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NO.38 映画『ミッドナイトスワン』のこと

週末の朝、ある女優が亡くなった事をニュースで知って言葉を失い、行き場のない気持ちをもて余したまま公開されたばかりの映画『ミッドナイトスワン』を観に行った。

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これは脆いけれど強く、優しいけれど残酷で、猥雑でありながら美しい人というものを描いたとても素晴らしい映画だった。

内容は…

トランスジェンダーの凪沙(草彅 剛)は故郷の広島を離れ東京、新宿を舞台に生きているが、あるきっかけで親戚から預かった一人の少女と暮らす事になってしまう。母から愛を注がれずに生きてきた少女・一果(服部樹咲)と出会ったことにより、孤独の中で生きてきた凪沙の心に今までにない感情が芽生える…

何より草彅剛の演技が素晴らしい。もはや若くはない引き裂かれた心と身体を持つ一人の人間としてスクリーンの中に生きる凪沙の姿を見ていると次第に草彅君が演じているということを忘れてしまう。

そして一果を演じる新人の服部樹咲の自然な演技とバレエを踊る時の姿の美しさから目を離せなくなる。

ラスト近く海辺で踊る一果とそれを見つめる凪沙の姿は神々しい程美しく、僕はルキノ・ヴィスコンティ『ベニスに死す』のラストシーンを思い出した。

僕には今年一番の映画になりました。

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