月に"乃木坂46からのお知らせです。"という文面が綴られた本作品リリースに関する動画付きのツイートが公式Twitterから投稿され、ファンからの大きな反響を呼んだ。作曲は我らが天才音楽家・杉山勝彦先生による。AメロBメロのキーはE♭に対しサビに入って全音上がりFに行き、ラスサビではもう半音上がりF♯へ到達するという転調手法もお手の物。このE♭から始まる全音→半音の転調パターンは「サヨナラの意味」と全く同じ構成であり、一気に開けていくような心地よさやダイナミック感が非常に乃木坂らしい。MVが単なる歌唱風景なのではなく"MV収録風景"として描かれていることが今までに類を見ない構成であり、サムネイルからは決して想像できないであろう展開を見せる。とても作りこまれていて面白い。

歌詞だけ見ると聴く人を選び兼ねないような鋭い自己啓発系ソング。相手を批判するのではなくまずは自分のスタンスから変えていこうよと諭す言葉たちに個人的には凄く共感した。この歌が発表されたのは大学時代も終盤の終盤に差し掛かり、卒業を間近に控えた時期だった。大学生として過ごした4年間のことを振り返ってみるとバイトのこと、ゼミのこと、サークルでの音楽活動のこと、その他諸々楽しい思い出だけではなく人間関係を始めとしたトラブルはもちろん付き物でたくさん理不尽なことに悩まされたことも多かった。しかしこれらの沢山のことを経験していくうちに自分も精神的に成長してきたのか、何か抱えた問題があったとしてそれに伴って相手を責めたり反抗したところで相手は絶対に変わらないし変えられないことに気付いた。もっと自分を磨いた方が良い理想の人間像に近づけるのだと。元々他人軸で生きてきた僕が自分軸で生きられるようになってきた。社会人になる前に少し大人になれたんじゃないかと実感できていた。そんな成長を経験した学生時代の最後の最後に、上手く生きてゆくための真理を"答え合わせ"的な意味合いで届けられたこの歌を聴いて、あぁ確かにそうだよなと純粋に納得できた。一番嫌いなのは他者でも周りの環境でもなく、自己都合で勝手にネガティブに歪めている自分の心。そう思うことで全てを許容し受け入れ、生きていけるんじゃないかって思える気がしてくる。

僕は僕を好きになる


7(右) なないろ/BUMP OF CHICKEN

イントロからアウトロまで全編サビとも言える清々しく駆け抜けていくメロディーラインが光る、大人気ロックバンド・BUMP OF CHICKENがリリースした朝ドラ「おかえりモネ」の主題歌。昨年個人的なお気に入りでベストソング2020の記事でも取り上げさせて頂いた「Gravity」が綺麗なロックバラード調だったのに対して今回は非常に爽快でアップテンポなナンバー。聴いているだけでアコギでAコードをかき鳴らしたくなる衝動に駆られる。

自分が歩んできた道とこれから進んで行く道は必ず正しいのだと励まされる歌詞は読んでいるだけで勇気に変わる。今回選曲した他の歌ももちろんそうなんだけど、特にこの歌を社会人生活の開幕と同時に出逢えたという喜びは大きい。朝の出勤時に聴くと無条件で清々しい気持ちで1日を迎えられるし、また今日も1日頑張ろうという素直な気持ちが芽生える。

おはよう 僕は昨日からやってきたよ


8(三) Here/Homecomings

不思議なバンドを見つけた。仕事で疲れ果てて今にも落ちそうな夜、偶然流していたラジオから聴こえてきたこの歌に感動した。これは後に学生時代愛聴していたAIR-G’ FM北海道のパワープレイに選曲されていたものと知る。

哲学的な歌詞の読解が非常に難しい一方でシンプルな音作りがカッコいい。重たくずっしりと構える固いバンドサウンドなんだけど目を離した途端にどこかへフワッと飛んで行ってしまいそうなボーカルの艶やかな歌声。一見不調和な感じがするこの空気感であるが、全体的に一つの音楽としてロックバンドの一曲としてバランスが保たれた不思議な歌。

この歌の凄さを文章のみで伝えることが上手くできないことが非常に悔しい。言葉だけでは表現できない奥深さが秘められている名曲。

きらめく光を追いかけてきたよ まぶしくても手を離さないで


9(捕) アポトーシス/Official髭男dism

今年も昨年に引き続き正捕手を務めていただきたいのは今年の夏にOfficial髭男dismがリリースしたメジャー2ndアルバム「Editorial」に収められたリード曲。

愛する人とのいつか訪れる死別を巧妙にリアルに描き切っている。人間は生きている限り必ず死を迎え、命の終わりが来る。だからこそ、その時までの残された日々を慈しみつつ大切に過ごしたいと願い歌われている愛で溢れた歌詞が繰り広げられている湾曲したラブソング。タイトル「アポトーシス」は"細胞の死"の現象に由来する。日本の音楽シーンにおいて中々テーマにし難いような単語であり、見慣れない。その中身の歌詞は重々しい。楽曲自体のコンセプトだけを抽出すると非常に取っ付きにくい印象だが、ここで万人受けのJ-POPにしてしまうのがヒゲダンの凄みである。思わず口ずさみたくなるような美しいメロディーラインと一度聴いたら頭に刺さって抜けなくなるほどの複雑化したコード進行と曲中で突如訪れる転調、そのおかげでキャッチ―とは呼び難い歌詞の世界観も耳に残り、何度聴いても飽きがこない不思議な経験を味わえる。

サビの"別れの時まで"、"解説もないまま"の部分等に見られるハイトーンボイスの伸びは聴いていて非常に心地良い。全体的にも8bit風なデジタルサウンドを取り入れたアレンジを施しつつもどこか爽やかでそこも不思議な感じ。音域にしても楽曲アレンジにしても歌詞の深さにしても彼らの音楽に対する情熱や奥深さは留まることを知らない。来年も早速映画「コンフィデンスマンJP 英雄編」の主題歌として新曲「Anarchy」が起用される。ますますヒゲダンの活躍が楽しみでならない。

別れの時まで ひと時だって愛しそびれないように


(投)先発 BOY/King Gnu

やはり先発は昨年に引き続きKing Gnuに任せたいし、ヒゲダンとのバッテリーという意味でこの枠。今年の秋から冬にかけて開催された「King Gnu Tour 2021 AW」にて井口さんが"楽しい曲やります!"と言い放ちアンコール1曲目にこの歌が先行配信されたばかりの新曲として披露されたことが記憶に新しい。音域の広さはさすがの一言。若々しく無邪気でどこまでも進んで行こうとする勢いのある歌い上げっぷりには「Teenager forever」の続編あるいはアンサーソングなのかとも思わせられる。

息を切らした君は 誰より素敵さ


(投)中継ぎ 何度でも何度でも/日向坂46

たまたまテレビで高校生クイズを観ていた時に流れてきた楽曲。ほんの少ししか流れていなかったのに三拍子のリズムと起伏の激しいメロディーがとても印象的でしばらく耳から離れなく気になり調べたところ、番組のメインサポーターを務める日向坂46による新曲であった。正直今年は日向坂46の活動を昨年に比べて追えていなかったため、この時点ではこの曲の存在を全く知らなかった。

昨年リリースした「青春の馬」は仲間と一緒に全力で坂を駆け上ろうと魂を熱く鼓舞させてくれる歌だったのに対して、本作はそっと寄り添ってくれるような感じ。常に隣に居てくれる優しい存在。たとえ転んだとしてもここまで来た道が間違っていたとしても、タイトル通り"何度でも何度でも"次の道を探してまた歩みだそうと励ましてくれる。

やっぱり日向坂が歌う応援歌には強大な説得力があることを再確認した。

人生は一筆書き


(投)抑え 櫻坂の詩/櫻坂46

2021年の絶対的クローザーは今年デビュー1年目として本格的に躍進を遂げた欅坂46改め、櫻坂46のテーマソング。昨年2020年12月8日に行われたデビューカウントダウンライブで初披露され、今年4月14日にリリースされた2ndシングル「BAN」のカップリングに収録され初音源化となった。個人的にも昨年のデビューカウントダウンライブ・通称"DCDL"へライブビューイングという形で赴き、1stシングルの収録曲すべてを披露し終えた後にサプライズとして御目見えされた本楽曲には感動し、音源化を待ち侘びていた頃だったので嬉しさ極まりない。イントロから華々しいグループの開幕を告げるようなファンファーレとも捉えられるハーモニカと力強いドラムの音、三拍子の軽快なリズムに乗せられ優雅に進んでゆくメロディーライン、総じて完璧なアレンジである。さらに素晴らしいのが裏でエレキギターのフレーズが見られたり一部にはクラップが入ったり、バンドサウンドがしっかり施された上で有観客ライブを意識した全体のアンサンブルを巧みに考慮された音作りになっている点である。全体的に穏やかな印象なのにサウンド自体は重厚、自分の中でこのアレンジのことを"ほのぼのロック"と勝手に呼んでいる。

歌詞の面で面白いと感じたのは"本当の寂しさって誰もいないことじゃなく大切な人と会えなくなること"という1番Aメロのフレーズ、欅坂46の「キミガイナイ」の"本当の孤独は誰もいないことじゃなく誰かがいるはずなのに一人にされてるこの状況"の一節に対する一種のアンチテーゼなのかなと思った。他者への拒絶や反抗を描いた欅坂のスタンスとは打って変わり、人々の支えの尊さが表現されているあたり本当に新しいグループに生まれ変わったんだなとここで実感した。

音楽理論的に特筆すべき点はやはり"Wow Oh Wow Oh Oh Oh~"のメロの最後。F→C/E→Dm→C、旋律はルート音そのままファミレドで締めくくる。この優しく包み込む感触がもう完璧中の完璧。日本人は全員大好きであろうこのメロディー、スピッツの「チェリー」の"(君とめぐり)会いたい~"の部分やMr.Childrenの「Tomorrow never knows」の"(誰も知るこ)とのない明日へ~"等にも見られ、ゆっくり白鍵を1音ずつ下降していってトニック(Ⅰ)であるC(ド)の音になめらかに着地するという美しさ。思わず口ずさみたくなる。

今年リリースされた櫻坂46の楽曲は表題曲のインパクトは言わずもがな、カップリングまで凄まじい名曲揃いであった。今回この記事を執筆するにあたって櫻坂の一枠を設けること自体は決めていたものの、正直何の楽曲を選ぶべきなのか最後の最後まで悩んだ。「偶然の答え」や「無言の宇宙」、「君と僕と洗濯物」、「Microscope」、「ソニア」など全部取り上げたいくらいだが、これら全部ひっくるめて「櫻坂の"うた"」という意味合いを込めて、本楽曲を採用した。来年も輝かしい活躍とグループの邁進を祈る。

一つ一つの花びらが肩を組むように桜は満開になるのさ


最後に

今年は本当に精神的に支えとなってくれるような応援歌が多いように感じました。学生時代を終えて新たに社会人としての生活が始まった自分が心の拠り所として無意識に選んでいただけなのかもしれませんが。また、実際に自分でこの記事を書いていて今年は"なんかたまたまテレビとかラジオから流れてきてハマったかも"というパターンの楽曲が多いなと感じました。来年は社会人2年目として大好きな音楽に囲まれながらたくさんの良い思い出を作っていきたいと思うばかりです。

読んでいただき、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします!

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