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劇場版『アナウンサーたちの戦争』を観る


今日の午前中、劇場版映画『アナウンサーたちの戦争』を観た。

昨年NHKで放映されたドラマの映画版だ。

とても深々とした味わいの残る素晴らしい作品だった。 

物語は…

☆☆☆

国民にとって太平洋戦争はラジオの開戦ニュースで始まり玉音放送で終わった。

奇しくも両方に関わったのが 天才と呼ばれた和田信賢アナ(森田剛)と新進気鋭の館野守男アナ(高良健吾)。

1941年12月8日、大本営からの開戦の第一報を和田が受け、それを館野が力強く読み、国民を熱狂させた。以後、和田も館野も緒戦の勝利を力強く伝え続け国民の戦意高揚に貢献する。

しかし戦況は次第に悪化の一途をたどるが国民に真相を伝える事はできなくなり、和田は苦悩する中、日本は敗戦。

和田は1945年8月15日の玉音放送を伝える…

☆☆☆

映画はドキュメンタリー映像も使いながら、あの戦争とそれを伝える放送人の葛藤を生々しく伝える。

何より和田アナウンサーを演じる主演の森田剛の演技が出色だ。

天才と呼ばれた和田の、時に傲慢なまでの誇りと次第に自分の言葉で真実を伝えられなくなる絶望の狭間であがく主人公の苦しみを自らのものとしていて、観るものの胸に迫る。

周りの配役も素晴らしいけれど、特に和田の妻を演じる橋本愛の美しさが光るし、強く和田を叱責する演技には凄みさえ感じる。

今年はあの敗戦から79年目の夏。世界はいまだに分断と戦争に明け暮れている…

様々なメディアに加え無数のSNSにも囲まれた僕たちの目や耳に、果たして真実は届いているのだろうか…

そんなことまで感じさせてくれるこの映画を一人でも多くの人に観てもらいたいと思いながら映画館を後にしました。

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